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8月
8月24日『ポンペイ最後の日』
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クロード「おや? ここはどこですか? いつもとは雰囲気が違う場所ですね」
ヒビキ「今日はイタリア南部の都市、ナポリにやってきました」
クロード「ナポリ? どこかで聞いたような……あ、ナポリタン! 確かそんな名前のパスタがあったはず。この地の料理だったのですね」
ヒビキ「ブブー! パスタ料理『ナポリタン』は日本生まれの和製洋食で、ナポリは一切関係ありません。せいぜい名前の由来に絡んでくるくらいだね」
クロード「そうなのですか? では、今回は何の目的でナポリに?」
ヒビキ「今日8月24日は『ポンペイ最後の日』だからさ! レッツお勉強♪」
クロード「ヒ、ヒビキ様……往来で唐突に白衣姿とホワイトボードはどうかお控えください。ほら、周りの視線がヤバいことになってますよ?」
ヒビキ「クロード君、考古学の前に恥じらいなど無駄以外の何物でもないのだよ。もっと精進したまえ」
クロード「ヒビキ様は別に考古学者でも何でもないではありませんか。といいますか何なのですかその『ポンペイ』とは?」
ヒビキ「ポンペイはここナポリ近郊にあった古代都市のことだよ。色々侵略を受けたりするものの、紀元前7世紀頃から紀元後にまたがって存在し、ローマに支配されてからは流通の要所となる商業都市として栄えていたんだ」
クロード「……ふむ。歩きながら説明を受けましたが、辿り着いたこの広い遺跡がポンペイなる都市の跡地ということですか? 石造りの建物はボロボロですが、古代都市という割には意外と街並みがしっかり残っているのですね」
ヒビキ「その理由は今日の記念日『ポンペイ最後の日』と関わってくるんだ」
クロード「そういえば、歴史的価値がありそうな遺跡ではありますが、この都市の最後がなぜ記念日になるのですか? 都市が滅んだ理由は何だったのです?」
ヒビキ「火山が噴火して都市全体が地中に埋まってしまったんだよ」
クロード「それは……確かに歴史に名を残しそうな終わり方ですね」
ヒビキ「紀元79年8月24日の午後一時頃、ナポリの東にあったヴェスヴィオ火山が大噴火し、一昼夜に渡って火山灰が降り続けた。翌25日の噴火末期になると、今度は火砕流が発生して、ポンペイは一瞬にして完全に地中に埋まってしまったらしい。だから現在になってもこうして都市の足跡が色濃く残っているんだ」
クロード「今に至るまでずっと地中に保存されていたのですね」
ヒビキ「都市を埋め尽くした火砕流には吸湿効果があって、発掘された美術品はとても綺麗な状態で見つかったそうだよ。侵略で滅んだわけでもなかったから当時の生活の様子もそのまま残っていて、そういう意味でも歴史的価値はとても高いんだ」
クロード「当時の者達からすれば悲劇以外の何物でもありませんが、後世を生きる私達からすると、確かに興味の尽きない場所でしょう。しかし、よくこんな古い都市が滅んだ日時を正確に把握できたものです。ヒビキ様の世界の学者は優秀なのですね」
ヒビキ「あー、今その辺の話は議論の的になっているんだよね」
クロード「どういうことですか?」
ヒビキ「一応今日が『ポンペイ最後の日』というのがこれまでの定説だったんだけど、2018年の発掘調査で同年の10月以降が本当の噴火日ではないかという話出てきて、今はそっちの可能性の方が高いのではといわれているんだ」
クロード「それは……色々大変そうですね」
ヒビキ「そうなんだよ。これまでポンペイを題材とした映画や小説がたくさん世に出ているっていうのに、噴火日が変わったらもうどうしていいのやら……」
クロード「いえ、そういうことを言ったわけでは……いや、でも……それはそれで確かに大変ですね」
★★★★★
その他の記念日『ドレッシングの日』
※ケンコーマヨネーズ株式会社が制定。
※ドレッシングの新しい利用法をアピールする目的。
※ドレッシングは『野菜にかける』→『8×3×1=24』から24日。
※カレンダー上、『野菜の日』8/31の真上にかかる『8月24日』をドレッシングに見立てて。
クロード「なんというか……これも語呂合わせなんでしょうか? 凄いです」
