ヒビキとクロードの365日

あてきち

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12月

12月11日『国際山岳デー』

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 ヒビキ「ぶるるるるる……さぶい……」

クロード「そりゃあ、12月にもなってから山登りなどすれば寒いに決まっています。さあ、『常春の外套』を羽織ってください」

 ヒビキ「わあ、あったか~い。ありがとう、クロード」

クロード「どういたしまして。しかし、本当になぜこんな季節に登山などしているのですか? せめて春か夏に行えばよいものを」

 ヒビキ「なぜなら今日12月11日は『国際山岳デー』だからさ!」

クロード「記念日ひとつ紹介するのに随分と体当たりなことで」

 ヒビキ「別名『国際山の日』! どんなに寒かろうと、雪が降ろうと、こんな日は山に登らなくちゃね!」

クロード「幸いこの山はまだ雪は降り積もっていなかったので登れましたが、下手したら遭難する危険性があったことを忘れないでいただきたいですね。それで、『国際山岳デー』とはどのような記念日なのですか?」

 ヒビキ「2003年の国際連合総会の決議で定められた国際デーだよ。『持続可能な山岳地域の発展の重要性』への関心を喚起することを目的として制定されたんだ」

クロード「ふむ? 思っていたものとちょっと違う雰囲気の記念日ですね。てっきりヒビキ様の国の『海の日』や『山の日』のようなものと思っていましたが、もっとお堅い感じの記念日なのでしょうか」

 ヒビキ「もともと『国際山岳年』をもとに生まれた記念日だからね」

クロード「こくさいさんがくねん?」

 ヒビキ「山地は水や食糧の供給に関して重要な役割を担っているよね?」

クロード「そうですね。ヒビキ様の世界だけでなく、こちらの世界でも同様です」

ヒビキ「そんな山岳地帯の重要性や特有な生態系への意識を高め、山岳山間地帯の社会の文化的伝統を守り奨励することを目指して、2002年を『国際山岳年』と定めた取り組みが始まったんだよ」

クロード「2002年を『国際山岳年』として、その翌年に12月11日を『国際山岳デー』にすることが決まったのですね。具体的にはどのような活動を?」

 ヒビキ「主導しているのは国連組織の『国際連合食糧農業機関(FAO)』。2004年から毎年、持続的開発に関するテーマを決めてシンポジウムなどを開催しているみたい。2004年は『平和』。2005年は『観光』。昨年の2018年は『山と生活』だって」

クロード「うーむ、ちょっと抽象的過ぎてよく分かりませんね。今年のテーマは何なのですか?」

 ヒビキ「いやー、パッと調べてみたんだけど分からなかったよ。今年から何か変わるってSNSで呟いている人もいたけど、確たる証拠も見つけられなくて」

クロード「そうですか。ぱそこん初心者の私には調べられそうもないですね」

 ヒビキ「俺もそこまで詳しくないからなぁ。気になる人は色々自分で調べてみてということで。それはそうと、せっかく山に来たんだしお弁当でも食べようよ。俺、作ってきたんだ!」

クロード「冬の禿山でお弁当とはなかなかシュールなことで。まあ、いただきますが」

 ヒビキ「というわけで作ってきました、海鮮太巻き♪」

クロード「そこは山の幸で作ってください」





★★★★★
その他の記念日『胃腸の日』
※『胃に良い』=「いにいい(1211)」の語呂合わせ。
※日本大衆薬工業協会が2002年に制定。

 ヒビキ「夏の登山じゃナマモノは簡単に傷んじゃうから、海鮮太巻きは冬の登山だからこそ食べられる、まさに『胃に良い』お弁当だね!」
クロード「語呂合わせと同じくらい都合のいい解釈ですね。まあ、美味しいですが」
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