ヒビキとクロードの365日

あてきち

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11月

11月26日『ペンの日』

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 ヒビキ「あれ、クロード。リビングに這いつくばって何してるの? 五体投地?」

クロード「うちの世界にそういった宗教的しきたりはありません。愛用の万年筆を落としてしまったのです。ヒビキ様、どこかで見かけておりませんか?」

 ヒビキ「万年筆って、これ?」

クロード「ああ、それです!」

 ヒビキ「裏庭に落ちてたよ。こんな高価そうなもの、家庭菜園に持って行っちゃダメじゃない。『ペンの日』に万年筆を落とすとか縁起悪いよ」

クロード「『ペンの日』ですか?」

 ヒビキ「そう、今日11月26日は『ペンの日』だからね」

クロード「まあ、そろそろ今日も終わりそうですが」

 ヒビキ「更新時間が遅くなるたびにそれをネタにしないの」

クロード「しかし、今日とペンにどういった関係があるので?」

 ヒビキ「まあ、正確に言うと鉛筆やボールペンみたいな『ペン』そのものの日ってわけじゃないんだけどね」

クロード「どういう意味です?」

 ヒビキ「1935年11月26日。一般社団法人日本ペンクラブが創立したことにちなんだ記念日だね。同クラブが1965年に制定したんだよ」

クロード「ペンクラブ……何をする組織なのですか?」

 ヒビキ「文学を通じて諸国民の相互理解を深め、表現の自由を擁護するための団体『国際ペンクラブ』の日本センターだよ」

クロード「表現の自由? 多少関係はあるかもしれませんが、なぜ『ペンクラブ』などと呼ぶのでしょう?」

 ヒビキ「『ペン』というのは、『詩人(Poet)』『劇作家(Playwright)』の『P』、『随筆者(Essayist)』『編集者(Editor)』の『E』、『小説家(Novelist)』の『N』などの頭文字をとって『PEN』と表現したものなんだ。日本ペンクラブも彼らのような文筆家によって組織されているそうだよ」

クロード「表現の自由を守る文筆家の組織ですか。そういう団体もあるのですね」

 ヒビキ「初代会長は小説家の島崎藤村なんだって」

クロード「ふむ? 聞いたことがあるようなないようなないような……」

 ヒビキ「ないのね? 長編小説『破戒』とか映画化もされているんだけどなぁ」

クロード「テレビドラマ化もされていますよ、3回も」

 ヒビキ「知ってるんじゃん! 揶揄わないでよ!」

クロード「あはは、申し訳ございません」

 ヒビキ「もう……ところで、クロードが万年筆を愛用しているなんて知らなかったな。それで何を書いてるの?」

クロード「いえいえ、大したものではありません。日記ですよ、日記」

 ヒビキ「へぇ、日記なんか書いてたんだ」

クロード「タイトルは『偉大なるヒビキ様日記』。今度自費出版であまぞ――」

 ヒビキ「何を書いてるんだ―!?」

クロード「そんなに怒らなくても。この世には表現の自由というものがですね」

 ヒビキ「本人の許可を取るのは大前提でしょうがああああああああ!」


※もちろん出版されませんのであしからず。

★★★★★
その他の記念日『いい風呂の日』
※日本浴用剤工業会が制定。
※『いい風呂』=『い1い1ふ2ろ6』の語呂合わせ。

クロード「私の場合、風呂に入るとたくさん毛が浮くのであまり好きではないです」
 ヒビキ「あー、俺も熱いお湯って苦手だからシャワーでいいかな?」
クロード「シャワーもすぐに毛詰まりを起こすのであまり好きではないです」
 ヒビキ「獣人のお風呂って大変なんだね」
クロード「だからヒビキ様の『バブルウォッシュ』は重宝しております」
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