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3月
3月14日『ホワイトデー』
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クロード「ヒ、ヒビキ様、その……」
ヒビキ「急にもじもじしだしてどうしたの、クロード?」
クロード「ドキドキ……ヒビキ様、これ、受け取ってくだ――」
バルス「ヒビキ、ハッピーホワイトデー!」
コウイチ「響生、これを受け取ってくれ」
ヒビキ「あれ、バルス兄貴に候兄ちゃん? ホワイトデーのお菓子? 俺に?」
クロード「なっ!? さ、先を越された!」
バルス「今時ホワイトデーごときに恥ずかしがる草食系なんて流行らねえんだよ」
コウイチ「自分の気持ちははっきり相手に伝える。それが今のトレンドだ」
ヒビキ「そんなトレンド、初めて聞いたけど?」
クロード「ぐぬぬぬ……」
ヒビキ「まあ、今日3月14日は『ホワイトデー』だし、貰えるものはありがたく貰うけど……俺、二人にチョコなんて贈ってないよね?」
バルス&コウイチ「「ドキーン!?」」
クロード「……ほほう、お二人はヒビキ様からチョコを贈られていなかったのですね……私と違って」
バルス「クロード、てめえ、何勝ち誇った顔してやがるんだ……」
コウイチ「不愉快だな……死ぬか?」
クロード「ふふん、何とでも好きに仰ってください。負け犬ほどよく吠えるものですからね。そう、ヒビキ様から本命チョコをもらった私こそが真の勝ち組!」
ヒビキ「だから友チョコだってば」
クロード「もらった事実は変わりません! そして、もらってもいないのに『ホワイトデー』にヒビキ様へお菓子を贈るお二人のなんと滑稽なことか。ヒビキ様、お二人に『ホワイトデー』とはどういった記念日かどうぞ教えてあげてください」
ヒビキ「今日のクロードはノリノリだなぁ。『ホワイトデー』は、一般的に『バレンタインデー』にチョコレートを貰った男性が、そのお返しとしてキャンディーやマシュマロ、ホワイトチョコなどのプレゼントを女性へ送る日だよ」
クロード「ははははは、お分かりになりましたか、バルス殿、コウイチ殿。つまり、本命チョコを貰った私がヒビキ様へお返しを贈る日。それが『ホワイトデー』です」
ヒビキ「何度も言うけどあれは友チョコだからね?」
バルス「べ、別に貰えなかったからってどうってことねえし! あれはあくまでヒビキの国の習慣であって、俺の世界には関係ないんだからな! も、貰えなかったからって、俺とヒビキの絆は固く結ばれているんだからな! ……コウイチと違って」
コウイチ「も、元々ヒビキにはバレンタインにチョコを贈る習慣なんてなかったんだから、俺が貰っていないのはある意味当然のことだ。俺にはお前達とは比較にならないヒビキとの蜜月の日々の思い出がある。お前達とは立場が違うんだよ、立場が」
クロード&バルス「「ああん!?」」
ヒビキ「毎度毎度懲りない三人だなぁ。まあ、『ホワイトデー』なんて異世界どころか日本以外だとアジアの一部くらいにしかない風習だもん。こう言っちゃなんだけど、そんなに気にする必要のない記念日なのは確かだろうね」
クロード「ヒビキ様!?」
バルス「だよな!」
コウイチ「当然だ」
ヒビキ「まあ、バレンタインにチョコを贈った側からすれば、ホワイトデーに何のお返しもしない男の株は大暴落しそうだけど」
クロード「ご安心ください。私はちゃんと用意しましたから」
ヒビキ「バルス兄貴は色々な木の実を使った異世界風クッキーアソート。候兄ちゃんは、あ、凄い。海外の有名チョコメーカーの直輸入品だ。二人ともありがとう」
バルス「おう、クッキーなら日持ちもするし紅茶に合うと思ってな」
コウイチ「伝手を頼って数か国のメーカーから取り寄せた。ぜひ食べてほしい」
ヒビキ「心と手間が籠っていて嬉しいな」
クロード「ヒ、ヒビキ様! 私の贈り物もどうぞ!」
ヒビキ「ありがとう。クロードからは何かな……何、これ?」
コウイチ「紙?」
バルス「菓子ではないのか?」
クロード「はい! せっかくのホワイトデー、ただお菓子を贈るだけでは月並過ぎると思いまして、ヒビキ様のためになるものを考えてきました!」
