ヒビキとクロードの365日

あてきち

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3月

3月20日『二十四節気その24 第四【春分】』

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 ヒビキ「はい、というわけで今日3月20日は二十四節気『春分』であると同時に、国民の祝日『春分の日』だね!」

クロード「おや、今日は前振りはなしですか?」

 ヒビキ「お花見も自粛ムードなこのご時世に前振りとか言われても困る!」

クロード「……来年あたりにこれを読む人は、意外と『昨年のこの時期何かあったっけ?』とか思うかもしれませんね」

 ヒビキ「まあ、その辺は来年の人にお任せします! まずは二十四節気の『春分』だね。なんと、とうとう二十四節気も今回で二十四個目。紹介完結です!」

クロード「二十四種類もあるのに一つ一つの情報は少なくて文字数を埋めるのに苦労したものです」

 ヒビキ「そういう苦労話は聞きたくないよー。『春分』は、一般的に昼の長さと夜の長さがほぼ等しくなる日といわれている。暦便覧でも『日天の中を行て昼夜とうぶんの時なり』と記されているしね」

クロード「一般的にはということは、事実は異なると?」

 ヒビキ「あくまで『ほぼ』でしかないという悲しいお知らせです」

クロード「別に悲しくはないとは思いますが、具体的にはどんな感じなのですか?」

 ヒビキ「日本の場合は昼の方が14分ほど長いらしいよ」

クロード「ニホンの場合は?」

 ヒビキ「大気による屈折率の違い、太陽の視角、日周視差、春分自体のずれなどの理由から、昼夜の長さは地域によって誤差が生じるんだって。そして計算してみると実際に昼夜の長さの差が最も小さくなるのは『春分』の四日ほど前になるらしい」

クロード「だったらその日を『春分』にしてくださいよ」

 ヒビキ「そこはほら、机上の空論的な暦の数え方としての『春分』だから」

クロード「まるでお役所仕事ですね」

 ヒビキ「理想と現実の葛藤みたいな?」

クロード「そこまで悩むような問題ではありませんけどね。ともかく、『春分』から長い夜が明け始め、明るい時間が延びていくというわけですか。まさに春の兆しのようで少々浮ついた気持ちになってしまいますね」

 ヒビキ「こんなご時世でなければね!」

クロード「……そういう現実を突きつけないでください」

 ヒビキ「だって、今日は国民の祝日『春分の日』でもあるのに、人が集まる催しは自粛ムードなんだよ? 東京はもうとっくに開花宣言がされているのに」

クロード「確か、観測史上最も早い開花でしたか。もったいない話です。新型コロナウイルスなどなければ、今頃楽しい花見のニュースが報道されていたでしょうに」

 ヒビキ「せっかく金・土・日の三連休だったのにね。あーあ、この連休、どうやって過ごそうかなぁ?」

クロード「……そんなヒビキ様のために、ちょっと用意してみました」

 ヒビキ「用意したって何を――て、桜だ! ……ちっこいけど」

クロード「鉢植えサイズの桜を用意してみました。どうです? これを縁側にでも飾って花見としゃれこみませんか?」

 ヒビキ「もう、しょうがないなぁ。重箱弁当でも用意してやっちゃう?」

クロード「デザートに三色だんごはつけてくださいね」

 ヒビキ「了解! あ、そうだ。俺達二人だけでするなんてもったいないから他のみんなも呼んじゃおう。リリアンにヴェネくん、ユーリと大樹に、候兄ちゃんとバルス兄貴とジュエルさんに、エマリアさんとラクリシアさんと亜麻音に恭子ちゃん。ああ、パトリシアさんとクレアンナさんも呼ばないと。アナスタシアさんは来てくれるかな? さすがにイヴェルは呼ばないとして、ガーベルはどうしよう?」

クロード「……ヒビキ様、もうそれ、普通に花見をした方がマシな人口密度です」





★★★★★
その他の記念日『電卓の日』
※1974年3月20日。
※電卓の生産量が世界一になったことに由来する記念日。
※日本事務機械工業会(現・JBMIA)が制定。

 ヒビキ「まあ、俺は電卓なんてなくても計算できるけど」
クロード「では……7,830,716×3961.6の答えは?」
〇〇〇〇『コタエハ31022164505.6デス』
 ヒビキ「どーよ!」
クロード「いや、それ、スマホの音声計算じゃないですか……」
 ヒビキ「そう、今や世界は電卓いらず。スマホがあれば十分なのさ!」
クロード「十分って。完全にバージョンアップですよ」
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