ヒビキとクロードの365日

あてきち

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11月

11月9日『太陽暦採用記念日』

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 ヒビキ「あれ、クロード何してるの? 読書? 文化の日はもう終わったよ?」

クロード「文化の日じゃなくても本を読んでもいいではないですか。いえ、ぱそこんでヒビキ様の国の歴史について見る機会があったもので、もう少し掘り下げようと思いいたった次第でして」

 ヒビキ「ということはそれ、日本史の本? 異世界人のクロードに理解できる?」

クロード「具体的な事件や出来事については解説を読んである程度分かるのですが、暦の考え方に苦労させられます。一体いつの事なのかさっぱりで……」

 ヒビキ「どれどれ……ああ、江戸時代の暦かぁ。江戸時代は宣明暦から始まって、貞享暦、宝暦暦、寛政暦、天保暦とごちゃごちゃしているもんね」

クロード「せんめ、てんぽ……? え、え? 何ですかそれ? ……ああ、元号?」

 ヒビキ「違う違う。江戸時代はコロコロ暦法が変わってるんだよ。おかげで旧暦時代の出来事を現代の暦に換算しようとすると結構大変なんだよね」

クロード「……きゅう、れき? ……もういやだ。レキレキレキレキと、訳が分かりません……ヒビキ様の世界、めんどくさい」

 ヒビキ「旧暦っていうのは宣明暦から貞享暦に、寛政暦から天保暦みたいに改暦があった場合の、それ以前に使われていた暦法を指す言葉だね。といっても、現代日本ではグレゴリオ暦以前の太陰太陽暦の総称として使うことが多いけど」

クロード「グ、グレゴリオ、たいいん、たいよう……またレキが……ぐぬぬぬぅ」

 ヒビキ「ちなみに今日11月9日は『太陽暦採用記念日』。天保暦・明治5年の今日、それまでの太陰太陽暦をやめて太陽暦を採用するという布告が行われた日だよ」

クロード「……え? え? 何が違うのですか? ヒビキ様の世界、ちょっと暦法に手を加えすぎじゃないですか?」

 ヒビキ「まあ、否定はしないけど。まず、月の満ち欠けを基にした『太陰暦』という暦と、地球が太陽の周りを回る公転周期を基にした『太陽暦』という暦があって、『太陰太陽暦』というのは、太陰暦を基としつつ太陽の動きも参考にして閏月を入れる暦法だね。ちなみにグレゴリオ暦は太陽暦の一種で、当時の日本が採用したのもこのグレゴリオ暦だよ。それ以降現代に至るまでこの暦法が採用され続けているんだ」

クロード「えっと、つまり……いつも解説に言っている2019年とかそういうのが、グレゴリオ暦というものですか?」

 ヒビキ「そっちは西暦。キリスト教の救世主『イエス・キリスト』が生まれたとされる年の翌年を元年(紀元)とする『紀年法』だね。グレゴリオ暦は、平年では1年を365日として、400年間に97回の閏年を置き、その年を366日とすることで400年間における1年間の平均日数を調整する暦法だよ。これは1582年10月4日まで用いられていた太陽暦『ユリウス暦』よりもずっと精度の高いものなんだ。具体的には平均太陽年の誤差が674.832秒だったユリウス暦に対し、グレゴリオ暦はたったの」

クロード「もういやあああああああ! 許してください、ヒビキ様!」

 ヒビキ「――26.821秒で……許してって、何が?」


★★★★★
その他の記念日『119番の日』
※消防庁が1987年に制定。
※消防の緊急通報電話番号『119番』が由来。
※この日から11月15日までの1週間は『秋の全国火災予防運動』が行われる。

クロード「もう、知恵熱で死にそうです……きゅ、救急車……」
 ヒビキ「119番で救急車も呼べるけど、今日の記念日は火災メインなんだけどな」
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