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修羅見参

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 ……マリアに語りながら、私は強い羞恥心を覚える。
 本当に自分が情けなくて。
 自分がもっと強い心を持っていれば、素直にアルフォードが来たことを喜べただろうに、と。

 そう、実のところうれしくないわけがなかった。
 当たり前だ、自分が辛いときに好きな人がそばにいてくれるのだ。
 これ以上の贅沢など考えられない。

 ……親友の婚約者ということがなければ、私はもっと浮かれていただろう。

「ソシリアも、私にとって大切な人なの」

 そう言いながら、私はここに来てから、親身に付き添ってくれたソシリアの姿を思い出す。
 忙しいはずなのに、ここに来て一週間ソシリアは、マリアと同じくらいそばにいてくれた。

 思えば、生徒会メンバーで一番早くに打ち解けたのもソシリアだった。
 今の伯爵家の事業があるのも、ソシリアが言ってくれたお陰だ。
 ソシリアは私にとって、かけがえのない友人なのだ。

「だから、私は絶対にソシリアとアルフォードの邪魔にはならない。そう決めているの」

 ……そのはず、だった。

 その決意と相反する思いばかり感じてしまっている自分。
 その姿に苦笑を漏らしながら、私は小さく告げる。

「……決めていたのに、ね」

 そして私は、顔を隠すようにベッドに押しつける。

 ──だからこそ、私は気づいていなかった。

 私の話を、じっと黙って聞いてくれていたマリア。
 その表情が、いつの間にか般若のような形相に変わっていたこと。

 そして、その手にとても堅そうなお盆が握られていたことを。

「少し、席を外しますね。サーシャリア様」

「え?」

「大丈夫です、すぐに戻りますので。……問題を綺麗に片づけてきます」

 綺麗な笑顔で、ただならぬ殺意を滲ませながら部屋を出ていったマリア。
 その背中を、私は呆然と見送ることしかできなかった……。


 ◇◇◇


 文字数少なくて、申し訳ありません!
 次回から、アルフォード視点となります。
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