ヒビキとクロードの365日

あてきち

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1月

1月3日『原始祭』

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 ヒビキ「あーあ、一年が過ぎるのはあっという間だね」

クロード「新年が始まったばかりで急に何を言い出すのですか、ヒビキ様?」

 ヒビキ「だってもう『正月』も終わりでしょ」

クロード「そうなのですか?」

 ヒビキ「雰囲気的にはもうちょっと続くけど、実質的には1月1日から3日の『三箇日』が『正月』だもの。今年は4日と5日が土・日だからもうちょっと続くといえば続くんだけど」

クロード「三日も休めば十分ではありませんか。大体、私達なんてもう一年近く本編を休んでいるのですから昨年まるまる休んでいたみたいなもので……」

 ヒビキ「新年からそんな暗い話はやめてー!」

クロード「暗いというか割と真面目な話なんですけどね。とはいえ、私個人としてはお正月気分は今日くらいまでで本当に充分ですよ。そろそろ雑煮やおせちにも飽きてくる頃ですし。さ、気を取り直して今日の記念日の紹介をしてください」

 ヒビキ「……しょうがない。今日1月3日は『原始祭』の日でーす」

クロード「うわぁ、やる気のない棒読み。それはそうと『原始祭』とはあまり聞き覚えのない祭りですね。どこで行われているお祭りなのですか?」

 ヒビキ「お祭りっていうか、宮中祭祀のひとつだよ。1月3日に天皇が宮中三殿(賢所・皇霊殿・神殿)において自ら主宰する『親祭』で、皇位の原始を祝ぐ儀式だね」

クロード「……からのぉ?」

 ヒビキ「分からないなら分からないって普通にいいなよ。ちょっと古いよ、それ」

クロード「申し訳ありません。私もお正月気分でテンションがおかしいようです」

 ヒビキ「まあ、かいつまんで説明すると、一年の始まりに皇祖以下祖霊、諸神を祀って皇室と国の繁栄をお祈りする祭祀だよ」

クロード「割と重要そうな儀式に聞こえますけど、なぜ知名度が低いのでしょう?」

 ヒビキ「第二次世界大戦前までは『大祭』に指定されて、一年で最初の大祭として有名だったんだよ? 原始祭は当時正式な祝祭日だったしね」

クロード「つまり、今では違うと?」

 ヒビキ「戦後はこれが廃止されて、今では宮中でしか行われていない行事だからね。廃止されてもう60年以上。すっかり認知度は低迷しちゃったってわけ」

クロード「と、時の流れの速さを感じざるを得ませんね」

 ヒビキ「そう、時間の流れとは早いんだよ。うう、お正月が……」

クロード「あ、そこにループしちゃうんですね。まあまあ、まだ4日、5日があるのですから、今日を含めてあと3日、楽しく過ごしましょうよ」

 ヒビキ「……うん、そうするか。よし! それじゃあ、羽子板でもする? それとも凧揚げ? まさかの福笑い? 何をしようか?」

クロード「……やはり、そろそろ正月は終わりでいいんじゃないでしょうか」

 ヒビキ「なんでだっ!?」




★★★★★
その他の記念日『ひとみの日』
※『ひとみ』=『ひ(1)とみ(3)』の語呂合わせ。

クロード「正月三箇日によく作りましたね。どういう戦略なんでしょう?」
 ヒビキ「こう言っちゃなんだけど、誰も気づかないよね?」
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