184 / 388
9月
9月10日『下水道の日』
しおりを挟む
クロード「おふぅ、なんという悪臭……ヒビキ様は何ともないのですか?」
ヒビキ「あらかじめリリアンに臭いをカットする魔法を掛けてもらってあるから俺の周りは無味無臭クリーンエアだよ」
クロード「なんで自分だけなのですか!? むしろ嗅覚の鋭い私の方が優先的に必要とする魔法でしょう! あ、本当だ。ヒビキ様のそばはとってもいい匂い」
ヒビキ「近い近い。首に鼻息当たってる」
クロード「仕方ないでしょう。もうヒビキ様のそばから離れられません! 大体、ここはどこなのですか? 臭くて暗くてジメジメしていて、最悪の環境です!」
ヒビキ「ここは日本のとある下水道の中だよ」
クロード「げすいどう?」
ヒビキ「主に雨水や汚水を集めて流す地下水路だよ。今日9月10日は『下水道の日』だから、いい機会だし下水道のことを知っておこうと思って来てみました」
クロード「汚水を集めて流すとは、そんなことをしてどうするのですか?」
ヒビキ「下水道の目的は主に三つ。ひとつは内水排除。雨水を速やかに流し去ることで水害を防止する。二つ目は汚水排除。屎尿を衛生的に収集して病原体を浄化することで、公衆衛生を改善する。そして三つ目が浄化。公共水域(河川など)へ流す水による水質汚濁を防止する。人間が生活するうえで必要不可欠な設備なんだ」
クロード「しかし、私達の世界にはそのようなものはなかったと記憶していますが」
ヒビキ「あれは謎だよね。下水道もないのにどうやって水洗トイレが成り立っているのか……というかクロード近い近い。肩に顎をのせないで」
クロード「身長差的にこれはこれで私もつらいのですが、私の繊細な鼻を守るためには仕方がないのですご容赦ください。それにしてもヒビキ様の世界には本当に凄いですね。地上の街並みにも驚かされましたが、まさか地下にまでこのような水路が張り巡らされているとは」
ヒビキ「下水道の歴史自体はかなり古いんだけどね。工学的汚水浄化は近代に入ってからだけど、水路を利用した下水道は紀元前5000年頃にはあったっていうし」
クロード「そんなに前からですか? それではなぜ私達の世界にはないのでしょう」
ヒビキ「完全に謎仕様のせいだと思うよ。下水道なしに水洗トイレを設置できるんだからいらないっちゃいらないよね」
クロード「しかしそれでは下水道の持つ三つの役割のうち汚水排除と浄化にしか対応できません。実際、地域によっては水害の絶えないところもあるわけですし、私の世界にも下水道を普及させるべきではないでしょうか?」
ヒビキ「まあ、その辺は向こうの学者さんなりに任せるよ。俺が取り組みだしたら何年仕事になるか分かったもんじゃないし、根本的にやらせてくれるところを探すところからしなくちゃならない。冒険できなくなるよ」
クロード「むむむ、言われてみればそんな場合じゃなかったですね。内政チートは別作品の主人公にでも頑張ってもらうことにしましょう」
ヒビキ「……どこでそんな言葉覚えてきたの、クロード? といっても、作者の作品に内政チートはないんだけどね」
★★★★★
その他の記念日『屋外広告の日』
※1973年9月10日。屋外広告法が国会を通過した。
※日本屋外広告業団体連合会が1974年に制定。
ヒビキ「……屋外広告法って、何?」
クロード「そんな異世界人の私に聞かれましても……」
ヒビキ「あらかじめリリアンに臭いをカットする魔法を掛けてもらってあるから俺の周りは無味無臭クリーンエアだよ」
クロード「なんで自分だけなのですか!? むしろ嗅覚の鋭い私の方が優先的に必要とする魔法でしょう! あ、本当だ。ヒビキ様のそばはとってもいい匂い」
ヒビキ「近い近い。首に鼻息当たってる」
クロード「仕方ないでしょう。もうヒビキ様のそばから離れられません! 大体、ここはどこなのですか? 臭くて暗くてジメジメしていて、最悪の環境です!」
ヒビキ「ここは日本のとある下水道の中だよ」
クロード「げすいどう?」
ヒビキ「主に雨水や汚水を集めて流す地下水路だよ。今日9月10日は『下水道の日』だから、いい機会だし下水道のことを知っておこうと思って来てみました」
クロード「汚水を集めて流すとは、そんなことをしてどうするのですか?」
ヒビキ「下水道の目的は主に三つ。ひとつは内水排除。雨水を速やかに流し去ることで水害を防止する。二つ目は汚水排除。屎尿を衛生的に収集して病原体を浄化することで、公衆衛生を改善する。そして三つ目が浄化。公共水域(河川など)へ流す水による水質汚濁を防止する。人間が生活するうえで必要不可欠な設備なんだ」
クロード「しかし、私達の世界にはそのようなものはなかったと記憶していますが」
ヒビキ「あれは謎だよね。下水道もないのにどうやって水洗トイレが成り立っているのか……というかクロード近い近い。肩に顎をのせないで」
クロード「身長差的にこれはこれで私もつらいのですが、私の繊細な鼻を守るためには仕方がないのですご容赦ください。それにしてもヒビキ様の世界には本当に凄いですね。地上の街並みにも驚かされましたが、まさか地下にまでこのような水路が張り巡らされているとは」
ヒビキ「下水道の歴史自体はかなり古いんだけどね。工学的汚水浄化は近代に入ってからだけど、水路を利用した下水道は紀元前5000年頃にはあったっていうし」
クロード「そんなに前からですか? それではなぜ私達の世界にはないのでしょう」
ヒビキ「完全に謎仕様のせいだと思うよ。下水道なしに水洗トイレを設置できるんだからいらないっちゃいらないよね」
クロード「しかしそれでは下水道の持つ三つの役割のうち汚水排除と浄化にしか対応できません。実際、地域によっては水害の絶えないところもあるわけですし、私の世界にも下水道を普及させるべきではないでしょうか?」
ヒビキ「まあ、その辺は向こうの学者さんなりに任せるよ。俺が取り組みだしたら何年仕事になるか分かったもんじゃないし、根本的にやらせてくれるところを探すところからしなくちゃならない。冒険できなくなるよ」
クロード「むむむ、言われてみればそんな場合じゃなかったですね。内政チートは別作品の主人公にでも頑張ってもらうことにしましょう」
ヒビキ「……どこでそんな言葉覚えてきたの、クロード? といっても、作者の作品に内政チートはないんだけどね」
★★★★★
その他の記念日『屋外広告の日』
※1973年9月10日。屋外広告法が国会を通過した。
※日本屋外広告業団体連合会が1974年に制定。
ヒビキ「……屋外広告法って、何?」
クロード「そんな異世界人の私に聞かれましても……」
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる