ヒビキとクロードの365日

あてきち

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9月

9月4日『クラシック音楽の日』

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クロード「ヒビキ様、準備が整いました」

 ヒビキ「こっちもだよ。うんうん、クロードも正装がよく似合ってるじゃない」

クロード「ヒビキ様もよくお似合いですよ。それで、こんな格好でどこへ出掛けるのですか?」

 ヒビキ「これだよ」

クロード「チケット? ヒビキ様、『くらしっくこんさーと』とは何ですか?」

 ヒビキ「そういえば、異世界では音楽会とかの催しは見たことないかも」

クロード「音楽会など上流階級が嗜むもので一種の贅沢品ですからね。一般庶民にはこれっぽっちも馴染みがありません」

 ヒビキ「さすがは中世ヨーロッパ風異世界。そういう設定はしっかり生きているわけだ。まあ、俺達の世界でも最近まではそうだったわけだし仕方ないか」

クロード「結局、なぜそのような催しに赴くのですか?」

 ヒビキ「亜麻音が実家のカフェの常連さんからもらったのを俺が譲り受けたんだ。亜麻音は音楽とかあんまり興味がないみたいでさ。それに今日9月4日は『クラシック音楽の日』だからね。ちょうどいいから行ってみようと思って」

クロード「根本的に『くらしっく』というものがよく分からないのですが……」

 ヒビキ「『クラシック音楽』は、直訳すると『古典音楽』。一般的には地球の西洋で生まれた芸術音楽のことだね」

クロード「古典ということは、かなり古い時代の音楽なのですか?」

 ヒビキ「一般的に1550年頃から1900年頃に作曲されたバロック音楽や古典派音楽、ロマン派音楽などが『クラシック音楽』と認識されているけど、それ以前のものでもそれ以降のものでも、同じ流れに属する音楽は今日あわせてクラシック音楽だよ」

クロード「流れが脈々と受け継がれ続けている音楽ということですか」

 ヒビキ「クラシックは日本でも愛されていて『クラシック』=『ク(9)ラシ(4)ック』の語呂合わせで、1990年に日本音楽マネージャー協会(現日本クラシック音楽事業協会)によって『クラシック音楽の日』が制定されたんだ。協会によって同名の音楽祭も開催されたことがあるんだよ」

クロード「音楽は国境を越えるのですね。素晴らしいことです。とても興味がわいてきました。早速『こんさーと』へ向かいましょう」

 ヒビキ「俺も楽しみだよ。クロードが何分持つか」

クロード「持つ?」

 ヒビキ「気にしないで。それじゃあ、行こうか」

クロード「はい!」



※コンサート開始15分後……。

クロード「Z・Z・Z・Z……むにゃむにゃ、ヒビキ様、素晴らしいこんさーとでございますね……Z・Z・Z・Z……」

 ヒビキ「なんて気持ちよさそうな寝顔。まあ、これもある意味クラシックの醍醐味だから仕方がない。クラシック音楽家の皆さん、ごめんね」



★★★★★
その他の記念日『くしの日』
※『くし』=『く9し4』の語呂合わせ。
※美容週間実行委員会(現美容週間振興協議会)が制定。
※美容関係者が櫛を大切に扱い、美容にたいする認識を高めてもらうため。

クロード「むにゃにゃ……はっ!? コンサートは!?」
 ヒビキ「もう終わっちゃったよ」
クロード「なんということ、まさか寝過ごして……ヒビキ様、何をしているので?」
 ヒビキ「寝ているクロードの髪を梳いてます」
クロード「まさか眠っていた間、ずっと……!?」
 ヒビキ「はい、これ動画」
クロード「……! ぎゃああああああああ! は、破廉恥なあああああ!」
 ヒビキ「破廉恥って、獣人の羞恥基準どうなってるの?」
クロード「眠っている人間の髪を梳くなどどう考えても破廉恥ですよ!」
 ヒビキ「言われてみれば……ワンコ感覚過ぎて気づかなかった……まあ、でも『うちのワンコがクラシックを聴きながら爆睡している件について』と」
クロード「SNSにアップしないでください!」
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