ヒビキとクロードの365日

あてきち

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9月

9月22日『カーフリーデー』

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クロード「今日もヒビキ様の世界にやって来ましたが、ここは東京ですか?」

 ヒビキ「惜しい! ここは東京じゃなくて横浜だよ」

クロード「横浜? 確か、なぜか倉庫が観光地になっているという……」

 ヒビキ「『赤レンガ倉庫』ね。明治時代に保税倉庫として建てられた近代化産業遺産だけど、今回は全く関係ないから」

クロード「そうなのですか? しかし横浜というと……そういえば、横浜にはなぜか他国の食文化をやたら推奨する、自国を顧みない謎の街があるとかないとか」

 ヒビキ「『横浜中華街』のことを言ってるのかな? いや、まあ、酷い言い方をすればそういう言い方にもなるかもしれないけど、それも全然関係ないから。というか、どこでそんな尖った情報手に入れたのさ?」

クロード「普通にぱそこんですが?」

 ヒビキ「もうちょっと閲覧するサイトは選ぼうね。今日はそんな観光スポットじゃなくて、横浜は中区にる『横浜公園』前の『日本大通り』に来ています」

クロード「なにゆえ道路のど真ん中に……おや? 道路だというのに自動車が走っていませんね。なぜでしょう?」
 ヒビキ「今日9月22日が『カーフリーデー』だからだよ」

クロード「かーふりー? 確か『かー』は車で『ふりー』は自由という意味でしたよね? 車が自由な日であれば道路を自由に走っているものなのでは?」

 ヒビキ「この場合のフリーは解放って意味だね。つまり『カーフリーデー』は車から解放される日って意味だよ。元々フランスから始まったもので『車のない日』を体験してもらうための記念日なんだ。それに倣って横浜でも毎年こうやって一部の道路を規制してカーフリーデーのイベントが開催されているんだよ」

クロード「そういえば、向こうの『横浜公園』が騒がしいですね」

 ヒビキ「この日本大通りもメイン会場だから色々車関係の啓発イベントとかをやるみたいだね。子供向けの体験型イベントが多いかな」

クロード「しかし、なぜこんな記念日を? 車はあった方が便利だと思うのですが」

 ヒビキ「本場のヨーロッパではもっと大規模に交通規制を行って、一日市民に車のない都市環境を体験させたりしているらしいよ。そうすることで、街での車の使い方や交通行動について考える機会を設けようってコンセプトなんだって。9月16日から22日は『モビリティウィーク』といって、都市交通や地球環境問題への啓発活動を行う一週間でもあるんだって」

クロード「ふむ。自動車をあえて使用しないことで自動車への意識を高めようという試みなのですね。しかし、効果があるのですか?」

 ヒビキ「1997年から始まったプロジェクトだけど、毎年参加国・参加都市は増え続けているみたいだね。ちなみに2019年のモビリティウィークのテーマは『Safe Walking and Cycling 安全な歩行と自転車/Walk with us! 一緒に歩もう』だよ」

クロード「自転車? 自動車ではなかったのですか?」

 ヒビキ「自転車も車両の一種だからいいの。実際、自転車と自動車の、自転車と歩行者の交通事故も割と多いからね。自転車にはねられて死亡した人もいるんだから。免許制じゃない分、自転車の交通マナーの方が悪いことも結構あるんだよ?」

クロード「そういえば東京の歩道を歩いていた時も突然後ろからベルを鳴らしながら通り過ぎる自転車がいましたね……確か首根っこ捕まえて説教したのでしたっけ?」

 ヒビキ「相手めっちゃ泣きながら謝ってたよね……まさか運転中に獣人に首根っこ掴まれながら説教されるとは思いもしなかっただろうね」

クロード「彼も反省して安全運転をしてくれていればいいのですが」

 ヒビキ「……(ボソリ)彼、あれがトラウマになって自転車には乗れなくなっちゃったんだけどね。ついでに極度のワンコアレルギーにもなったらしいけど」

クロード「何か仰いましたか?」

 ヒビキ「んーん。何でもない(まあ、教える必要はないかなぁ)」



★★★★★
その他の記念日『国際ビーチクリーンアップデー』
※アメリカ・サンフランシスコ『海洋自然保護センター』が制定。
※この日に近い週末に、世界各地で一斉に海洋のごみを拾い集める。
※数量、種類等を調査し、海洋のごみの発生元や地球環境への影響を調べる。


クロード「これは、目的は環境美化ではなく学術調査ということですか?」
 ヒビキ「発生元を特定して根本対策をするつもりなのかもね」
クロード「ごみを拾うより最終的には効率がよさそうです」
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