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2月
2月28日『ビスケットの日』
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クロード「最近は昼間でも割と暖かくなってきましたね。日差しが気持ちいい……おや、キッチンから甘い香りが……」
ヒビキ「おお、いい感じ♪」
クロード「何が良いのですか?」
ヒビキ「わっ!? び、びっくりした、クロードか」
クロード「驚かせたようで申し訳ありません。大変美味しそうな匂いがしたものですから、つい。ほぉ、ビスケットですか。焼きたての香りがします」
ヒビキ「今日2月28日は『ビスケットの日』だからね。午後のお茶菓子はこれにしようって決めていたんだ」
クロード「わざわざ自分で作るところがヒビキ様らしいですね。しかし、なにゆえ今日が『ビスケットの日』なので? 語呂合わせではなさそうですし……」
ヒビキ「『ビスケットの日』は1980年に社団法人『全国ビスケット協会』が制定した記念日だよ。1855年2月28日、パンの製法を学ぶために長崎に留学していた水戸藩士の蘭学者・柴田方庵が、オランダ人から学んで作った日本初のパン・ビスケットのレシピ本『パン・ビスコイト製法書』を水戸藩に送ったことが由来らしい」
クロード「ビスコイト? ビスケットではないのですか?」
ヒビキ「ビスケット(biscuit)は英語。ビスコイト(biscouto)はポルトガル語だね。当時の日本では英語よりもポルトガル語の方が馴染みのある外国語だったんだ」
クロード「あ、知ってます。『かすてら』とか『こんぺいとう』のことですね」
ヒビキ「そうそう。だけど、広まったのはアメリカ式ビスケットだったみたい」
クロード「えーと、時期的に確か……黒船とかいうのが来た頃ですか」
ヒビキ「よく覚えてたね。黒船が来たのは1853年だから、ほぼ同時期だ。そして日本は徐々にアメリカの影響を受けるようになっていくわけだけど、まさかビスケットまでそれに含まれていたとは思いもしなかったな」
クロード「そういえばヒビキ様、確か似たようなので『クッキー』という焼き菓子がありましたよね。あれはビスケットと何が違うのです?」
ヒビキ「何も違わないけど?」
クロード「そうなのですか? ですが『すーぱー』ではビスケットという名で売っているものもあれば、クッキーと称して販売されているものもありますよ?」
ヒビキ「あれは言語圏で使っている言葉が違うだけだよ。『クッキー』と言っているのは主に北米で、それ以外の英語圏では一般的に『ビスケット』と呼んでいる。だから、製法や原材料に具体的な差があるわけじゃないんだ」
クロード「そうなのですか、ややこしいですね。統一すればいいのに」
ヒビキ「日本は英語圏じゃないから混同しちゃったんだろうね。あ、でも、アメリカでビスケットというと、イギリスのスコーンみたいなお菓子のことだから、一応使い分けていないわけじゃないみたいだよ」
クロード「余計にややこしいですよ。同じ英語圏なのになにゆえ扱いが違うのか」
ヒビキ「まあ、同じといっても別大陸の話だから仕方ないよ。第一、ビスケットの語源はラテン語の『パニース・ビスコクトゥス(二度焼いたパン)』で、そこから各言語で呼び名が生まれたわけだから、地域によって変化が生じるのは必然だよ、必然」
クロード「異世界言語はやはり難しいですね。私達の世界を見習ってほしいです」
ヒビキ「そういえば、この世界って種族が違っても同じ言葉をしゃべってるよね。そっちの方が言語学的にはおかしい気もするけど」
クロード「それよりヒビキ様、せっかくの焼きたてビスケットが冷めてしまいます。早く食べましょう」
ヒビキ「あ、ホントだ。よし、それじゃあクロードはリビングにビスケットを持っていってくれる? 俺は紅茶を淹れるから」
クロード「承知しました。ふふ、焼きたてを食べるのは初めてですよ、楽しみです」
ヒビキ「今回のは結構自信作だから期待してくれていいよ」
クロード「嬉しいことを仰いますね。それではビスケットをリビングへ……ああ!?」
ヒビキ「どうしたの?」
クロード「ヒ、ヒビキ様……わ、私が運んだビスケットが……」
ヒビキ「ビスケットがどうし……なんで真っ黒になってるの?」
クロード「知りません! 私はただビスケットを運んだだけで……!?」
ヒビキ「俺の焼きたてビスケットが『何かよくわからないもの』に……」
クロード「わ、私じゃありませんよ!?」
ヒビキ「……とうとう配膳すら任せられなくなっちゃったかぁ」
クロード「私のせいじゃないですってばあああああああああ!」
★★★★★
その他の記念日『バカヤローの日』
※1953年2月28日。
※当時の首相・吉田茂が、衆議院予算員会で『バカヤロー』発言をしたことに由来。
※後にこれが原因?で衆議院は解散に追い込まれている(俗称『バカヤロー解散』)
