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1月
1月17日『防災とボランティアの日』
しおりを挟む※とある深夜――グラグラグラッ!
ヒビキ「おはよう、クロード」
クロード「ふわぁ、おはようございます、ヒビキさ……どうされたのですか?」
ヒビキ「ん? どうって?」
クロード「いえ、その、朝から運動着のような格好をなさっているので……」
ヒビキ「ああ、これは今からボランティアの行くんだよ」
クロード「ぼらんてぃあ? 確か、無償奉仕のことでしたよね。突然なぜ?」
ヒビキ「昨夜地震があったのは知ってる?」
クロード「そうなのですか? 全く気が付きませんでした」
ヒビキ「震源地はここから離れたところなんだけど、向こうでは結構な被害が出たらしいんだ。今日1月17日は『防災とボランティアの日』でもあるからね、俺も協力しようと思って」
クロード「そういうことでしたらご自分だけ準備をしないで私にも仰ってくださればよろしいものを。ヒビキ様が行かれるのでしたら私もご一緒しますよ」
ヒビキ「いいの?」
クロード「もちろんです。ヒビキ様を一人で行かせるのも心配ですし、何よりこの世界は持ちつ持たれつですからね、助け合っていきませんと」
ヒビキ「ありがとう、クロード」
クロード「では、朝食を食べたら私も準備をしましょう。ところで、『防災とボランティアの日』とはどういった由来の記念日なのです?」
ヒビキ「1995年1月17日に発生した『阪神・淡路大震災』にちなんで制定された記念日だよ。はい、今日の朝食は和風で用意してみました」
クロード「ふむ、定番のご飯と焼き鮭に生卵ですか。いただきます。もぐもぐ、美味し……私も『ねっと』で関連記事を読んだことがありますよ。大変な災害だったとか」
ヒビキ「俺も当時はまだ生まれていなかったから伝聞でしか知らないけど、酷い被害だったみたいだね。ただ、そんな中活動が活発化したのが、学生を中心としたボランティアだったそうだよ」
クロード「国内で起きた未曽有の危機に人々が立ち上がったのですね」
ヒビキ「そゆこと。1995年は『日本のボランティア元年』なんていう人もいるくらいで、今では災害とボランティアは切っても切れない関係になっているね」
クロード「それで今日は『防災とボランティアの日』なのですね」
ヒビキ「今日だけじゃなくて、1月15日から21日までの7日間を『防災とボランティア週間』とも定められていて、政府でも災害時の連携やボランティアの協力を呼び掛けたりしているみたいだよ」
クロード「そういえば、災害時のニュースでボランティアを自治体が仕切っている場面なども最近ではよく見かけますね」
ヒビキ「ボランティアは大変頼もしい反面、誰かが仕切らないと統制のとれない有象無象になりかねないからね、受け入れる側も必死だよ」
クロード「有象無象?」
ヒビキ「確か『阪神・淡路大震災』の時は、統制が取れていないせいで逆に被災者の飲食物や寝床をボランティアが奪っていたなんて批判もあったんだって」
クロード「……それは、完全に善意が裏目に出ていますね」
ヒビキ「『観光客的ボランティア』なんて言われて随分叩かれたらしいよ。せっかく被災地に協力しようと思っているなら、そういう点にも配慮できるようにならないといけないね」
クロード「はい、有難迷惑にならないよう気を付けましょう。さて、朝食も食べ終わりましたし、そろそろ出掛けましょうか」
ヒビキ「うん、俺も準備はオーケーだよ。瓦礫の撤去なんかもあるだろうから期待してるからね。頑張ろう!」
クロード「了解です……ところでヒビキ様」
ヒビキ「何?」
クロード「……今日はこれといってボケもオチもありませんが、よろしいのですか? って、あいたっ!? なぜ私のすねを蹴るのですか!?」
ヒビキ「はい、これでボケとオチが完成しましたー。行くよー」
クロード「えええっ!? 雑すぎませんか? あ、待ってください、ヒビキ様!」
ヒビキ「……まったく、TPOを考えなさい、TPOを」
クロード「おいてかないでください、ヒビキ様ー!」
★★★★★
その他の記念日『おむすびの日』
※『ごはんを食べよう国民運動推進協議会』が2000年11月に制定。
※『阪神・淡路大震災』でボランティアの炊き出しで被災者が励まされたことから。
ヒビキ「よーし、俺もおむすびを作って炊き出しするぞ」
クロード「私も手伝います。ごはんを丸めるおむすびくらいなら私でも――」
ヒビキ「ダメに決まってるでしょ!?」
クロード「あ、言われてみれば獣人の手では毛が混じってしまいますね」
ヒビキ「……うん、そういうことにしといてあげるからクロードは素直に瓦礫撤去を頑張ってね(被災地を助けに行ってとどめを刺されたらかなわんよ、まったく)」
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