ヒビキとクロードの365日

あてきち

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3月

3月4日『バウムクーヘンの日』

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  クロード「ふぅ、キャベツの種まきは終わったので、あとは畑の土壌を整えて、本葉が生えたら定植ですね……充実しているのですが、私の本職って何だっけとどうしても思ってしまいますね」

   ヴェネ「そんなこと気にしてたらはげるにゃよ、クロード」

  クロード「おや、ヴェネ様。いらっしゃいませ」

カーバンクル「俺もいるぜ!」

  クロード「おや、カーバンクル様まで……またヒビキ様をたぶらかしに来たのですか、この畜生は」

カーバンクル「なんでお前も俺に辛口なんだよ!?」

ケット・シー「デフォルトだから気にするだけ無駄なの、にゃん♪」

カーバンクル「そんなデフォルトは嫌だー!」

  クロード「つい先日もいらっしゃったばかりなのに、またお三方で勢ぞろいですか? 今日はどうされたのです?」

   ヴェネ「ご主人さまが珍しいお菓子を作ってくれるっていうから遊びに来たのにゃ。早くできないかにゃ~」

  クロード「珍しいお菓子? そういえばキッチンから香ばしい匂いが……」

   ヒビキ「できたよー、お待たせー!」

   ヴェネ「待ってましたにゃ!」

  クロード「ヒビキ様、何をお作りになられたのですか?」

   ヒビキ「あ、クロードも戻ってたんだ。ちょうどよかった。できたてだよ」

カーバンクル「ふわぁ、いい匂いだなぁ。うまそー」

ケット・シー「早速食べるの、にゃん♪ 吾輩、お腹ペコペコなの、にゃん♪」

   ヒビキ「たくさんあるからどんどん食べてね!」

 聖獣トリオ「「「いっただっきまーす!」」」

  クロード「ふむ、確かに珍しい形状のお菓子ですね。では、いただきます。パクリ、もぐもぐ……パクリ、もぐもぐ……」

   ヒビキ「どうかな?」

獣カルテット「「「「うっま!」」」」

   ヒビキ「よかったぁ。初めて作ったからちょっと不安だったんだ。それじゃあ、俺もいただきまーす、パクリ、もぐもぐ、美味しい♪」

  クロード「初めて作ったとは思えない出来栄えですよ、ヒビキ様。まるで木の年輪を思わせる姿のお菓子ですが、これは何という名前なのですか?」

   ヒビキ「これはドイツ発祥のケーキ『バウムクーヘン』だよ。今日3月4日は『バウムクーヘンの日』だから作ってみたんだ」

  クロード「ばうむ、くーへん、ですか?」

   ヒビキ「樹木の年輪に見えるように、ドイツ語で『木』を意味する『バウム(baum)』とケーキを意味する『クーヘン(kuchen)』を合わせて『バウムクーヘン』だね」

  クロード「そのままですね。しかし、不思議とケーキの名前に合っているような気がします。味もよいですが、この素朴な見た目も私は好きですよ」

   ヒビキ「日本では贈答品としても好まれるお菓子だからね、クロードの気持ちは俺も理解できるよ。ただ、日本ではドイツ発祥で、ドイツを象徴するお菓子のひとつと見なされているけど、本場ドイツでは珍しいお菓子扱いらしいよ?」

  クロード「一般的なお菓子ではないのですか?」

   ヒビキ「作り方がかなり特殊で、専門の調理器具と技術が必要なんだ。普通のケーキ屋の取り扱いは少なくて、専門店での販売が多いかな?」

  クロード「ほぉ、そんな希少なケーキの出来立てあつあつを食べられるとは、ありがとうございます、ヒビキ様」

   ヒビキ「面と向かってそう言われるとちょっと恥ずかしいや、えへへ」

  クロード「それでその、よろしければおかわりをしたいのですが……」

   ヒビキ「任せて。まだまだたくさんあるから。今用意するよ……あれ?」

  クロード「どうされました?」

   ヒビキ「いや、キッチンに残しておいたバウムクーヘンが見当たらな……あ」

 聖獣トリオ「「「ごちそーさまでしたー! けっぷ!」」」

  クロード「……三人とも腹パンパンですね。食べ尽くされましたか」

   ヒビキ「しばらく静かだと思ったら……焼くの、あんなに苦労したのに一切れしか食べられないなんて」

  クロード「まあ、ヴェネ様を呼んだ時点で予想できた結末ではありますが、私ももう少し食べたかったです……」

   ヴェネ「美味しかったにゃ~、ご主人さま。また作ったら呼んでにゃ~」

   ヒビキ「絶対呼ばないよ!」





★★★★★
その他の記念日『ミシンの日』
※日本家庭用ミシン工業会が1990年に制定。
※『ミシン』=『ミ(3)シ(4)ン』の語呂合わせ。

ケット・シー「吾輩の帽子の糸がほつれたの、にゃん♪ 直してほしい、にゃん♪」
  クロード「食べ過ぎて頭まで太りましたか?」
ケット・シー「失礼な奴なの、にゃん。ミシンの針をぶっさすぞ、にゃん♪」
カーバンクル「こえーよ!?」
   ヒビキ「ちなみに俺はミシンを使ったことなんてないから手縫いだよ」
ケット・シー「にゃーん!?」
  ヴェネ「驚くほどのことかにゃ?」
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