7 / 60
1.ギルド編
第6話 出会い
しおりを挟む
ゴブリンを圧倒し、そして魔石を全て取り出した僕。
その頃には僕の全身は緑色のゴブリンの血で染まっていた。
もちろん最初はゴブリンの血をできる限り浴びないようにと気を使っていたのだが、そんなことをしても素人の僕には全く意味がなかった。
何せ魔石というものは、魔物の心臓にあり、取り出すには血だらけにならざるを得ないのだ。
そして最終的僕は、血を意識するのをやめた。
その時にはもう幾ら浴びようが変わらない状態になっていた上に、血だらけになれば奇妙な服であるということを隠せることに気づいたのだ。
それに気づいた僕はもしろ積極的に血を浴びるようにして……
「まじか……」
……そして、真夜中の街の中で血だらけの状態で項垂れていた。
何とか魔石を全て取り出した僕。
その後ゴブリンの死体を土に埋めてから帰る時にはもはや真夜中になっていた。
そしてそんな状況で街に戻ると殆どの宿屋が閉まっていたのだ。
その時になってようやく僕は変えの着替えがないというその致命的なことに気づいた。
例え宿屋が断られたとしても、服がこんな状態でなければ野宿も選択肢の一つだっただろう。
けれども今の僕はドロドロだ。
絶対にこの状態で一晩過ごしたくなどない。
……このままでいれば朝、どれだけの異臭を放つことになるのだろうか、考えたくもない。
「やっぱり閉まってますよね!」
けれども、宿屋も閉まっている現状で服屋が開いているなどということはなかった。
当たり前のことなのだが、最後の頼みの綱であったので僕は慟哭する。
「うるせえなあ!」
「ひぃ!ごめんなさい!」
……そして怒られた。
一瞬怒鳴った宿屋の主人らしき人が怒鳴った後、固まる。
それにぼくはもしかしたら止められるとそう考えて……
「し、死神!?」
「そんなに今の僕には酷い!?」
全力で窓を閉められた。
いや、本当に人に対してひどすぎやしませんかね?
「……はぁ、でも落ち込んでいる場合じゃない。今で死神なら朝起きたらどんな状況に……」
そう考えて僕は今更ながら状態の深刻さを悟る。
僕の状態を見て、騒ぎが起きて王都まで届けば折角ここまで来たのにその全てが無駄になってしまう。
「ち、近くに川があったはず!」
次の瞬間、僕は震えながら街を飛び出して行った……
◇◆◇
ここらの地理、それを僕はあまり知らなかった。
それでも月明かりが明るい夜であったお陰か、それから十数分後には念願の河原を見つけていた。
「月、かは分からないけどもそれのお陰で何とか辿り着けた…」
そして安堵の息をついた僕はまず汚れきったシャツを脱ぎ、上半身裸の状態で歩き出した。
上半身はゴブリンの血で濡れているが、それでもあまり冷えを感じない。
恐らく今この世界は夏のような気候なのだろう。
少し暑い程度の気候。
そしてそれならば濡れていても軽度の風邪程度で済む。
「よし、早くさっぱりして……」
そんなことを考え、僕はこの不快感から逃れられると思わず笑みを浮かべる。
そして僕は川へと降りていって……
「えっ?」
川の中に見つけた一糸纏わぬ素肌を晒している……
「何でぇ!?」
ーーー 筋肉隆々の男の姿を見つけた。
「おぉぅ!?」
その鍛え上げられた肉体は月下の光に照らされ、見る人に神々しいそんな印象を抱かせるだろう。
「いや、普通ここでそう来る!?」
……だけど僕は全く嬉しくなかった。
性別が違うだろと、僕はその場で崩れ落ちて同国する。
まぁ、もちろん本当に女性とこの状況で会えば僕は逃げる自信がある。
というか、その選択肢しかない。
けれども、それでも何でよりにもよってこんなところまできて男の裸を見なければならないのか!
「くそ……」
「お、おい、大丈夫か?」
そんな悲嘆にくれる僕にそう、男性は声をかけてくれた。
「あ、はい……」
「よく見ればドロドロじゃねえか……俺の家に来いよ。こんな場所にそんな状態で来るなんて宿屋に泊まれなかったんだろう?」
「あ、ありがとうございます……」
「気にすんなって!」
そしてその日僕はその男性に誘われるまま、寝床を手に入れることが出来た……
その頃には僕の全身は緑色のゴブリンの血で染まっていた。
もちろん最初はゴブリンの血をできる限り浴びないようにと気を使っていたのだが、そんなことをしても素人の僕には全く意味がなかった。
何せ魔石というものは、魔物の心臓にあり、取り出すには血だらけにならざるを得ないのだ。
そして最終的僕は、血を意識するのをやめた。
その時にはもう幾ら浴びようが変わらない状態になっていた上に、血だらけになれば奇妙な服であるということを隠せることに気づいたのだ。
それに気づいた僕はもしろ積極的に血を浴びるようにして……
「まじか……」
……そして、真夜中の街の中で血だらけの状態で項垂れていた。
何とか魔石を全て取り出した僕。
その後ゴブリンの死体を土に埋めてから帰る時にはもはや真夜中になっていた。
そしてそんな状況で街に戻ると殆どの宿屋が閉まっていたのだ。
その時になってようやく僕は変えの着替えがないというその致命的なことに気づいた。
例え宿屋が断られたとしても、服がこんな状態でなければ野宿も選択肢の一つだっただろう。
けれども今の僕はドロドロだ。
絶対にこの状態で一晩過ごしたくなどない。
……このままでいれば朝、どれだけの異臭を放つことになるのだろうか、考えたくもない。
「やっぱり閉まってますよね!」
けれども、宿屋も閉まっている現状で服屋が開いているなどということはなかった。
当たり前のことなのだが、最後の頼みの綱であったので僕は慟哭する。
「うるせえなあ!」
「ひぃ!ごめんなさい!」
……そして怒られた。
一瞬怒鳴った宿屋の主人らしき人が怒鳴った後、固まる。
それにぼくはもしかしたら止められるとそう考えて……
「し、死神!?」
「そんなに今の僕には酷い!?」
全力で窓を閉められた。
いや、本当に人に対してひどすぎやしませんかね?
「……はぁ、でも落ち込んでいる場合じゃない。今で死神なら朝起きたらどんな状況に……」
そう考えて僕は今更ながら状態の深刻さを悟る。
僕の状態を見て、騒ぎが起きて王都まで届けば折角ここまで来たのにその全てが無駄になってしまう。
「ち、近くに川があったはず!」
次の瞬間、僕は震えながら街を飛び出して行った……
◇◆◇
ここらの地理、それを僕はあまり知らなかった。
それでも月明かりが明るい夜であったお陰か、それから十数分後には念願の河原を見つけていた。
「月、かは分からないけどもそれのお陰で何とか辿り着けた…」
そして安堵の息をついた僕はまず汚れきったシャツを脱ぎ、上半身裸の状態で歩き出した。
上半身はゴブリンの血で濡れているが、それでもあまり冷えを感じない。
恐らく今この世界は夏のような気候なのだろう。
少し暑い程度の気候。
そしてそれならば濡れていても軽度の風邪程度で済む。
「よし、早くさっぱりして……」
そんなことを考え、僕はこの不快感から逃れられると思わず笑みを浮かべる。
そして僕は川へと降りていって……
「えっ?」
川の中に見つけた一糸纏わぬ素肌を晒している……
「何でぇ!?」
ーーー 筋肉隆々の男の姿を見つけた。
「おぉぅ!?」
その鍛え上げられた肉体は月下の光に照らされ、見る人に神々しいそんな印象を抱かせるだろう。
「いや、普通ここでそう来る!?」
……だけど僕は全く嬉しくなかった。
性別が違うだろと、僕はその場で崩れ落ちて同国する。
まぁ、もちろん本当に女性とこの状況で会えば僕は逃げる自信がある。
というか、その選択肢しかない。
けれども、それでも何でよりにもよってこんなところまできて男の裸を見なければならないのか!
「くそ……」
「お、おい、大丈夫か?」
そんな悲嘆にくれる僕にそう、男性は声をかけてくれた。
「あ、はい……」
「よく見ればドロドロじゃねえか……俺の家に来いよ。こんな場所にそんな状態で来るなんて宿屋に泊まれなかったんだろう?」
「あ、ありがとうございます……」
「気にすんなって!」
そしてその日僕はその男性に誘われるまま、寝床を手に入れることが出来た……
39
お気に入りに追加
3,239
あなたにおすすめの小説

