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2.王国編
第7話 物騒な仲間達
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「大丈夫か、翔!」
兵士達がこの場を去った次の瞬間、パラスは悔しさと屈辱で顔を歪めながら地面へと倒れていた僕へと駆け寄る。
そして、僕の身体を起こそうとして……
「あ、うん。なんともない」
「……は?」
……けれども、その前に僕は普通に身体を起こした。
そしてその際上げた顔には一切、怪我らしい怪我なんてなくて、パラスは驚愕で言葉を失う。
「……いや、あの兵士弱すぎるんだよ」
そして、そのパラスに僕はうんざりした表情で口を開く。
魔力操作、それは決して肉体を一時的に強化する能力ではない。
長い年月扱っていくことにより、魔力によって身体が補強され、身体の頑丈さがますます上がって行くのだ。
そしてある程度自分の身体が頑丈になっている自信があったからこそ、僕は大人しく兵士のされるがままになっていたのだ。
けれども、未だ魔力操作を覚えて日が浅い僕は、自分の身体に過度な期待を寄せていなかった。
たしかにある程度頑丈にはなっているだろうが、それでも傷ぐらいはつくだろうと、そう考えていたのだ。
………しかし、その結果は無傷だった。
そしてその結果、逆に傷がないことを怪しまれないように、兵士達がさるまで待って置かなくてはならなかったほどなのだから……
いや、魔力強化も行なっていないのに傷一つつけられないって……
「うん……王国兵の質って年々下がってきているんだね……」
慄く僕に対して、僕の意図を見抜いていたエイナがそう言葉を重ねた。
実力は全く伴わないくせに、やたら周りに高圧的で次々と問題を起こしていく先程の兵士。
彼の存在は現在の王国の姿と同じで、ギルド職員であるエイナにとっては他人事ではないのだろう。
「あぁ、そう言うことかよ!だったら言っておけよ!その、……心配しただろうが」
……そして一方のパラスは謎のヒロイン力を露わにしていた。
いや、なんなの?
この世界てシュライトさんといい、パラスといい、おっさんがヒロイン化しているの?
と、一瞬僕は考えかけたが、咳払いと共にその考えを振り払う。
「……とにかく、今からの行動の方針だ」
そして重々しい口調で僕が告げた言葉に、その場の雰囲気は変わった。
◇◆◇
「もう決めているんでしょ?」
僕の言葉に対するエイナの反応、それは何を今更、とでも言いたげなそんな言葉だった。
その言葉に僕は思わず苦笑を漏らす。
どうやらエイナは、なぜ僕が敢えてこの場では兵士達に手を出そうとしなかったかを理解しているらしい、と言うことを悟ったのだ。
僕があの時兵士に手を出さなかった訳、それは決して実力行使をやめたからではない。
……実力行使をいつすべきかどうかを図るために敢えて抵抗しなかっただけなのだ。
「そう言えば、あの時兵士達は森の中で捜索を続けるって言っていただろう?」
そして、その成果は十分にあったと僕は笑みを浮かべながら口を開く。
「ーーー だったら夜、不幸な事故で魔獣に全滅させられたとしてもおかしくないよな?」
「っ!」
……それは、言外の闇討ち宣言だった。
そして、その僕の言葉に今まで状況が今ひとつ分かっていなかったパラスの顔に驚愕が浮かんで……
「いいねぇ。闇討ちなら、俺の魔法も活躍できそうだしな」
それから次の瞬間その表情を獰猛な笑みへと変え、そう告げる。
「まぁ、あの程度の人間なら拷問でもすれば全て教えてくれるでしょうしね」
さらにそのパラスの反応に対して、エイナもそう言葉を重ねる。
「……いや、あの、僕はもう少しぼかして言ってたんだけど……直接すぎやしませんかね……」
そして、その二人の直接的な表現に僕は思考が物騒だと思わずそんな言葉を漏らす。
……けれども僕は知らない。
