ヒビキとクロードの365日

あてきち

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9月

9月5日『石炭の日(クリーン・コール・デー)』

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クロード「ふぅ、まだまだ汗ばむ季節ですね」

 ヒビキ「全身体毛に覆われてるクロードがどうやって汗をかくの?」

クロード「……ヒビキ様、そういう現実的な話はやめてください。それはそうと、リビングの一角を取り潰して何を建造しているのですか? 随分大がかりですね」

 ヒビキ「これは暖炉を作ってるんだよ」

クロード「暦の上では既に秋ですが、この季節に暖炉ですか?」

 ヒビキ「冬なんてあっという間に来るからね。今のうちから準備しておかないと」

クロード「まあ、そういうことなら薪も用意しないといけませんね」

 ヒビキ「ああ、大丈夫。燃料はこっちを使うから」

クロード「何です、これ? バケツいっぱいに入っているのは……黒い石ですか?」

 ヒビキ「知らない? これは石炭だよ」

クロード「聞き覚えがないですね。こんな石が暖炉の燃料になるのですか?」

 ヒビキ「地球では紀元前から利用された歴史もあるポピュラーな資源なんだけど」

クロード「そうでしたっけ? 確か、ヒビキ様の世界で主に使われている燃料は『セキユ』とかいう油だったと思うのですが」

 ヒビキ「利便性や発熱量などの理由で、燃料を石炭から石油へシフトした部分もあるのは確かだけど、今でも日本の火力発電の燃料に石炭を利用しているところはあるし、製鉄業には石炭から作られるコークスが必要不可欠だから、決してマイノリティーな燃料ってわけじゃないんだけどね。まあ、確かに古いイメージはあるけど」

クロード「今ぱそこんで石炭を調べてみましたが、蒸気機関車とかいう乗り物の燃料でもあるのですな。しかし、随分と黒い煙を大量に撒き散らすものです。あれでは随分と空気が汚れるのではありませんか?」

 ヒビキ「石炭は安価で供給が安定的な反面、他の化石燃料よりも二酸化炭素の排出量が多いところが難点なんだよね。ただ、最近はCCTのレベルも上がってきているから、一概に石炭が環境に悪いってこともないんだけどね」

クロード「しーしーてぃー?」

 ヒビキ「クリーン・コール・テクノロジー。石炭を効率的にかつ環境負荷を最小限に利用するために開発される石炭利用技術のことだよ。今日9月5日は『石炭の日(クリーン・コール・デー)』といって、CCTによって環境への影響が以前よりも改善された石炭の理解を深めてもらう日なんだ」

クロード「そのような技術が生まれていたのですね。ヒビキ様の世界の技術進歩には毎回驚かされてばかりです」

 ヒビキ「というわけで、今年の暖炉は石炭をガンガン燃やしていくからね!」

クロード「構いませんが、火事だけは気を付けてくださいね(別に暖炉がなくてもえあこんで問題ないとは思うのですが、言わない方がよいのでしょうね)」



★★★★★
その他の記念日『ライトニング・マクィーンデイ』
※ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社が制定。
※ディズニー・ピクサー映画『カーズ』登場。
※天才レーサー『ライトニング・マックィーン』
※彼を通じて『カーズ』の魅力を知ってもらうための記念日。
※キャラクター車体のゼッケンナンバー『95』が記念日の由来。

クロード「……ほかに記念日はなかったのでしょうか?」
 ヒビキ「びっくりするくらい、なかったんです」
クロード「……とりあえず、車の燃料には石炭を使ってみますか?」
 ヒビキ「これ、車自身がキャラクターな映画だから、絵面が凄いことになるよ?」

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