ヒビキとクロードの365日

あてきち

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2月

2月18日『冥王星の日』

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クロード「ヒビキ様、ヒビキ様!」

 ヒビキ「大声出してどうしたのさ、クロード?」

クロード「裏庭に不審人物が!」

 ヒビキ「不審人物? ……ああ、あの人ね」

クロード「庭石に座りながら物憂げに空を眺めているのです」

 ヒビキ「みたいだねぇ」

クロード「それになんと面妖な格好でしょう。あれは確か、ヒビキ様の世界の『セーラー服』とかいう服ではありませんでしたか?」

 ヒビキ「かなりアレンジされているけど、一応セーラー服かな?」

クロード「ですが、私の記憶では、あれは十代の女性が着る服だったような……」

 ヒビキ「一般的にはそういう認識でいいと思うよ」

クロード「しかし、あの者はどう見ても二十代の大人の女性です」

 ヒビキ「……そ、それは言及しちゃダメなところじゃないかなぁ?」

クロード「誰何しようかと思ったのですが、何やら思い詰めている様子で、声をかけづらかったのです。一体何者なのでしょうか……?」

 ヒビキ「しょうがないんじゃないかな。今日2月18日は『冥王星の日』だし」

クロード「めいおうせい? 星ですか?」

 ヒビキ「1930年2月18日。アメリカのローウェル天文台にいた天文学者クライド・トンボー氏が冥王星を発見したことにちなんだ記念日だよ」

クロード「は、はぁ、そうなのですか。しかし、それと彼女に何の関係が……」

 ヒビキ「冥王星は英語で『Pluto(プルート)』というんだ」

クロード「は、はぁ、そうなのですか。しかし、それと彼女に何の繋がりが……」

 ヒビキ「発見当時、冥王星は太陽系第九惑星として区分されていたんだ。しかし、それから76年後に悲劇が起こる」

クロード「悲劇ですか?」

 ヒビキ「2006年8月に開かれた国際天文学連合総会で、冥王星は新たに設けられた区分『準惑星』に分類されてしまったんだよ」

クロード「……悲劇なのですか?」

 ヒビキ「設定的に」

クロード「設定的に?」

 ヒビキ「だって、守護星である太陽系惑星の力を持つ戦士って設定だったのに、準惑星に分類されちゃったんだよ? 設定が根本から覆されちゃったんだから」

クロード「ヒビキ様、もう何の話をしているのかさっぱりです」

 ヒビキ「分かる人だけ分かればいいんじゃないかな?」

クロード「それで、あの者のことはどうするので……なんか増えてる!?」

 ヒビキ「1、2、3……うわー、全員集合ってやつ? 年長組から年下組まで一堂に会するなんて、まるで劇場版みたいだね♪」

クロード「何のんきなことを仰っているのですか!? 不法侵入者が10人もいるのですよ! とっつかまえて警察に突き出してやりませんと!」

 ヒビキ「こっちの世界に警察はないけどね……て、帰るみたいだよ」

クロード「えっ!? あ、本当だ。全員が最初の女性を慰めて帰るようですね……本当に何がしたかったのでしょう?」

 ヒビキ「あっ!」

クロード「どうされました!?」

 ヒビキ「よく考えたら、『月』って惑星じゃなくて衛星だった。だったら別に準惑星でも問題ないのかも。そもそも名乗る時に惑星って言わないから別にいいのかな?」

クロード「……分からない人には、今日の話は本気でさっぱりでしょうね」





★★★★★
その他の記念日『安眠の日』
※関東の一部地域で定められている睡眠時間の規定通りしっかり休もうという日。

クロード「この記念日もさっぱりですね。関東の一部地域って……」
 ヒビキ「あれだけ設定ちりばめて話したのに分からない人なんているのかな?」
クロード「私の話は無視ですか……全く知らない人だって絶対いますって」
 ヒビキ「そんな悪い子は、月に代わっておしおきしちゃうぞ」
クロード「??? そもそも月におしおきされる筋合いなどないというか、月がどうやっておしおきするんだって話なのですが……」
 ヒビキ「うわぁ、目の前にいたよ、全然分かってない人」
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