ヒビキとクロードの365日

あてきち

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10月

10月31日『ハロウィン』

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 ヒビキ「トリックオアトリート!」

クロード「??? とりっ……? 急に何ですか、ヒビキ様? それにその面妖な恰好は一体……えっと、イヌ?」

 ヒビキ「オオカミ! オオカミ獣人だよ! というかクロードのコスプレしてるのになんで分からないわけ!?」

クロード「私の姿を模していたのですか? こう言ってはなんですが、小柄過ぎてオオカミというよりは小型犬の獣人のようにしか見えませんね」

 ヒビキ「ぐう、これが身長166センチと219センチの差か。くそー!」

クロード「そういえば私の身長設定ってそれくらいでしたね。本編では具体的な数字など出ないので初めて知りました。私とヒビキ様って身長50センチ以上は離れていたんですね」

 ヒビキ「50センチって、本当に大人と子供レベルの身長差だよぉぉぉぉ……」

クロード「ところでさっきのとりっく? というのは何なのですか? そもそもなぜヒビキ様は私の恰好などしているのですか?」

 ヒビキ「はぁ、今日10月31日は『ハロウィン』だからね。せっかくだから少し気分でも出そうかと思って。ぐう、でも他のコスプレにすればよかった……」

クロード「『ハロウィン』? オオカミの恰好をする記念日ですか?」

 ヒビキ「日本ではもはやただのコスプレ記念日になってるけど、本来は違うよ。古代ケルト人が起源と考えられているお祭りだね。秋の収穫を祝ったり、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事なんだ」

クロード「それとヒビキ様の恰好に何の関係があるのです?」

 ヒビキ「日本のお盆に似たところがあって、この時期になると死者の霊が家族を訪ねるという言い伝えがあるんだ。それと同時に有害な精霊や魔女も地上に降りてくるといわれていて、それらから身を護るために彼らの姿を模した仮装をすることで災厄から身を守ろうっていう趣旨だね」

クロード「……私は悪霊ではないのですが」

 ヒビキ「あくまで起源の話。日本ではどんな格好しても大丈夫だよ。それでね、そこから転じて生まれた風習が『トリックオアトリート(Trick or treat)』。『お菓子をくれないと悪戯するぞ』って意味で、魔女や悪霊に扮した子供達が各家庭を回ってお菓子をもらうんだ」

クロード「災厄を悪戯に見立て、お菓子を差し出すことで災厄を回避しているということですか? なかなか楽しそうな風習ですね」

 ヒビキ「まあ、日本ではまだあまり根付いていないけどね。今は仮装を楽しむイベントって感じだよ。最近ではハロウィン周辺の渋谷は大混雑だし」

クロード「そういえば、ぱそこんのニュースで最近そんな内容を見たような。しかしあれ、仮装をして街を歩くだけですよね……大人が。特別なイベントがあるわけでもなく、お菓子をもらいに歩き回るわけでもないのに何がしたいのでしょうか?」

 ヒビキ「……何がしたいんだろうねぇ?」




★★★★★
その他の記念日『ガスの記念日』
※1872年(明治5年)10月31日。
※横浜の馬車道にて、日本初のガス灯が点灯された。
※日本ガス協会が1972年に制定。

クロード「今もガス灯があるとハロウィンも雰囲気が出たかもしれませんね」
 ヒビキ「せめてジャックオランタンでも飾ろうか」
クロード「言った私も何ですが、完全にただの季節のイベント扱いですね、ヒビキ様の国でのハロウィンって……」
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