ヒビキとクロードの365日

あてきち

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2月

2月21日『日刊新聞創刊の日』

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 ヒビキ「あれ、クロード、何してるの?」

クロード「あ、ヒビキ様。新聞が溜まってきたので紐で縛っているのです。新聞とは便利な反面嵩張っていけませんね。ははは」

 ヒビキ「……とうっ!」

クロード「ああああああ!? なぜ私が積んだ新聞にダイブするのですか!?」

 ヒビキ「ふぅ、気分すっきり」

クロード「私は最悪ですよ! せっかく綺麗にまとめてあったのに。またやり直しではありませんか……」

 ヒビキ「クロード、新聞を捨ててしまおうだなんて、新聞への感謝の気持ちが足りないぞ、この野郎」

クロード「この野郎って言われた。ヒビキ様にこの野郎って言われた……というか、溜まった新聞を処分するなど当たり前のことではありませんか」

 ヒビキ「この世界で植物誌がどれだけ貴重なものか分かっていないのか!」

クロード「いやだって、これ、ヒビキ様の国から取り寄せたものじゃないですか。内容だってヒビキ様の国のものですし。貴重ですけど正直、関係ないというか……」

 ヒビキ「だから、新聞への感謝の気持ちが足りないってば! 今日2月20日は『日刊新聞創刊の日』だっていうのに、そんなことでどうするんだ!」

クロード「『日刊新聞創刊の日』? 日刊新聞って何ですか?」

 ヒビキ「刊行間隔の分類のことだよ。毎日刊行されるから日刊紙といわれるんだ」

クロード「つまり、毎朝届いているこの新聞のことですね」

 ヒビキ「それは日刊紙の中の朝刊紙だね。他にも夕方に発行される夕刊紙も日刊紙に含まれている。ユネスコの基準では週4回以上発行していれば毎日じゃなくても日刊紙として扱われるらしいけど」

クロード「今日はその『日刊紙』の記念日なのですね?」

 ヒビキ「まあね。1872年2月21日。日本で初の日刊新聞『東京日日新聞』が創刊されたことにちなんだ記念日だね」

クロード「全く聞き覚えのない新聞ですが……」

 ヒビキ「現在の毎日新聞がこれにあたるそうだよ」

クロード「ああ、それなら知ってます。学生帽を被った幼児が親戚に養子へ貰われて始まる物語を掲載していた新聞ですよね」

 ヒビキ「古い! 古いよ、クロード! むしろそっちを知ってるなら東京日日新聞は知ってなきゃおかしいよ!」

クロード「いえいえ、アニメ化もされた作品だったのでそっちを見たことがあるだけですよ。なかなか面白かったです」

 ヒビキ「1982年のアニメだよ。どこで見たんだか……まあ、とにかく、今日は日刊新聞が始まった記念すべき日なんだから、新聞はもっと大事に扱わないと」

クロード「躊躇なく新聞にダイブしておいてよくもまあそんなセリフが言えるものですね。しかし、ある程度新聞が溜まったら処分しないと部屋を圧迫しますよ?」

 ヒビキ「大丈夫。新聞は読む以外にも色々活用できるからね!」

クロード「ほぉ、例えば?」

 ヒビキ「例えば除湿効果。今の時期、室内干しをすることも多いでしょ? 丸めた新聞紙を洗濯物の下に転がしておくと、新聞紙が水分を吸って乾きやすくなるんだ」

クロード「それは便利ですね」

 ヒビキ「窓ふきにも使えるよ。インクの油分がガラスをコーティングしてくれるから、雑巾で水拭きしたあとに新聞紙で拭くと窓がピカピカになるんだ」

クロード「ほほぉ、それも便利そうです」

 ヒビキ「ふふん、そうでしょう。だから、新聞紙をむやみやたらと捨てちゃダメなんだからね! 大事にとっておかないと」

クロード「新聞紙も資源回収に出せばちゃんとリサイクルされるんですが……ヒビキ様がそうしたいのなら今回はそれでよいことにしておきましょう」




★★★★★
その他の記念日『漱石の日』
※1911年2月21日。
※文部省が作家・夏目漱石に文学博士の称号を贈ると伝えた。
※――ことに対し、必要ないと断ったことにちなんだ記念日。

クロード「ヒビキ様、日刊新聞より作家を取り扱った方が面白かったのでは?」
 ヒビキ「漱石さんは凄い作家だけど、扱いにくいから大変なんだって」
クロード「それ、誰の意向ですか?」
 ヒビキ「生い立ちも性格も作品も複雑すぎてまとめきれないから諦めたんだって」
クロード「いやだから、誰の話ですか?」

※漱石先生は無理っす!
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