そもそも最初にそんな考えを思いついた時点で僕も充分物騒であることを……
兵士達がこの場を去った次の瞬間、パラスは悔しさと屈辱で顔を歪めながら地面へと倒れていた僕へと駆け寄る。
そして、僕の身体を起こそうとして……
「あ、うん。なんともない」
「……は?」
……けれども、その前に僕は普通に身体を起こした。
そしてその際上げた顔には一切、怪我らしい怪我なんてなくて、パラスは驚愕で言葉を失う。
「……いや、あの兵士弱すぎるんだよ」
そして、そのパラスに僕はうんざりした表情で口を開く。
魔力操作、それは決して肉体を一時的に強化する能力ではない。
長い年月扱っていくことにより、魔力によって身体が補強され、身体の頑丈さがますます上がって行くのだ。
そしてある程度自分の身体が頑丈になっている自信があったからこそ、僕は大人しく兵士のされるがままになっていたのだ。
けれども、未だ魔力操作を覚えて日が浅い僕は、自分の身体に過度な期待を寄せていなかった。
たしかにある程度頑丈にはなっているだろうが、それでも傷ぐらいはつくだろうと、そう考えていたのだ。
………しかし、その結果は無傷だった。
そしてその結果、逆に傷がないことを怪しまれないように、兵士達がさるまで待って置かなくてはならなかったほどなのだから……
いや、魔力強化も行なっていないのに傷一つつけられないって……
「うん……王国兵の質って年々下がってきているんだね……」
慄く僕に対して、僕の意図を見抜いていたエイナがそう言葉を重ねた。
実力は全く伴わないくせに、やたら周りに高圧的で次々と問題を起こしていく先程の兵士。
彼の存在は現在の王国の姿と同じで、ギルド職員であるエイナにとっては他人事ではないのだろう。
「あぁ、そう言うことかよ!だったら言っておけよ!その、……心配しただろうが」
……そして一方のパラスは謎のヒロイン力を露わにしていた。
いや、なんなの?
この世界てシュライトさんといい、パラスといい、おっさんがヒロイン化しているの?
と、一瞬僕は考えかけたが、咳払いと共にその考えを振り払う。
「……とにかく、今からの行動の方針だ」
そして重々しい口調で僕が告げた言葉に、その場の雰囲気は変わった。
◇◆◇
「もう決めているんでしょ?」
僕の言葉に対するエイナの反応、それは何を今更、とでも言いたげなそんな言葉だった。
その言葉に僕は思わず苦笑を漏らす。
どうやらエイナは、なぜ僕が敢えてこの場では兵士達に手を出そうとしなかったかを理解しているらしい、と言うことを悟ったのだ。
僕があの時兵士に手を出さなかった訳、それは決して実力行使をやめたからではない。
……実力行使をいつすべきかどうかを図るために敢えて抵抗しなかっただけなのだ。
「そう言えば、あの時兵士達は森の中で捜索を続けるって言っていただろう?」
そして、その成果は十分にあったと僕は笑みを浮かべながら口を開く。
「ーーー だったら夜、不幸な事故で魔獣に全滅させられたとしてもおかしくないよな?」
「っ!」
……それは、言外の闇討ち宣言だった。
そして、その僕の言葉に今まで状況が今ひとつ分かっていなかったパラスの顔に驚愕が浮かんで……
「いいねぇ。闇討ちなら、俺の魔法も活躍できそうだしな」
それから次の瞬間その表情を獰猛な笑みへと変え、そう告げる。
「まぁ、あの程度の人間なら拷問でもすれば全て教えてくれるでしょうしね」
さらにそのパラスの反応に対して、エイナもそう言葉を重ねる。
「……いや、あの、僕はもう少しぼかして言ってたんだけど……直接すぎやしませんかね……」
そして、その二人の直接的な表現に僕は思考が物騒だと思わずそんな言葉を漏らす。
……けれども僕は知らない。
そもそも最初にそんな考えを思いついた時点で僕も充分物騒であることを……
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