ヒビキとクロードの365日

あてきち

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11月

11月8日『二十四節気その15 第十九【立冬】』

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 ヒビキ「くしゅんっ!」

クロード「おや。風邪ですか、ヒビキ様?」

 ヒビキ「いや、少し肌寒くて思わずくしゃみが出ちゃっただけだよ」

クロード「次の外出からはもう少し厚着した方がよさそうですね」

 ヒビキ「クロードは平気そうだね」

クロード「全身毛皮の獣人ですから夏よりも余程快適ですよ。といっても、寒さを感じていないわけではないんですよ? あくまで平気というだけで」

 ヒビキ「俺もさっきの風が少し冷たかっただけで、普段はまだ大丈夫だよ。今日11月8日は『立冬』だけど、まだまだ秋まっしぐらだからね」

クロード「りっとう、ですか? えっと、これも確かにじゅう……さん?」

 ヒビキ「二十四節気のひとつだね。暦便覧では『冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也』と説明されている。今日から来年の2月4日『立春』の前日、つまり2020年2月3日までが『冬』ってことになるかな」

クロード「この作品も今年の春からスタートして、もう冬に突入してしまったのですね。時間の経過とはなんと早いことか。これでは本編更新が再開されないまま次の春がやってきてしまいますよ……」

 ヒビキ「はいそこ冬っぽく哀愁漂わせないでよねー。立冬といっても世間的にはまだ秋真っ盛りなんだからさ」

クロード「秋真っ盛り? 冬が立ったのに?」

 ヒビキ「立冬というのは、ようやく冬の気配が立ち始める時期って意味で、実際にはむしろ秋の気配の方が色濃いんだよ。ほら、山を見れば真っ赤でしょう?」

クロード「……本当だ。絶好の紅葉狩り日和ですね。立冬って一体……『冬』って付くのに……」

 ヒビキ「また季節に合わない哀愁漂わせて。考え方が逆なんだよ、クロード。秋真っ最中なところにほんのり立ち上る冬の気配、それが『立冬』なの。例えばさっき吹いた冷たい風みたいな」

クロード「そういうものなのですか?」

 ヒビキ「そういうもなの。秋を楽しむ中でふと気が付く冬の気配。こういうところに風情があるんでしょうが。気にしなくても次の二十四節気になる頃には本格的に冬めいてくるよ。喜んで庭駆け回るのはもう少し待ってね」

クロード「ヒビキ様、それはイヌです。私はしませんからね」

 ヒビキ「……クロード、主として命令する。……やるんだ」

クロード「かつてない真剣な顔でされた命令が『庭駆け回れ』だなんて……」

 ヒビキ「また哀愁漂わせて。だから陽気な秋には似合わないってば」

クロード「誰がさせてるんですか、誰が! 絶対にしませんからね!」

 ヒビキ「ふふふ、自分からフラグを立てるだなんて、余程楽しみなんだね♪」

クロード「庭なんて絶対に駆け回りませんからねええええええ!」

★★★★★
その他の記念日『ココアの日』
※『ココアはやっぱりモリナガ♪』の森永製菓株式会社が制定。
※ココアの美味しさを多くの人に味わってもらうための記念日。
※毎年『立冬』が『ココアの日』。
※冬の気配が立ち始め、ココアを飲む機会が増えることにちなんで。

 ヒビキ「確かにココアが美味しい季節だよね。夏はアイスココアを飲むけど」
クロード「情緒をどこに置いてきたんですか、ヒビキ様。ところで私の分は?」
 ヒビキ「チョコレートなどの原料であるカカオには『テオブロミン』という成分が含まれていて、これはイヌやネコ、もちろんオオカミにとっても有毒な成分なんだ。特にココアにはテオブロミンが多く含まれているから、クロードには飲ませられないんだよ。ごめんね」
クロード「いや、私獣人なんで。あくまで人間なんで問題ないのですが」
 ヒビキ「ココアって飲むとなぜかほっとするよね。不思議♪」
クロード「淹れる気なしですか。自分で淹れようにも極めて高確率で謎の黒飲料になるでしょうし……ぐぬぬぬぬぅ、自分の才能が恨めしい」
 ヒビキ「『才能』っていうか『災能』だけどねぇ」
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