ヒビキとクロードの365日

あてきち

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11月

11月16日『幼稚園記念日』

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クロード「ヒビキ様、ヒビキ様あああああ!」

 ヒビキ「何? どうしたの、クロード……て、クロードB?」

クロード「違います! 正真正銘たった一人の私です! 気が付いたらまたこんな姿(五歳児姿)になっていたんですよ。一体何がどうなっているんですかぁ……」

 ヒビキ「まあまあ、そんなに項垂れないで。今日は子供に関する記念日なんてあったかな……と、分かった。今日11月16日は『幼稚園記念日』だね♪」

クロード「……今判明したような口ぶりで、その手にある子供サイズのポンチョのような服は何なのですか?」

 ヒビキ「幼稚園の制服だけど……たまたま持っていただけだよ?」

クロード「成人男性二人暮らしの家にどうして幼児用の服がたまたまあるのですか! ……そういえば、昨日の『七五三』だってなぜ我が家に子供用の服が……謀りましたね、ヒビキ様!」

 ヒビキ「まさかそんな。そりゃ、子ワンコクロードを登場させると面白そうだねって、クロードのいないところで主神様と話したこともあるけど、ただの雑談だし」

クロード「確信犯じゃないですか! 早く元に戻してください!」

 ヒビキ「いや、ホントに雑談しただけだから俺、元の戻し方なんて知らないよ?」

クロード「な、なんですって……?」

 ヒビキ「とりあえずそんなだぼだぼの格好じゃ大変だし、着替えようか」

クロード「ううう、どうして私ばかりこんな目に」

※お着替え中。少々お待ちください……ちなみにクロード一人で着替えました。

クロード「完了です」

 ヒビキ「ばんざーいとかやりたかった。クロード、帽子を被り忘れてる」

クロード「お断りします! それよりさっさと記念日の説明をやっちゃってください。どうせそれが終わらないと元に戻らないのですから」

 ヒビキ「投げやりだなぁ。『幼稚園記念日』は1876年11月16日、東京・神田にできた日本初の官立幼稚園『東京女子師範学校附属幼稚園』が開園したことにちなんだ記念日だよ。現在は『お茶の水女子大学付属幼稚園』って名前らしいね」

クロード「女子師範学校附属……? それは、女子専用の幼稚園だったのですか?」

 ヒビキ「たぶん共学だ? 幼稚園規則の第二条に『小児ハ男女ヲ論セス年齢満三歳以上六歳以下トス』と定められていたみたいだし」

クロード「というか、幼稚園とはそもそも何なのです?」

 ヒビキ「辞書的には、満三歳から小学校就学までの幼児を対象とした教育機関だね。ドイツ人の幼児教育学者・フレーベル氏が1840年に設立したのが始まりだよ」

クロード「保育園とは違うのですか?」

 ヒビキ「正確には保育園じゃなくて保育所だね。保育園は通称だよ」

クロード「しかし、ヒビキ様の国で『〇〇保育園』という施設を結構見ましたよ?」

 ヒビキ「あくまで法的には『保育所』というだけで看板は保育園でも問題ないよ。で、幼稚園と保育所の大きな違いは、幼稚園が教育施設であるのに対し、保育所は児童福祉施設であることかな」

クロード「??? 何が違うのですか?」

 ヒビキ「根本的に施設としての目的が違うんだよ。幼稚園は一応学校という扱いだけど、保育所は子供を預かって保育――幼児を保護して育てるための場所なんだ」

クロード「つまり、保育所は子供を預かっても教育はしないと?」

 ヒビキ「最近は教育に熱心な保育所も多いから、それぞれのメリット・デメリットを確認したうえでどちらに子供を預けるかを選択した方がいいだろうね」

クロード「どちらに預けてもいいのですか?」

 ヒビキ「義務教育じゃないから預けなくても問題ないよ。まあ、俺は今からクロードを幼稚園に預けるんだけど」

クロード「いやいや、必要ないですよね!? もう十分記念日の説明もしましたし、そろそろ元に戻りますよね!?」

 ヒビキ「そんなこと言われても俺、分かんないし。ひょいっと」

クロード「い、いやああああ! 抱っこはやめてください!」

 ヒビキ「離れるのが寂しいからって泣かない泣かない。幼稚園児のあるあるだね」

クロード「違います! あ、ちょ、ホントに行くんですか!?」

 ヒビキ「さあ、クロードちゃん。幼稚園にお友達が待ってまちゅよ~♪」

クロード「いやあああああああああ!」

★★★★★
その他の記念日『国際寛容デー』
※1996年12月の国連総会で制定された国際デーのひとつ。
※寛容の受け入れを呼び掛ける記念日。

 ヒビキ「というわけで、許してね」
 主神様「そうそう、寛容な心で許してね」
クロード「誰が許すか! 二人とも正座で説教です!」
 主神様「というかお兄さん、本文にはいつ登場できるのかなぁ……」
クロード「そこ、私語は慎むように! そもそもお二人は普段からですね――」
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