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1月
1月12日『桜島の日』
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ヒビキ「というわけで、とうちゃーく!」
クロード「毎度のことながらヒビキ様の『というわけで』は唐突ですよね。しかし、本当に長い道のりでした。前日に東京からわざわざ鈍行列車で南下して、二日がかりで辿り着いたと思ったら今度は船ですから……移動だけでもう疲れましたよ」
ヒビキ「いい大人が何言ってるのさ」
クロード「いい大人だからですよ。もう電車の景色ではしゃげる歳ではないのです」
ヒビキ「電車に乗り慣れていない異世界人のセリフとは思えないね。各駅停車は旅の醍醐味じゃない。もっと旅行を楽しもうよ」
クロード「はぁ。それで、こんなに時間をかけて到着したここはどこなのですか? 何やら小さな島のようですが……」
ヒビキ「正確には微妙に地続きだけどね。ここは鹿児島県にある『桜島』だよ。なんたって今日1月12日は『桜島の日』だからね」
クロード「さくらじま……大変雅な雰囲気の名前ですね。どのような由来が?」
ヒビキ「俺達はフェリーでここまで来たけわけだけど、ほら、東の方に小高い山が見えるでしょ?」
クロード「そうですね。この島全体が山って感じで、沿岸に人の領域が広がっている感じでしょうか。あの山がどうかしたのですか?」
ヒビキ「あれ、活火山なんだ」
クロード「活火山というと……え? もしかしてあの山は噴火するのですか?」
ヒビキ「その通り。『桜島の日』は1914年1月12日、桜島で『大正大噴火』が始まったことにちなんで作られた記念日だよ」
クロード「のほほんと旅行するのに全く相応しくない記念日ですね……」
ヒビキ「鹿児島市では毎年、この日に噴火を想定した防災訓練が行われるらしいよ。まあ、今年は昨日(1月11日)やっちゃったみたいだけど」
クロード「避難訓練て……もしかしてリアルに直近で噴火が危険視されている状況なのですか? あの、私達、こんなところに来て大丈夫なのでしょうか?」
ヒビキ「確認してあるから問題ないよ。今日の桜島の噴火警戒レベルは3。活動はしているから入山規制はされるけど、観光はできるレベルだね」
クロード「噴火警戒レベル? そういうものを確認できるのですか?」
ヒビキ「桜島は現在進行形で活動している火山だからね。基本的に24時間体制で監視されているんだ。だから旅行に行きたい人は事前に『桜島 噴火情報』とでも検索すればすぐに確認することができるんだよ」
クロード「ほぉ、それは助かりますね。とりあえず大丈夫そうで安心しました」
ヒビキ「まあ、『大正大噴火』を含めて何度も大きな噴火を起こしている山だから心配する気持ちも理解できるけど、きちんと自分で確認すれば大丈夫だからあまり不安がらなくていいと思うよ。過ぎた心配は風評被害のもとだからね」
クロード「はい、肝に銘じます。確かに、せっかく生きた火山まで旅行に来たのですから楽しまなくては損ですね。では、手始めに何をしましょうか?」
ヒビキ「もちろん、活火山の火口の様子を見学しようじゃないか!」
クロード「……いや、ヒビキ様? 先程自分で入山規制されていると仰っていたではありませんか。今日は噴火警戒レベル3ですよ?」
ヒビキ「俺達のステータスなら万が一の時でも十分避難に間に合うさ。大丈夫!」
クロード「いやいやいや、そういう問題ではなくてですね。ほら、ヒビキ様が大きな声で宣言するものだから周りの視線が……」
ヒビキ「というわけで、火口へ向けてしゅっぱ――」
????「お客さん、ちょーっとよろしいですかねぇ?」
ヒビキ「ふえ? どちら様? ああ、観光案内の人? 何か用で……え、ちょっと来いって? なんで? 今から俺、島の観光に行くん――あ、ちょ、引っ張らないで! ク、クロードオオオオオオオオ!?」
クロード「…………まあ、当然の結果ですね。えーと、皆さん(?)も入山規制されている山に勝手に入らないようにしましょうね」
★★★★★
その他の記念日『スキー記念日』
※1911年1月12日。
※オーストリア陸軍レルヒ少佐が、新潟県高田(現・上越市)の陸軍高田歩兵第58連隊の青年将校に、日本で初めてスキーの指導を行ったことに由来。
※1994年にとある会社が制定後、遅れて全日本スキー連盟も2003年に制定。
クロード「……いや、由来がピンポイント過ぎるでしょ。いいんですかそれで?」
ヒビキ「時期的には合ってるし、別にいいんじゃない? ……どうでも」