ヒビキ「火砕流ではなくドレッシングが野菜を一瞬で埋め尽くして」
クロード「全然うまくありませんからね、ヒビキ様」
ヒビキ「今日はイタリア南部の都市、ナポリにやってきました」
クロード「ナポリ? どこかで聞いたような……あ、ナポリタン! 確かそんな名前のパスタがあったはず。この地の料理だったのですね」
ヒビキ「ブブー! パスタ料理『ナポリタン』は日本生まれの和製洋食で、ナポリは一切関係ありません。せいぜい名前の由来に絡んでくるくらいだね」
クロード「そうなのですか? では、今回は何の目的でナポリに?」
ヒビキ「今日8月24日は『ポンペイ最後の日』だからさ! レッツお勉強♪」
クロード「ヒ、ヒビキ様……往来で唐突に白衣姿とホワイトボードはどうかお控えください。ほら、周りの視線がヤバいことになってますよ?」
ヒビキ「クロード君、考古学の前に恥じらいなど無駄以外の何物でもないのだよ。もっと精進したまえ」
クロード「ヒビキ様は別に考古学者でも何でもないではありませんか。といいますか何なのですかその『ポンペイ』とは?」
ヒビキ「ポンペイはここナポリ近郊にあった古代都市のことだよ。色々侵略を受けたりするものの、紀元前7世紀頃から紀元後にまたがって存在し、ローマに支配されてからは流通の要所となる商業都市として栄えていたんだ」
クロード「……ふむ。歩きながら説明を受けましたが、辿り着いたこの広い遺跡がポンペイなる都市の跡地ということですか? 石造りの建物はボロボロですが、古代都市という割には意外と街並みがしっかり残っているのですね」
ヒビキ「その理由は今日の記念日『ポンペイ最後の日』と関わってくるんだ」
クロード「そういえば、歴史的価値がありそうな遺跡ではありますが、この都市の最後がなぜ記念日になるのですか? 都市が滅んだ理由は何だったのです?」
ヒビキ「火山が噴火して都市全体が地中に埋まってしまったんだよ」
クロード「それは……確かに歴史に名を残しそうな終わり方ですね」
ヒビキ「紀元79年8月24日の午後一時頃、ナポリの東にあったヴェスヴィオ火山が大噴火し、一昼夜に渡って火山灰が降り続けた。翌25日の噴火末期になると、今度は火砕流が発生して、ポンペイは一瞬にして完全に地中に埋まってしまったらしい。だから現在になってもこうして都市の足跡が色濃く残っているんだ」
クロード「今に至るまでずっと地中に保存されていたのですね」
ヒビキ「都市を埋め尽くした火砕流には吸湿効果があって、発掘された美術品はとても綺麗な状態で見つかったそうだよ。侵略で滅んだわけでもなかったから当時の生活の様子もそのまま残っていて、そういう意味でも歴史的価値はとても高いんだ」
クロード「当時の者達からすれば悲劇以外の何物でもありませんが、後世を生きる私達からすると、確かに興味の尽きない場所でしょう。しかし、よくこんな古い都市が滅んだ日時を正確に把握できたものです。ヒビキ様の世界の学者は優秀なのですね」
ヒビキ「あー、今その辺の話は議論の的になっているんだよね」
クロード「どういうことですか?」
ヒビキ「一応今日が『ポンペイ最後の日』というのがこれまでの定説だったんだけど、2018年の発掘調査で同年の10月以降が本当の噴火日ではないかという話出てきて、今はそっちの可能性の方が高いのではといわれているんだ」
クロード「それは……色々大変そうですね」
ヒビキ「そうなんだよ。これまでポンペイを題材とした映画や小説がたくさん世に出ているっていうのに、噴火日が変わったらもうどうしていいのやら……」
クロード「いえ、そういうことを言ったわけでは……いや、でも……それはそれで確かに大変ですね」
★★★★★
その他の記念日『ドレッシングの日』
※ケンコーマヨネーズ株式会社が制定。
※ドレッシングの新しい利用法をアピールする目的。
※ドレッシングは『野菜にかける』→『8×3×1=24』から24日。
※カレンダー上、『野菜の日』8/31の真上にかかる『8月24日』をドレッシングに見立てて。
クロード「なんというか……これも語呂合わせなんでしょうか? 凄いです」
ヒビキ「火砕流ではなくドレッシングが野菜を一瞬で埋め尽くして」
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