47 / 60
1.ギルド編
第46話 偉業
しおりを挟む
「大丈夫!」
突然現れた乱入者。
それが誰なのか、視界がぼやけている僕には分からなかった。
それどころか、何を言っているのかさえ、耳の中に入ってこない。
そして警戒心を覚えたのは僕だけではなかった。
「ガルル!」
突然の乱入者に唸り声を上げるダイウルフ。
それさえもよくは聞こえない。
けれども、明らかにフラフラとした様子のダイウルフの威嚇は酷く弱々しく感じて………
「なっ!」
……だがそれでも僕は、その何者かが一刀でダイウルフを始末した時驚愕を隠しきれなかった。
確かにダイウルフはかなり弱体化している。
しかしそれでもかの魔獣はもともとCランクと同等にやり合う実力を有しているのだ。
決してDランクの人間に勝てないとは言わない。
けれども、こんな簡単に一方的に倒すことができるとは流石に思えなかった。
そしてその光景を見て、僕の胸に広がっていたのは警戒心だった。
僕は逃げ出したギルド職員が戻って来たのではないかと、そう考えたのだ。
この状況を引き起こし、そして逃げ出した罰。
それがこのギルドではどのようなものなのかは僕は知らない。
けれども、当たり前だが軽いわけがあるはずなく、そのことが露見するのを恐れたギルド職員が口封じをするためにこの場にやって来たのではないかと、そう考えたのだ。
「畜生、」
何故こうも次々と騒ぎが降りかかってくるのか……
けれども、そう考えたところでもう僕の身体には力が残っていなかった。
「そいつに、近寄るな……」
ただ、最後に僕はその言葉とともにその何者かを睨みつける。
そしてその行動を最後にとうとう僕は崩れ落ちる。
「っ!」
その時には最早僕の意識は朦朧としていた。
「………あり得ない。一人で森の悪魔を……そんな偉業をたった二人で成し遂げるなんて……」
だからこそ、その時の僕にはもう何も聞こえることはなかった。
そう、何者かが発した驚愕の言葉のその内容さえ……
最終的にその何者かの正体を知らぬまま、僕はとうとう意識を失った。
そしてその時の僕は知らない。
後にこのポイズンウルフの討伐こそが、その時の最悪の勇者と比較され讃えられる、英雄としての最初の偉業とされることを……
突然現れた乱入者。
それが誰なのか、視界がぼやけている僕には分からなかった。
それどころか、何を言っているのかさえ、耳の中に入ってこない。
そして警戒心を覚えたのは僕だけではなかった。
「ガルル!」
突然の乱入者に唸り声を上げるダイウルフ。
それさえもよくは聞こえない。
けれども、明らかにフラフラとした様子のダイウルフの威嚇は酷く弱々しく感じて………
「なっ!」
……だがそれでも僕は、その何者かが一刀でダイウルフを始末した時驚愕を隠しきれなかった。
確かにダイウルフはかなり弱体化している。
しかしそれでもかの魔獣はもともとCランクと同等にやり合う実力を有しているのだ。
決してDランクの人間に勝てないとは言わない。
けれども、こんな簡単に一方的に倒すことができるとは流石に思えなかった。
そしてその光景を見て、僕の胸に広がっていたのは警戒心だった。
僕は逃げ出したギルド職員が戻って来たのではないかと、そう考えたのだ。
この状況を引き起こし、そして逃げ出した罰。
それがこのギルドではどのようなものなのかは僕は知らない。
けれども、当たり前だが軽いわけがあるはずなく、そのことが露見するのを恐れたギルド職員が口封じをするためにこの場にやって来たのではないかと、そう考えたのだ。
「畜生、」
何故こうも次々と騒ぎが降りかかってくるのか……
けれども、そう考えたところでもう僕の身体には力が残っていなかった。
「そいつに、近寄るな……」
ただ、最後に僕はその言葉とともにその何者かを睨みつける。
そしてその行動を最後にとうとう僕は崩れ落ちる。
「っ!」
その時には最早僕の意識は朦朧としていた。
「………あり得ない。一人で森の悪魔を……そんな偉業をたった二人で成し遂げるなんて……」
だからこそ、その時の僕にはもう何も聞こえることはなかった。
そう、何者かが発した驚愕の言葉のその内容さえ……
最終的にその何者かの正体を知らぬまま、僕はとうとう意識を失った。
そしてその時の僕は知らない。
後にこのポイズンウルフの討伐こそが、その時の最悪の勇者と比較され讃えられる、英雄としての最初の偉業とされることを……
1
お気に入りに追加
3,226
あなたにおすすめの小説
2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
パーティ追放が進化の条件?! チートジョブ『道化師』からの成り上がり。
荒井竜馬
ファンタジー
『第16回ファンタジー小説大賞』奨励賞受賞作品
あらすじ
勢いが凄いと話題のS級パーティ『黒龍の牙』。そのパーティに所属していた『道化師見習い』のアイクは突然パーティを追放されてしまう。
しかし、『道化師見習い』の進化条件がパーティから独立をすることだったアイクは、『道化師見習い』から『道化師』に進化する。
道化師としてのジョブを手に入れたアイクは、高いステータスと新たなスキルも手に入れた。
そして、見習いから独立したアイクの元には助手という女の子が現れたり、使い魔と契約をしたりして多くのクエストをこなしていくことに。
追放されて良かった。思わずそう思ってしまうような世界がアイクを待っていた。
成り上がりとざまぁ、後は異世界で少しゆっくりと。そんなファンタジー小説。
ヒロインは6話から登場します。
スキルを極めろ!
アルテミス
ファンタジー
第12回ファンタジー大賞 奨励賞受賞作
何処にでもいる大学生が異世界に召喚されて、スキルを極める!
神様からはスキルレベルの限界を調査して欲しいと言われ、思わず乗ってしまった。
不老で時間制限のないlv上げ。果たしてどこまでやれるのか。
異世界でジンとして生きていく。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界を【創造】【召喚】【付与】で無双します。
FREE
ファンタジー
ブラック企業へ就職して5年…今日も疲れ果て眠りにつく。
目が醒めるとそこは見慣れた部屋ではなかった。
ふと頭に直接聞こえる声。それに俺は火事で死んだことを伝えられ、異世界に転生できると言われる。
異世界、それは剣と魔法が存在するファンタジーな世界。
これは主人公、タイムが神様から選んだスキルで異世界を自由に生きる物語。
*リメイク作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる