ヒビキとクロードの365日

あてきち

文字の大きさ
上 下
335 / 388
2月

2月8日『郵便マークの日』

しおりを挟む
クロード「ふむ? ふむむ? ん~?」

 ヒビキ「何してるの、クロード?」

クロード「あ、ヒビキ様。いえ、ヒビキ様の世界に行った時に迷子にならないようにと地図を見ているのですが、どれが何の施設なのかよく分からなくて」

 ヒビキ「ああ、地図って結構見るのが難しいよね。それで、何に困ってるの?」

クロード「はい。これらの記号はどういう意味なのでしょうか?」

 ヒビキ「これは地図記号だね。今時こんなレトロな地図を見てるなんて」

クロード「え? 古い地図でしたか?」

 ヒビキ「もちろん今でも現役だけど、g〇〇gleマップとかなら施設名も一緒に記載されているのに、地図記号しか載っていない紙の地図を見ているっていうのがねぇ」

クロード「なんと!? 地図といえば紙という印象が強くて思いつきませんでした」

 ヒビキ「そこは現代日本人と異世界人の文化の違いなのかもしれないね」

クロード「では、この『〶』マークはどういう意味なのですか?」

 ヒビキ「それは『郵便局』だよ。まんま『郵便マーク』だからね」

クロード「郵便局……これが? どうしてこれが郵便局を意味するのでしょうか。関連性が分かりません。一体いつ決めたのやら……」

 ヒビキ「今日だよ」

クロード「へ?」

 ヒビキ「1887年(明治20年)2月8日、当時の郵政を管轄していた中央官庁の『逓信省』が郵便マークを制定したんだ。だから今日は『郵便マークの日』でもある」

クロード「では、その日からこのマークが使われ始めたのですか?」

 ヒビキ「その通り……と言いたいところだけど、ちょっと違う」

クロード「違うのですか? マークを決めたのですよね?」

 ヒビキ「2月8日の時点で逓信省は『今より(T)字形を以って本省全般の徽章とす』と告示したんだ」

クロード「(T)の字? 横線が一本足りませんよ?」

 ヒビキ「うん、だから逓信省は同年2月14日にマークを(〒)に変更した旨を公表し、19日に官報で『実は(〒)の誤りだった』と訂正しているんだよ」

クロード「なんでまたそんな間違いを」

 ヒビキ「それには諸説あってここでは語り切れないけど、一番有力だと言われているのは、(T)の郵便マークでは世界に通用しない可能性があったからかな」

クロード「世界に通用しない? どうしてですか?」

 ヒビキ「国際郵便において(T)マークは『郵便料金不足』を意味する印として万国共通に使用されていたんだって」

クロード「ああ、それでは使えませんね。外国人から変な誤解を受けそうです」

 ヒビキ「それで急遽(〒)マークに変更したって説だね。ただ、このマークになった理由も、『逓信省(テイシンショウ)』の『テ』から取った説と、(T)でダメなら一本加えちゃえって具合に単純に決まった説の二種類があるんだ」

クロード「どちらだろうと心底どうでもいいのですが、郵便マークひとつで色々と話が膨らむものですね。むしろそっちに驚きです」

 ヒビキ「詳しい情報が公開されていないからどんどん憶測が飛んだんだろうね」

クロード「諸説はともかく、これでひとつ地図を読めるようになりました。ありがとうございます、ヒビキ様。さて、他の地図記号もこの調子で把握していきますよ」

 ヒビキ「役に立ててよかったよ。地図記号は100種類以上あるけど頑張ってね」

クロード「……」

 ヒビキ「――? クロード?」

クロード「……唸れ、私のg〇〇gleマップ!」

 ヒビキ「うん、まあ、それが妥当じゃないかな……」





★★★★★
その他の記念日『にわとりの日』
※『にわとり』=『に(2)わ(8)とり』の語呂合わせ。
※ブランド鶏『華味鳥』を育てる、福岡県の『トリゼンフーズ』が制定。
※普段何気なく食べている鶏肉へ、命をいただいているという意識と感謝をする日。

 ヒビキ「そういえば、こっちの世界で食べられている鳥肉って鶏なの?」
クロード「…………さ、さあ? 私達は、一体何の肉を食べているのでしょうか?」
 ヒビキ「感謝以前の話だったね……」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

因果応報以上の罰を

下菊みこと
ファンタジー
ざまぁというか行き過ぎた報復があります、ご注意下さい。 どこを取っても救いのない話。 ご都合主義の…バッドエンド?ビターエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。

BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。 しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。 その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...