ヒビキとクロードの365日

あてきち

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9月

9月2日『宝くじの日』

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クロード「おや、ヒビキ様。お出かけですか?」

 ヒビキ「れれれのれ~」

クロード「れれ……?」

 ヒビキ「うん、ごめん。あまりに唐突だったね。ちょっとそこまで行ってくるね」

クロード「何かお買い物ですか? 何でしたら荷物持ちをいたしますよ?」

 ヒビキ「必要ないよ。ちょっと宝くじを買いにいくだけだから。なんたって本日9月2日は『宝くじの日』だからね!」

クロード「宝くじ? ……ああ、『宝くじ』=『宝く(9)じ(2)』の語呂合わせといったところですか。それで、宝くじとは何なのですか?」

 ヒビキ「富籤の一種なんだけど、こっちの世界にはないのかな?」

クロード「とみくじ……」

 ヒビキ「『宝くじ』っていうのは、地方自治体の財政資金調達のために発売される当選金品付き抽選券のことさ。当選した宝くじの引き換え忘れ防止PRの一環で1967年に制定された記念日だよ」

クロード「抽選って、一種の賭け事ではありませんか。ヒビキ様は向こうの世界では未成年なのですよね? そのような物を購入して大丈夫なのですか?」

 ヒビキ「競馬や競艇は無理だけど、宝くじには年齢制限はないから大丈夫だよ。今は『東京2020大会協賛くじ』が開催中だからそれを買いにいくんだ」

クロード「まあ、法律に抵触しないのであればお止めしませんが、当選するといかほど手に入るのですか?」

 ヒビキ「この宝くじは1等1億円だね。もう少し後の9月24日から販売される『ハロウィンジャンボ』は1等・前後賞合わせて5億円だよ」

クロード「ほぉ、それはなかなかの額です……が、そう簡単に当たるでしょうか」

 ヒビキ「『東京2020大会協賛くじ』は1枚200円で総額80億円分が販売される。つまり全部で4000万枚。そのうち1等は4本だから……」

クロード「0.001パーセントですね……購入する意味ありますかね?」

 ヒビキ「クロード、買わなきゃ宝くじは当たらないんだよ?」

クロード「それ、宝くじを買う人がいかにも言いそうなセリフです」

 ヒビキ「まあ、でも安心してよ。当選確率を一気に上げる秘策があるんだ!」

クロード「ほぉ、そんなものが?」

 ヒビキ「うん、これさ!」

クロード「……それは……金塊ですか?」

 ヒビキ「そう! ダンジョン探索中にクロードが手に入れて俺が預かっていたボス戦の報酬の金塊。日本円で約5000万円相当! これを換金して全額宝くじにつぎ込めばきっと!」

クロード「1枚200円の5000万円分で25万枚だから当選確率は……ヒビキ様! どうか思い直してください! ないです! 1パーセントもないですから!」

 ヒビキ「大丈夫だよ、クロード。100万円分つぎ込んで1億円当てた人もいるとかいないとかってネットの掲示板でもよく見るし! 当選確率は50倍さ!」

クロード「都市伝説ですよ、そういうのは! というかそれ、私の金塊なんですから勝手に使わないでくださいいいいいいいい!」

 ヒビキ「いってきまーす!」

クロード「ヒビキ様ああああああああ!」




★★★★★
その他の記念日『くつの日』
※『くつ』=『く9つ2』の語呂合わせ。
※婦人靴オリジナルブランド『ダイアナ』が制定。
※ダイアナの靴の素晴らしさをより多くの人に知ってもらう目的で制定。

 ヒビキ「もう、結局クロードが止めるからお小遣い分しか買えなかったよ」
クロード「0.625パーセントのために5000万円を台無しにされるこっちの身にもなっていただきたいです」
 ヒビキ「まあ、当たるも八卦当たらぬも八卦っていうし。当たったらクロードに靴でも買ってあげるよ」
クロード「いえ、私はいつも裸足なので必要ありません」
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