ヒビキとクロードの365日

あてきち

文字の大きさ
上 下
346 / 388
2月

2月19日『二十四節気その22 第二【雨水】』

しおりを挟む
クロード「ヒビキ様、準備が整いました」

 ヒビキ「それじゃあ、出掛けようか。あ、傘は持った?」

クロード「傘ですか?」

 ヒビキ「うん。今日2月19日は二十四節気の『雨水』だからね。そろそろ雨にも気を付けておかないと」

クロード「そのまんま雨が降りそうな名前ですね。どういった意味なのですか?」

 ヒビキ「梅雨みたいに連日雨が降るって意味ではないんだけどね。空から降るものが雪から雨にかわり、雪が溶け始める頃を『雨水』というんだ」

クロード「今年は暖冬だから当てはまらないかもしれませんね」

 ヒビキ「二十四節気はあくまで暦上の季節であって、現実とは微妙にズレているのは当たり前だしね。実際、二月半ばが積雪のピークって地域も少なくないよ」

クロード「まあ、雪でも雨でも傘が必要であることに変わりはないので、携帯することに依存はありませんよ」

 ヒビキ「あくまで地球、それもアジア方面の季節の話だから、この異世界においては何の関係もないんだけどね」

クロード「身も蓋もないことを言わないでください。第一、今からそのヒビキ様の世界へ買い出しに行くのですから間違いでもないでしょう」

 ヒビキ「雨もだけど、一応春一番にも気を付けなくちゃ。そんな日に傘を差したら吹き飛ばされちゃうよ」

クロード「春一番? 確か、この時期に吹く南風でしたか。この前サブ記念日として取り上げませんでしたっけ? 今も吹くのですか?」

 ヒビキ「むしろ今が旬? 北日本と沖縄を除く地域で、その年に初めて吹く南寄りの強い風を『春一番』というんだ。例年2月から3月半ばの、立春から春分の間に起きる風のことだよ。北陸地方では2月16日に春一番が吹いたんだって」

クロード「おや、直近ですね」

 ヒビキ「春一番は強風だし、吹いた日は気温が上昇するけど、その翌日には『寒の戻り』といって寒さが戻ることが多いから、できれば立ち合いたくないんだよね」

クロード「ふむ……『すまほ』でピポパ……おお、確かに北陸地方の福井県の気温、2月16の最高気温は15.1度ですが、その翌日の17日は8.3度となっています」

 ヒビキ「気温が一気に半減か。18日にはさらに気温が下がって雪も降ったみたいだし、噂に違わぬ面倒臭さだね。まあ、今日は福井に行くわけじゃないけど」

クロード「確か、福井は暖冬で今年はあまり雪が降らなかったのでしょう? だというのに『雨水』の頃になって雪が降りだすだなんて、最近の天候は暦にケンカでも売っているのでしょうか?」

 ヒビキ「そんなのいつものことでしょ。暦なんて人間が決めたものに過ぎないんだから現実とはズレがあって当然。あくまで目安だよ、目安」

クロード「達観してますね、ヒビキ様……」

 ヒビキ「そんなことよりそろそろ出発しようよ」

クロード「そうですね。では傘を忘れずに持って、と」

 ヒビキ「いざ、スーパーの特売卵とティッシュを買いに、しゅっぱーつ!」

クロード「……世界を股に掛けてまで欲しいものでもないんですがね」




★★★★★
その他の記念日『天地の日』
※『地動説』を主張したニコラウス・コペルニクスの誕生日。

クロード「地動説というと、宇宙の中心は太陽であるという考え方でしたか?」
 ヒビキ「その通り。その逆に天動説というものもあるよ」
クロード「そっちは地球が宇宙の中心であるという考え方ですね」
 ヒビキ「ちなみに、この異世界は天動説の世界だよ。読者の皆は覚えてるかな?」
クロード「まさに『異世界』ですねぇ」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

処理中です...