ヒビキ「……『マナベヒビキレベルアップトレーニング招待券』?」
クロード「今後本編が再開された時、ヒビキ様が存分に戦えるように鍛えて差し上げることこそ、恩返しにほかなりません! ホワイトデーは3倍返しが基本と聞いておりますゆえ、しっかりいつもの3倍量のトレーニングを用意しております!」
バルス「……クロード、お前……モテねえだろ」
クロード「へ?」
コウイチ「真面目一辺倒は恋愛に向かないと聞くが、お手本のような男だな、お前」
クロード「は? ……ヒビキ様、スマホを取り出してどこへ電話されるので?」
ヒビキ「プルルル……あ、アナスタシアさん? おたくの教育方針についてちょっと言いたいことがですね」
クロード「なぜアナスタシアに電話しているのですか? ヒビキ様?」
ヒビキ「え? あれは生来の性分でこっちもお手上げ? いやいや、そこを頑張って矯正していくのが保護者としての務めで……親権は俺に譲るって、そんなこと言われても困ります!」
クロード「親権って、私はもう子供ではないのですが……」
バルス「まあ、あれだ……頑張れよ、クロード」
コウイチ「応援とまでは言えんが、お前の成長を俺も祈ってやろう」
クロード「どうして急に優しくなるのですか、お二人とも!?」
ヒビキ「アナスタシアさん、もう少しお話を――あ、切れた! もー! 誰かクロードにホワイトデーの何たるかを教えてやってくれー!」
クロード「……それはヒビキ様のお仕事なのでは?」
★★★★★
その他の記念日『キャンディーの日』『マシュマロデー』
※どちらもホワイトデーにちなんだ記念日。
ヒビキ「三人とも、女性からチョコは貰ってないの?」
クロード「……いえ、ほら、ねえ、バルス殿?」
バルス「そ、そうそう。俺達は異世界人だからそんな習慣はねえわけだし……」
ヒビキ「候兄ちゃんは?」
コウイチ「教師というのは仕事柄出会いがなくてだな。生徒から貰うわけにもいかないし、同僚同士でというのはほら、すぐに噂が広まったりして、その……」
ヒビキ「(友チョコでもいいから来年はあげた方がいいのかも……)」
ヒビキ「急にもじもじしだしてどうしたの、クロード?」
クロード「ドキドキ……ヒビキ様、これ、受け取ってくだ――」
バルス「ヒビキ、ハッピーホワイトデー!」
コウイチ「響生、これを受け取ってくれ」
ヒビキ「あれ、バルス兄貴に候兄ちゃん? ホワイトデーのお菓子? 俺に?」
クロード「なっ!? さ、先を越された!」
バルス「今時ホワイトデーごときに恥ずかしがる草食系なんて流行らねえんだよ」
コウイチ「自分の気持ちははっきり相手に伝える。それが今のトレンドだ」
ヒビキ「そんなトレンド、初めて聞いたけど?」
クロード「ぐぬぬぬ……」
ヒビキ「まあ、今日3月14日は『ホワイトデー』だし、貰えるものはありがたく貰うけど……俺、二人にチョコなんて贈ってないよね?」
バルス&コウイチ「「ドキーン!?」」
クロード「……ほほう、お二人はヒビキ様からチョコを贈られていなかったのですね……私と違って」
バルス「クロード、てめえ、何勝ち誇った顔してやがるんだ……」
コウイチ「不愉快だな……死ぬか?」
クロード「ふふん、何とでも好きに仰ってください。負け犬ほどよく吠えるものですからね。そう、ヒビキ様から本命チョコをもらった私こそが真の勝ち組!」
ヒビキ「だから友チョコだってば」
クロード「もらった事実は変わりません! そして、もらってもいないのに『ホワイトデー』にヒビキ様へお菓子を贈るお二人のなんと滑稽なことか。ヒビキ様、お二人に『ホワイトデー』とはどういった記念日かどうぞ教えてあげてください」
ヒビキ「今日のクロードはノリノリだなぁ。『ホワイトデー』は、一般的に『バレンタインデー』にチョコレートを貰った男性が、そのお返しとしてキャンディーやマシュマロ、ホワイトチョコなどのプレゼントを女性へ送る日だよ」
クロード「ははははは、お分かりになりましたか、バルス殿、コウイチ殿。つまり、本命チョコを貰った私がヒビキ様へお返しを贈る日。それが『ホワイトデー』です」
