妹に全てを奪われた私は〜虐げられた才女が愛されることを知るまで〜

影茸

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因縁の確信 (ソシリア視点)

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 真剣な表情となったものの、少しの間二人から返答はなかった。
 少しして、悩ましげな表情を浮かべながら、マルクは口を開く。

「わかった、そういいたいいたいところなんだが、正直俺にはどの程度協力できるのか自信がない」

 そうはっきりと断言したマルクは、私の目を見ながら問いかけてくる。

「アルフォードが頑なになるとき、理由があるはずだ。それをどうにかする手段はあるのか?」

 ……確かに、アルフォードのトラウマは根深い。
 そのことを知っているが故に、私は一度改めて考える。
 しかし、すぐに私は断言した。

「ええ、大丈夫よ。私の想像さえあっていれば、アルフォードを説得する材料にはなるわ」

「……そこまで準備が整っているなら、逆に私達に頼みたいことは何なの?」

「私が二人から得たいのは確証よ」

「確証?」

 怪訝そうに復唱するマルクをまっすぐ見返しながら、私は断言する。

「ええ、そうよ。そして、私の予想があっているなら、この話は貴方達にとって聞いておいた方がいい話になると思うわ」

 そう私が告げると、明らかにマルクとリーリアの雰囲気が変わる。
 それを確認し、私は二人に問いかけた。

「まず聞きたいのは、サーシャリアに婚約を申し込んだマクリタリラ侯爵家について、なにか知っていることはない?」

 そう尋ねると、マルクもリーリアも怪訝そうな表情をしつつ首を横に振る。

「いや、ほとんど世間に広まっている程度の噂しか知らないな。現当主が相当やり手だと言うこと位だ」

「私の商会も同じね」

 マルクとリーリアの言葉に、私は内心警戒を強める。
 辺境の人間であり、そうとうやり手な二人でも、知らないのかと。
 ……しかし、この情報を手に入れるにかかった苦労を考えれば、それも仕方ないのかもしれない。
 そう思いながら、私はさらに口を開く。

「それじゃ、闇商会……。餓狼商、その名前に聞き覚えは?」

「……っ!」

 その瞬間の、二人の反応は劇的だった。
 リーリアは真っ青な顔で後ずさり、マルクは怒りを隠さないまなざしで私をにらんでいる。

「……どうして、ソシリアがその名前を知っている?」

 ゆっくりと押し殺した声で、マルクはそう尋ねてくる。
 しかし、その声にこもった怒りは一切隠せていなかった。

「早く、教えろ」

 私をまっすぐ見据え、マルクは吐き捨てる。
 瞬間、私はマルク達……辺境と餓狼商の因縁を理解する事となった。
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