ヒビキとクロードの365日

あてきち

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12月

12月4日『E.T.の日』

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クロード「むにゃむにゃ……なんてこっ……ぱん、なこっ……ふがぁ? ……いつの間にか昼寝をしてしまったのか。ヒビキ様は……いませんね」

※リビングで目を覚ましたクロード。あたりを見回すが、ヒビキの姿はない。
※ちなみに、頑なにこたつには入っていない。

クロード「時間はまだ午後二時か……どこかに出掛けたのでしょうか? 起こしてくださればよかったのに……おや? なぜか外が暗いような」

※窓から見える外の風景が夜のように暗い。クロードは裏庭へ向かった。

クロード「雨が降っているわけでもないのに……雲は……なっ!? なんだあれは!」

※クロードは驚愕した。家の上空に巨大な、巨大な円盤が浮かんでいたのだ。

クロード「あれは一体……はっ! 家庭菜園の真ん中に何かいる! お前は何者だ!」

〇〇〇〇『い~ち~』

クロード「ひっ! ぜ、全裸で全身皺だらけのうえに不自然に長い首と腕、『ない』といってもいいほどの短足に、不自然に大きな目……め、面妖な!」

〇〇〇〇『い~ち~?』

クロード「……だ、だが、敵意は感じない。お、お前はあの円盤の関係者か?」

〇〇〇〇『いーちー』

クロード「??? ゆ、指など突き出して何なのだ? ……私もするのか?」

〇〇〇〇『い~ち~』

クロード「うわっ! ゆ、指先が光っている!? ……お、おい、指先を合わせているが、これは一体……ふむ? 円盤から光が――眩しいっ!」

※突然円盤から眩い光が溢れ出した。クロードは思わず目を閉じてしまう。

クロード「今のは一体……おい、あれはお前が……あ、あれ? 奴がいない? いや、それ以前に円盤までなくなって……どういうことだ?」

※気が付けば裏庭に円盤はなく、不審者の姿もなくなっている。
※薄暗かった裏庭には明るい日の光が戻っていた。

 ヒビキ「ただいまー。クロード、起きてるー?」

クロード「あ、ヒビキ様! 聞いてください、さっきまでおかしな者がかくかくしかじかだったんですよ!」

 ヒビキ「あはは。『E.T.』じゃあるまいし。今日12月4日が『E.T.の日』だからってそんなネタ振りしなくてもいいんだよ。たまにこういうことするよね、クロード」

クロード「ぐおおおお、毎回そうですが全く信じて貰えない! 大体何なのですか『いーちー』とは!」

 ヒビキ「せめて『イーティー』と発音しよう。1982年に公開されたアメリカのSF映画だね。それに登場する宇宙人が『E.T.』と呼ばれているんだ」

クロード「我が家にはなぜか時折物語の登場人物が唐突に現れるんですが……」

 ヒビキ「と言われても、俺は一度も遭遇したことないよ? ま、宇宙人なんて都市伝説みたいなものだし」

クロード「ぐぬぬぬ、あれは一体何のために現れたのだ。まさか、私をおちょくるためじゃないだろうな……?」

 ヒビキ「……自分も物語の登場人物なのに、何がそんなに気になるんだろ?」




★★★★★
その他の記念日『血清療法の日』
※1890年12月4日。
※血清療法開発につながる破傷風とジフテリアの抗体を発見したことに由来。
※発見者はドイツの医学者エミール・ベーリングと日本語医学者北里柴三郎。

クロード「その宇宙人が私に指を突き出して私と指を突き合せたんです!」
 ヒビキ「『E.T.』といえばあのシーンが有名だけど、実際の劇中にはないんだよね、あれ。主人公の少年の指に光る指を触れさせて切り傷を直すシーンならあるけど」
クロード「なんですって!?」
 ヒビキ「見たことない人はDVDをレンタルしてみよう♪」
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