ヒビキとクロードの365日

あてきち

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8月

8月23日『二十四節気その10 第十四【処暑】』

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 ヒビキ「というわけで、前回に引き続きいまだ東京にいる俺達です」

クロード「その説明、わざわざする必要があるのでしょうか? それはそうと、ヒビキ様の故郷の夏はどうしてこう、ジメジメとした気持ちの悪い暑さなのでしょうか。私の美しい毛並みがべたついて台無しもいいところです」

 ヒビキ「何気に自分の毛並みが自慢だったんだね、クロード……ナルシーワンコ」

クロード「そんなんじゃありません! 客観的事実を言ったまでです!」

 ヒビキ「うんうん、そういうことにしておいてあげよう。まあ、確かに日本の夏は高温多湿で過ごしにくいのは認めざるを得ない事実ではあるよね。異世界の気候はどちらかというとヨーロッパ風だから夏でもカラッとしてるし」

クロード「いまだに最高気温は30度を超えていますし、地域にもよるのでしょうが湿度も高くて嫌になります」

 ヒビキ「暦の上では『立秋』を過ぎて、今日8月23日からは『処暑』になってるんだけどねぇ。『立秋』の時も思ったけど、今は秋だと言われても信じられないよ」

クロード「『しょしょ』というと、いつもの『二十四節気』というやつですか?」

 ヒビキ「その通り。暦便覧では『陽気とどまりて、初めて退きやまむとすれば也』と説明されている。要するに『暑さが止む頃』って意味だね。実際、昼間はまだまだ暑いけど朝方は大分涼しくなってきてるし」

クロード「まあ、それはそれで否定はしませんが、まだまだ夏の陽気であることに違いはないと思いますよ? 昔とは気候が違うとはいえ、少々ズレすぎでは?」

 ヒビキ「二十四節気は結局のところ暦を測るための目安として作られたものだからね。暦上の説明と現実にズレが生じるのはある意味当然のことでもあるんだ」

クロード「??? 現実に合わせて作った方が分かりやすいと思うのですが……」

 ヒビキ「暦を作るにもある程度目印が必要なんだよ。二十四節気では昼間の時間が最も長い日『夏至』(6月22日頃)を夏の中心に、昼の時間が最も短い日『冬至』(12月22日頃)を冬の中心に、昼と夜の長さが同じ『春分』(3月21日頃)を春の中心、『秋分』(9月23日頃)を秋の中心として、一年を四等分することで春夏秋冬を決めたんだ。すると『立春』はまだ肌寒い2月になるし、まだまだ暑い8月に『立秋』が来てしまう。昔より今の方が平均気温も高いから、余計に暦上の表記との乖離を感じるんだろうね。ついでに言えば、二十四節気はもともと中国で作られた暦だから、向こうの気候を基準になっているところが多分にある。日本と中国では気候が異なるわけだから、やはりズレを感じるのはある意味当然のことなんだよ」

クロード「つまるところ、暦なんて何の当てにもならないということですね。早く暦通りの季節になってほしいものです」

 ヒビキ「いや、まあ、間違ってはいないけど……もう少しリスペクトしようよ」



★★★★★
その他の記念日『湖池屋ポテトチップスの日』
※1962年8月23日。
※『コイケヤポテトチップスのり塩』が発売された。
※日本で初めて本格的にポテトチップスの量産化に成功した。

 ヒビキ「ポテトチップスといえばパリポリ、カルビーの方が有名だけど湖池屋もなかなかパリポリ」

クロード「カルビーのポテトチップス発売パリポリは1975年ですかパリポリ。湖池屋の方がずっと先だったのですねパリポリ」

 ヒビキ「パリポリパリポリパリポリ……」
クロード「パリポリパリポリパリポリ……」
 ヒビキ「やめられないとまらない――」
クロード「ヒビキ様、それ違う商品ですパリポリ」
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