ヒビキとクロードの365日

あてきち

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12月

12月7日『二十四節気その17 二十一【大雪】』

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クロード「むむむ、堕落の魔法道具『こたつ』……絶対に入らないと言った手前、ヒビキ様の前では遠慮していますが、実際のところどんな感じなのでしょうか?」

※クロードはあたりを見回した。リビングにヒビキの姿はないようだ……。

クロード「ちょ、ちょっとだけなら……」

 ヒビキ「ぶるるる、もう廊下を歩くだけで体が芯から冷えちゃうよ。早くこたつに入ろっと……て、そんな壁際に張り付いて何してるの、クロード?」

クロード「い、いえ、何でもありません……狙いすましたかのようにやって来るなんて、まさか見張られているのでしょうか……?」

 ヒビキ「ん? 何か言った?」

クロード「いいえ、何でも! ――あ」

 ヒビキ「どうしたの? 窓なんか見て」

クロード「ヒビキ様……雪です」

 ヒビキ「え、本当? ……わぁ、こっちでは初雪じゃない?」

クロード「山の方ではずっと降っていたようですが、このあたりで降るのは今日が初めてかもしれません」

 ヒビキ「でも12月に入ってようやくかぁ。今日12月7日は『大雪』なんて呼ばれているのに、随分と遅い初雪だね」

クロード「だいせつ、ですか?」

 ヒビキ「漢字で『おおゆき』と書いて『大雪(だいせつ)』ね。暦便覧では『雪いよいよ降り重ねる折からなれば也』と説明されていて、要するに雪が激しく降り始める頃って意味だね。といっても、地域にもよるだろうけど、大雪というほど今頃の日本はそこまで雪が降り積もってはいないんだけどね」

クロード「知ってます、『ちきゅうおんだんか』とかいうのが原因なのでしょう?」

 ヒビキ「学者さんによっては地球温暖化を否定する意見もあるらしいよ?」

クロード「そうなのですか? 結局、どっちなのです?」

 ヒビキ「国際的には地球温暖化肯定派が主流だよ。ただ、どちらも一応専門家の意見だから、俺達一般人には結局どっちの答えが正しいのかなんて分かんないし……」

クロード「……どうせなら否定派が正解だったらいいのにと思ってしまうんですね」

 ヒビキ「そりゃね、人類の行動によって地球温暖化が引き起こされたんじゃないって意見が正しい方が気持ち的にも楽だしね……て、俺達なんで急に地球環境について語りだしちゃったの? 何の話をしてたんだっけ?」

クロード「確か……そう、雪の話ですよ」

 ヒビキ「ああ、そうだった。今日12月7日が二十四節気の『大雪』って話ね」

クロード「ヒビキ様の国はともかく、こちらの雪はかなり積もりそうですね。乾いた雪がしんしんと降り始めましたよ」

 ヒビキ「これは、明日は雪だるまが作れるかもね。ちょっと楽しみ♪」

クロード「ふむぅ、家庭菜園の作物、まだ収穫前だったのに……いや、今から急げばまだ間に合うか?」

 ヒビキ「こんな時期になってもまだ何か植えてたの?」

クロード「明日は朝から雪かきですかね」

 ヒビキ「ついでに屋根雪下ろしもしなくちゃダメかも」

クロード「うーむ、雪は風情があっていいのですが、いざ降られるとやはり面倒この上ないですね……うちの周りだけ降らなければいいのに」

 ヒビキ「そう考えるのもまた、この季節の定番だねぇ」




★★★★★
その他の記念日『クリスマスツリーの日』
※1886年12月7日。
※横浜で外国人船員のためにクリスマスツリーが飾られたことに由来。

 ヒビキ「異世界にいるんだし、せっかくだから本格的なクリスマスツリーを立てたいな。クロード、モミの木はどこにあるのかな?」
クロード「ありません」
 ヒビキ「うん?」
クロード「調べてみたのですが、こちらの世界には生えていないようです」
 ヒビキ「……こんな世界、来なきゃよかった」
クロード「唐突な異世界転移に遭っても言わなかったのに、こんなことで!?」
 ヒビキ「クリスマスにツリーを立てられない世界なんて……」
クロード「世界一宗教感のないクリスマスを迎える国の住人がそれ、言います?」
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