クロード「ヒビキ様、哀しい本音が漏れています、自重してください」
クロード「毎度のことながらヒビキ様の『というわけで』は唐突ですよね。しかし、本当に長い道のりでした。前日に東京からわざわざ鈍行列車で南下して、二日がかりで辿り着いたと思ったら今度は船ですから……移動だけでもう疲れましたよ」
ヒビキ「いい大人が何言ってるのさ」
クロード「いい大人だからですよ。もう電車の景色ではしゃげる歳ではないのです」
ヒビキ「電車に乗り慣れていない異世界人のセリフとは思えないね。各駅停車は旅の醍醐味じゃない。もっと旅行を楽しもうよ」
クロード「はぁ。それで、こんなに時間をかけて到着したここはどこなのですか? 何やら小さな島のようですが……」
ヒビキ「正確には微妙に地続きだけどね。ここは鹿児島県にある『桜島』だよ。なんたって今日1月12日は『桜島の日』だからね」
クロード「さくらじま……大変雅な雰囲気の名前ですね。どのような由来が?」
ヒビキ「俺達はフェリーでここまで来たけわけだけど、ほら、東の方に小高い山が見えるでしょ?」
クロード「そうですね。この島全体が山って感じで、沿岸に人の領域が広がっている感じでしょうか。あの山がどうかしたのですか?」
ヒビキ「あれ、活火山なんだ」
クロード「活火山というと……え? もしかしてあの山は噴火するのですか?」
ヒビキ「その通り。『桜島の日』は1914年1月12日、桜島で『大正大噴火』が始まったことにちなんで作られた記念日だよ」
クロード「のほほんと旅行するのに全く相応しくない記念日ですね……」
ヒビキ「鹿児島市では毎年、この日に噴火を想定した防災訓練が行われるらしいよ。まあ、今年は昨日(1月11日)やっちゃったみたいだけど」
クロード「避難訓練て……もしかしてリアルに直近で噴火が危険視されている状況なのですか? あの、私達、こんなところに来て大丈夫なのでしょうか?」
ヒビキ「確認してあるから問題ないよ。今日の桜島の噴火警戒レベルは3。活動はしているから入山規制はされるけど、観光はできるレベルだね」
クロード「噴火警戒レベル? そういうものを確認できるのですか?」
ヒビキ「桜島は現在進行形で活動している火山だからね。基本的に24時間体制で監視されているんだ。だから旅行に行きたい人は事前に『桜島 噴火情報』とでも検索すればすぐに確認することができるんだよ」
クロード「ほぉ、それは助かりますね。とりあえず大丈夫そうで安心しました」
ヒビキ「まあ、『大正大噴火』を含めて何度も大きな噴火を起こしている山だから心配する気持ちも理解できるけど、きちんと自分で確認すれば大丈夫だからあまり不安がらなくていいと思うよ。過ぎた心配は風評被害のもとだからね」
クロード「はい、肝に銘じます。確かに、せっかく生きた火山まで旅行に来たのですから楽しまなくては損ですね。では、手始めに何をしましょうか?」
ヒビキ「もちろん、活火山の火口の様子を見学しようじゃないか!」
クロード「……いや、ヒビキ様? 先程自分で入山規制されていると仰っていたではありませんか。今日は噴火警戒レベル3ですよ?」
ヒビキ「俺達のステータスなら万が一の時でも十分避難に間に合うさ。大丈夫!」
クロード「いやいやいや、そういう問題ではなくてですね。ほら、ヒビキ様が大きな声で宣言するものだから周りの視線が……」
ヒビキ「というわけで、火口へ向けてしゅっぱ――」
????「お客さん、ちょーっとよろしいですかねぇ?」
ヒビキ「ふえ? どちら様? ああ、観光案内の人? 何か用で……え、ちょっと来いって? なんで? 今から俺、島の観光に行くん――あ、ちょ、引っ張らないで! ク、クロードオオオオオオオオ!?」
クロード「…………まあ、当然の結果ですね。えーと、皆さん(?)も入山規制されている山に勝手に入らないようにしましょうね」
★★★★★
その他の記念日『スキー記念日』
※1911年1月12日。
※オーストリア陸軍レルヒ少佐が、新潟県高田(現・上越市)の陸軍高田歩兵第58連隊の青年将校に、日本で初めてスキーの指導を行ったことに由来。
※1994年にとある会社が制定後、遅れて全日本スキー連盟も2003年に制定。
クロード「……いや、由来がピンポイント過ぎるでしょ。いいんですかそれで?」
ヒビキ「時期的には合ってるし、別にいいんじゃない? ……どうでも」
クロード「ヒビキ様、哀しい本音が漏れています、自重してください」
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