ヒビキ「何度も言うけどあれは友チョコだからね?」
バルス「べ、別に貰えなかったからってどうってことねえし! あれはあくまでヒビキの国の習慣であって、俺の世界には関係ないんだからな! も、貰えなかったからって、俺とヒビキの絆は固く結ばれているんだからな! ……コウイチと違って」
コウイチ「も、元々ヒビキにはバレンタインにチョコを贈る習慣なんてなかったんだから、俺が貰っていないのはある意味当然のことだ。俺にはお前達とは比較にならないヒビキとの蜜月の日々の思い出がある。お前達とは立場が違うんだよ、立場が」
クロード&バルス「「ああん!?」」
ヒビキ「毎度毎度懲りない三人だなぁ。まあ、『ホワイトデー』なんて異世界どころか日本以外だとアジアの一部くらいにしかない風習だもん。こう言っちゃなんだけど、そんなに気にする必要のない記念日なのは確かだろうね」
クロード「ヒビキ様!?」
バルス「だよな!」
コウイチ「当然だ」
ヒビキ「まあ、バレンタインにチョコを贈った側からすれば、ホワイトデーに何のお返しもしない男の株は大暴落しそうだけど」
クロード「ご安心ください。私はちゃんと用意しましたから」
ヒビキ「バルス兄貴は色々な木の実を使った異世界風クッキーアソート。候兄ちゃんは、あ、凄い。海外の有名チョコメーカーの直輸入品だ。二人ともありがとう」
バルス「おう、クッキーなら日持ちもするし紅茶に合うと思ってな」
コウイチ「伝手を頼って数か国のメーカーから取り寄せた。ぜひ食べてほしい」
ヒビキ「心と手間が籠っていて嬉しいな」
クロード「ヒ、ヒビキ様! 私の贈り物もどうぞ!」
ヒビキ「ありがとう。クロードからは何かな……何、これ?」
コウイチ「紙?」
バルス「菓子ではないのか?」
クロード「はい! せっかくのホワイトデー、ただお菓子を贈るだけでは月並過ぎると思いまして、ヒビキ様のためになるものを考えてきました!」
ヒビキ「……『マナベヒビキレベルアップトレーニング招待券』?」
クロード「今後本編が再開された時、ヒビキ様が存分に戦えるように鍛えて差し上げることこそ、恩返しにほかなりません! ホワイトデーは3倍返しが基本と聞いておりますゆえ、しっかりいつもの3倍量のトレーニングを用意しております!」
バルス「……クロード、お前……モテねえだろ」
クロード「へ?」
コウイチ「真面目一辺倒は恋愛に向かないと聞くが、お手本のような男だな、お前」
クロード「は? ……ヒビキ様、スマホを取り出してどこへ電話されるので?」
ヒビキ「プルルル……あ、アナスタシアさん? おたくの教育方針についてちょっと言いたいことがですね」
クロード「なぜアナスタシアに電話しているのですか? ヒビキ様?」
ヒビキ「え? あれは生来の性分でこっちもお手上げ? いやいや、そこを頑張って矯正していくのが保護者としての務めで……親権は俺に譲るって、そんなこと言われても困ります!」
クロード「親権って、私はもう子供ではないのですが……」
バルス「まあ、あれだ……頑張れよ、クロード」
コウイチ「応援とまでは言えんが、お前の成長を俺も祈ってやろう」
クロード「どうして急に優しくなるのですか、お二人とも!?」
ヒビキ「アナスタシアさん、もう少しお話を――あ、切れた! もー! 誰かクロードにホワイトデーの何たるかを教えてやってくれー!」
クロード「……それはヒビキ様のお仕事なのでは?」
★★★★★
その他の記念日『キャンディーの日』『マシュマロデー』
※どちらもホワイトデーにちなんだ記念日。
ヒビキ「三人とも、女性からチョコは貰ってないの?」
クロード「……いえ、ほら、ねえ、バルス殿?」
バルス「そ、そうそう。俺達は異世界人だからそんな習慣はねえわけだし……」
ヒビキ「候兄ちゃんは?」
コウイチ「教師というのは仕事柄出会いがなくてだな。生徒から貰うわけにもいかないし、同僚同士でというのはほら、すぐに噂が広まったりして、その……」
ヒビキ「(友チョコでもいいから来年はあげた方がいいのかも……)」
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