ヒビキ「なーんてね! 4月1日にはかなり早いけど、本物はこっちです!」
クロード「しゃれになってないですよー! バカヤロー!」
ヒビキ「おお、いい感じ♪」
クロード「何が良いのですか?」
ヒビキ「わっ!? び、びっくりした、クロードか」
クロード「驚かせたようで申し訳ありません。大変美味しそうな匂いがしたものですから、つい。ほぉ、ビスケットですか。焼きたての香りがします」
ヒビキ「今日2月28日は『ビスケットの日』だからね。午後のお茶菓子はこれにしようって決めていたんだ」
クロード「わざわざ自分で作るところがヒビキ様らしいですね。しかし、なにゆえ今日が『ビスケットの日』なので? 語呂合わせではなさそうですし……」
ヒビキ「『ビスケットの日』は1980年に社団法人『全国ビスケット協会』が制定した記念日だよ。1855年2月28日、パンの製法を学ぶために長崎に留学していた水戸藩士の蘭学者・柴田方庵が、オランダ人から学んで作った日本初のパン・ビスケットのレシピ本『パン・ビスコイト製法書』を水戸藩に送ったことが由来らしい」
クロード「ビスコイト? ビスケットではないのですか?」
ヒビキ「ビスケット(biscuit)は英語。ビスコイト(biscouto)はポルトガル語だね。当時の日本では英語よりもポルトガル語の方が馴染みのある外国語だったんだ」
クロード「あ、知ってます。『かすてら』とか『こんぺいとう』のことですね」
ヒビキ「そうそう。だけど、広まったのはアメリカ式ビスケットだったみたい」
クロード「えーと、時期的に確か……黒船とかいうのが来た頃ですか」
ヒビキ「よく覚えてたね。黒船が来たのは1853年だから、ほぼ同時期だ。そして日本は徐々にアメリカの影響を受けるようになっていくわけだけど、まさかビスケットまでそれに含まれていたとは思いもしなかったな」
クロード「そういえばヒビキ様、確か似たようなので『クッキー』という焼き菓子がありましたよね。あれはビスケットと何が違うのです?」
ヒビキ「何も違わないけど?」
クロード「そうなのですか? ですが『すーぱー』ではビスケットという名で売っているものもあれば、クッキーと称して販売されているものもありますよ?」
ヒビキ「あれは言語圏で使っている言葉が違うだけだよ。『クッキー』と言っているのは主に北米で、それ以外の英語圏では一般的に『ビスケット』と呼んでいる。だから、製法や原材料に具体的な差があるわけじゃないんだ」
クロード「そうなのですか、ややこしいですね。統一すればいいのに」
ヒビキ「日本は英語圏じゃないから混同しちゃったんだろうね。あ、でも、アメリカでビスケットというと、イギリスのスコーンみたいなお菓子のことだから、一応使い分けていないわけじゃないみたいだよ」
クロード「余計にややこしいですよ。同じ英語圏なのになにゆえ扱いが違うのか」
ヒビキ「まあ、同じといっても別大陸の話だから仕方ないよ。第一、ビスケットの語源はラテン語の『パニース・ビスコクトゥス(二度焼いたパン)』で、そこから各言語で呼び名が生まれたわけだから、地域によって変化が生じるのは必然だよ、必然」
クロード「異世界言語はやはり難しいですね。私達の世界を見習ってほしいです」
ヒビキ「そういえば、この世界って種族が違っても同じ言葉をしゃべってるよね。そっちの方が言語学的にはおかしい気もするけど」
クロード「それよりヒビキ様、せっかくの焼きたてビスケットが冷めてしまいます。早く食べましょう」
ヒビキ「あ、ホントだ。よし、それじゃあクロードはリビングにビスケットを持っていってくれる? 俺は紅茶を淹れるから」
クロード「承知しました。ふふ、焼きたてを食べるのは初めてですよ、楽しみです」
ヒビキ「今回のは結構自信作だから期待してくれていいよ」
クロード「嬉しいことを仰いますね。それではビスケットをリビングへ……ああ!?」
ヒビキ「どうしたの?」
クロード「ヒ、ヒビキ様……わ、私が運んだビスケットが……」
ヒビキ「ビスケットがどうし……なんで真っ黒になってるの?」
クロード「知りません! 私はただビスケットを運んだだけで……!?」
ヒビキ「俺の焼きたてビスケットが『何かよくわからないもの』に……」
クロード「わ、私じゃありませんよ!?」
ヒビキ「……とうとう配膳すら任せられなくなっちゃったかぁ」
クロード「私のせいじゃないですってばあああああああああ!」
★★★★★
その他の記念日『バカヤローの日』
※1953年2月28日。
※当時の首相・吉田茂が、衆議院予算員会で『バカヤロー』発言をしたことに由来。
※後にこれが原因?で衆議院は解散に追い込まれている(俗称『バカヤロー解散』)
ヒビキ「なーんてね! 4月1日にはかなり早いけど、本物はこっちです!」
クロード「しゃれになってないですよー! バカヤロー!」
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