ヒビキとクロードの365日

あてきち

文字の大きさ
上 下
185 / 388
9月

9月11日『警察相談の日』

しおりを挟む
クロード「ヒビキ様、今日も家庭菜園は豊作で……おや、お客様ですか?」

エマリア「ああ、お邪魔……じゃないけどお邪魔してるわよ」

クロード「いえいえ、私とヒビキ様の家が大変お邪魔されていますとも。しかし、エマリア殿が我が家に来るとは珍しい。何かありましたか?」

 ヒビキ「何か相談事があるらしいんだ。それで、何があったの?」

エマリア「実は……ちょっと前からストーカーに付け狙われてて」

 ヒビキ「ストーカー!?」

クロード「ストーカー? 何ですかそれは?」

エマリア「そうね……ヒビキに付きまとうクロードみたいな?」

クロード「??? 相談事と聞いて何かと思えば、私がヒビキ様へ忠義を尽くすように、エマリア殿にも従者がついただけではないですか。何が困るというのです」

エマリア「本人に行ったところで無駄だったわね……ヒビキに付きまとうバルスみたいなものよ」

クロード「変態ではありませんか!? エマリア殿、大丈夫なのですか!?」

エマリア「……今、本物のストーカーの真理に触れた気分だわ」

 ヒビキ「それでエマリアさん、何か被害には遭ったの?」

エマリア「今のところ私に近づいてピーチクパーチク騒ぐくらいだけど、いつか手を出すんじゃないかって心配で心配で」

クロード「それは恐ろしい。ヒビキ様、どうにかできないでしょうか?」

 ヒビキ「うーん。とりあえず警察に相談した方がいいと思う。今日9月11日は『警察相談の日』だけど、そうじゃなくても警察は相談を随時受け付けてくれるから」

エマリア「『警察相談の日』? 何それ?」

 ヒビキ「警察庁が1999年に制定した記念日だよ。各都道府県に設置されている受付窓口へ電話相談することができる『♯9110』の活用を呼び掛けるものだね」

クロード「警察への電話は確か『110番』ではありませんでしたか?」

 ヒビキ「『110番』は今すぐ警察に駆けつけてもらいたい緊急の事件や事故を受け付ける緊急通報電話だよ。それに対して『♯9110』は緊急的な対応を必要としない案件への相談を受け付けてくれる電話なんだ。『110番』への通報は年間900万件を超えていて、そのうち2割は『免許の更新』についてとか、緊急性のないものもかなりあるんだ。本来緊急を要する事件や事故への対応が遅れかねないから、新たにこの相談窓口が設けられたんだって」

クロード「それなら気後れせずに警察へ相談できますね」

エマリア「よかった。それじゃあ、後でそっちに電話してみるわ」

 ヒビキ「それにしてもストーカーだなんて、一体誰がそんな真似を……」

エマリア「誰っていうか、ラクリシアなんだけどね」

クロード「ラクリシアって、エマリア殿の弟ではありませんか……ストーカー?」

エマリア「そうなの。毎日毎日私に付きまとって『家に帰ろう』とか『買い物に行かないか』とか言ってきて。とはいえ誘ってきたくらいで殴ったりしたら私が加害者扱いされかねないでしょう? 本当に毎度毎度いつ手が出てしまうかと心配だったの」

 ヒビキ「手が出るって、エマリアさんの手が出るんだ……」

クロード「まあ、あの人もバルス殿並みには変態ですからね……」

エマリア「……遠い目してるけど、なんでこいつは自覚がないのかしら?」

 ヒビキ「エマリアさん、この作品に自覚のある変態は多分いないと思うよ」

エマリア「そういうセリフ、本編では絶対に言わないでね、ヒビキ」

クロード「??? 何の話ですか?」

ヒビエマ「「別に―」」


★★★★★
その他の記念日『緊急番号の日』(アメリカ)
※アメリカ合衆国における『緊急通報用電話番号【911】』にちなんで。
※1987年8月26日に、ロナルド・レーガン大統領が制定。

クロード「確かヒビキ様の故郷も『911』でしたっけ?」
 ヒビキ「違うよ。救急・消防は『119』だよ」
クロード「なんと。紛らわしいですね」
 ヒビキ「国が違うのに紛らわしいも何もないと思うけど」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

処理中です...