ヒビキとクロードの365日

あてきち

文字の大きさ
上 下
255 / 388
11月

11月20日『世界こどもの日』

しおりを挟む
 ヒビキ「ぶるるる。さすがに11月も下旬に入ると昼夜関係なく寒いなぁ。家庭菜園に霜でも降ってたりして……ん? ……何、あれ?」

クロード「ヒビキ様、どうかされましたか?」

 ヒビキ「あ、クロード。うん、あのね、なぜか裏庭に立ってるんだ」

クロード「立ってるって、何がですか?」

 ヒビキ「……『こいのぼり』が」

クロード「ああ、あれですか。私が立てましたけど、それがどうかしましたか?」

 ヒビキ「??? なんでこんな時期にこいのぼりなんて」

クロード「??? 今日は『こどもの日』ですよね? だから立てたのですが……」

 ヒビキ「??? 『こどもの日』は5月5日でしょ? 以前紹介したじゃない」

クロード「??? し、しかし、確か本日の記念日を予習したら今日だと……」

 ヒビキ「……ああ、そゆこと。違うよ、クロード。今日11月20日は『こどもの日』じゃなくて『世界こどもの日』だよ」

クロード「せかいこどものひ……やはり『こどもの日』ではありませんか」

 ヒビキ「クロードが言ってるのは国民の祝日『こどもの日』。でも今日は、1954年に国際連合が制定した国際デー『世界こどもの日』だよ。名前は似てるけど完全なる別物の記念日だよ」

クロード「そ、そうだったのですか……では、あのこいのぼりは」

 ヒビキ「完全に時期外れだね。木枯らしに揺れる姿が痛々しいよ」

クロード「むしろ寒々しいです。よく似た名前に騙されました。おのれ国際連合」

 ヒビキ「物凄い責任転嫁を見た。クロードの記念日予習って大体間違ってるよね」

クロード「面目ないです。しかし、二つの記念日はどう違うのでしょうか。確か5月5日の『こどもの日』は子供の成長を願う日でしたよね?」

 ヒビキ「それは『こどもの日』の由来『端午の節句』だね。法律上は『こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する』国民の祝日だよ」

クロード「今日の記念日は違うのですか?」

 ヒビキ「『世界こどもの日』は『子供達の相互理解と福祉を増進させる』ことを目的とした記念日だね。どちらかというと子供の権利を守りましょうって感じ?」

クロード「ぜ、全然違いますね。とりあえず、こいのぼりは今すぐ撤去します」

 ヒビキ「今日一日くらいは別にいいんじゃない? 日本では『こどもの日』=『世界こどもの日』でもあるし」

クロード「??? しかし、先程の説明では……」

 ヒビキ「一般的には国際連合で『児童の権利に関する宣言(1959年)』と『自動の権利に関する条約(1989年)』が採択された11月20日が『世界こどもの日』とされているけど、記念日をいつにするかは各国の好きにしていいことになっているから、日本では『こどもの日』の5月5日が『世界こどもの日』に当てられているんだ」

クロード「??? 『こどもの日』が『世界こどもの日』で……だったら、いいのか……? いや……あれ……?」

 ヒビキ「それよりクロード、こいのぼりを用意したってことは当然、かしわ餅もあったりするのかな?」

クロード「んん……え? あ、はい。リビングに用意してありますが」

 ヒビキ「やった♪ それならせっかくだし食べようっと。いいよね?」

クロード「はい、どうぞ……あれれ、もしかして、今日って……ヒビキ様の国的には『こどもの日』でも何でもないのでは……あ、ヒビキ様! 私の分も残してくださいよー!」




★★★★★
その他の記念日『毛皮の日』
※日本毛皮協会が1989年に制定。
※『いい(11)ファー(20)』の語呂合わせ。

クロード「……ごろ、合わせ? ファーが20?」
 ヒビキ「じー」
クロード「ビクンッ! ヒ、ヒビキ様、なぜ私を凝視するのですか……?」
 ヒビキ「……クロード、いい毛皮、持ってるね。ふっふっふっ」
クロード「い、いやああああああああああああああああ!」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

処理中です...