2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

俺のスキルが無だった件
しょうわな人
ファンタジー
会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。
攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。
気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。
偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。
若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。
いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。
【お知らせ】
カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。
祖母の家の倉庫が異世界に通じているので異世界間貿易を行うことにしました。
rijisei
ファンタジー
偶然祖母の倉庫の奥に異世界へと通じるドアを見つけてしまった、祖母は他界しており、詳しい事情を教えてくれる人は居ない、自分の目と足で調べていくしかない、中々信じられない機会を無駄にしない為に異世界と現代を行き来奔走しながら、お互いの世界で必要なものを融通し合い、貿易生活をしていく、ご都合主義は当たり前、後付け設定も当たり前、よくある設定ではありますが、軽いです、更新はなるべく頑張ります。1話短めです、2000文字程度にしております、誤字は多めで初投稿で読みにくい部分も多々あるかと思いますがご容赦ください、更新は1日1話はします、多ければ5話ぐらいさくさくとしていきます、そんな興味をそそるようなタイトルを付けてはいないので期待せずに読んでいただけたらと思います、暗い話はないです、時間の無駄になってしまったらご勘弁を

ダンジョンで同棲生活始めました ひと回り年下の彼女と優雅に大豪邸でイチャイチャしてたら、勇者だの魔王だのと五月蝿い奴らが邪魔するんです
もぐすけ
ファンタジー
勇者に嵌められ、社会的に抹殺されてしまった元大魔法使いのライルは、普通には暮らしていけなくなり、ダンジョンのセーフティゾーンでホームレス生活を続けていた。
ある日、冒険者に襲われた少女ルシアがセーフティゾーンに逃げ込んできた。ライルは少女に頼まれ、冒険者を撃退したのだが、少女もダンジョン外で貧困生活を送っていたため、そのままセーフティゾーンで暮らすと言い出した。
ライルとルシアの奇妙な共同生活が始まった。
努力しても平均的だった俺が異世界召喚された結果
ひむよ
ファンタジー
全てが平均的な少年、山田 涼太。
その少年は努力してもしなくても、何をしても平均的だった。そして少年は中学2年生の時に努力することをやめた。
そのまま成長していき、高校2年生になったとき、あることが起こり少年は全てが異常へと変わった。
それは───異世界召喚だ。
異世界に召喚されたことによって少年は、自分のステータスを確認できるようになった。すぐに確認してみるとその他の欄に平均的1と平均的2というものがあり、それは0歳の時に入手していた!
少年は名前からして自分が平均的なのはこれのせいだと確信した。
だが全てが平均的と言うのは、異世界ではチートだったのだ。
これは平均的で異常な少年が自由に異世界を楽しみ、無双する話である。
hotランキング1位にのりました!
ファンタジーランキングの24hポイントで1位にのりました!
人気ランキングの24hポイントで 3位にのりました!

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる