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8月
8月9日『はり・きゅう・マッサージの日』
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クロード「ふぅぅぅぅ……家庭菜園も楽ではないですね……少々腰にく――」
※大気に『グキリ』という音が響き渡った。
クロード「おぉっ!? ……お、おおお……おおおおおっ!」
ヒビキ「変な声出してどうしたの、クロード? 微妙に中腰だし」
クロード「おお……おおお……」
ヒビキ「うちの菜園の真ん中に奇声を発する獣人が出没する件っと」
クロード「ヒビキ様……そ、そんなアホみたいなつぶやきを投稿していないで、た、助けてください……おおお……」
ヒビキ「助ける? ……あ、もしかしてクロード……」
クロード「おおおお……」
※脂汗を垂れ流しながらプルプルと震えるクロードの図。
ヒビキ「26歳でぎっくり腰とか、ちょっと問題じゃない?」
クロード「うう、ちょっと家庭菜園に没頭しすぎてしまったようで……」
バルス「んで、こいつを運ぶために俺が呼ばれたわけか。ようやく本文に登場した理由がクロードの介護っていうのも馬鹿らしいというか何というか……」
クロード「くっ、反論できない。面目ありません」
ヒビキ「バルス兄貴、クロードを運んでくれてありがとう。俺じゃ無理だったよ」
バルス「気にすんな、ヒビキ。まあ、でも、お前は気にしろよ、クロード。ヒビキに面倒かけやがって」
クロード「これまた反論できない。申し訳ございません、ヒビキ様。ついでに運んでくれてありがとうございます、バルス殿」
バルス「俺の方がついでとはいい度胸してやがるな、お前」
ヒビキ「では、ヒビキ様よりあなたの方が優先されるべき存在だとでも?」
バルス「……ちっ、まったく反論できねぇな。お前の判断は正しいよ」
ヒビキ「いや、お礼の優先順位はどう考えてもバルス兄貴だよね? 二人とも間違ってることにちゃんと気づいてね」
バルス「しっかし、こんな状態でどうすんだ? 回復魔法も効かないしなぁ」
ヒビキ「回復魔法で治らないの?」
バルス「それが不思議なことに治らないんだよなぁ。本編ではどうか知らんが」
クロード「この作品の独自設定で治らないとか理不尽すぎます……」
ヒビキ「しょうがない。なら、これで治すしかないね!」
バルス「ヒビキ、何だそれ?」
クロード「……ヒビキ様、なぜ、針など持ち出したのでしょうか? ……不安まっしぐらなのですが……」
ヒビキ「これは東洋の伝統的治療法『鍼』です! なんたって今日8月9日は『はり・きゅう・マッサージの日』だからね♪」
バルス「めっちゃ生き生きした表情だな、ヒビキ……使う気満々ってわけだ」
クロード「……これのためだけに生まれたのでしょうね、独自設定……」
ヒビキ「全日本鍼灸マッサージ師会が2003年に制定した記念日だよ。『8』は『はり』、『9』が『きゅう』の語呂合わせだよ」
バルス「マッサージはともかく、はりとかきゅうとか何なんだ?」
ヒビキ「東洋医学の代表的治療法の一種だね。『経穴』と呼ばれるツボを刺激して『気』の巡りを改善させることで、体調を整えることができるらしいよ?」
バルス「ふーん?」
ヒビキ「まったく理解できませんって顔に太字で書いてあるね。とにかく、鍼灸は腰痛には結構効果があったりするから、試してみようよ」
クロード「ちなみにヒビキ様、施術の経験は……」
ヒビキ「あるわけないよ? 鍼灸の施術には免許が必要だもの」
クロード「む、無免許反対! 私で実践しようとしないでください!」
ヒビキ「大丈夫! 免許制なのはあくまで日本の法律の話さ。ここは異世界だから気にする必要なんてこれっぽっちもないよ」
クロード「私の安全を気にしてください! バルス殿、ヒビキ様を止めて下さい!」
バルス「ヒビキ、反対の手に持ってるその土の塊みたいなのは何なんだ?」
クロード「バルス殿おおおおおお!」
ヒビキ「これは鍼灸の『灸』だよ。ヨモギの葉から生成したもので、これを皮膚上で燃焼させることで気の流れが改善し、体調を整えることができるんだ」
バルス「へぇ、面白そうだな」
クロード「面白くないですよ! よく考えてください。毛むくじゃらな私の体にそんなの乗せたら体毛に火が移ってしまうではありませんか!」
バルス「まぁ、まぁ。どうせ燃え立って元々黒い毛なんだから分かんねえって」
クロード「私が気にしているところはそこではありませんよ!?」
ヒビキ「わくわく。クロード、何事も挑戦だよ。頑張って!」
クロード「わくわくって言いましたよね!? 今、わくわくって言いましたよね!」
バルス「まあ、あれだ……観念しろ」
クロード「病人に言うセリフじゃない! だ、誰か助けてくださいいいいい!」
ヒビキ「よーし、それじゃあ始め……そういえば、ツボってどこだっけ?」
クロード「殺されるうううううううううう!」
★★★★★
その他の記念日『長崎原爆忌』『長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典』
※1945年8月9日午前11時2分。
※アメリカ軍により長崎市にプルトニウム原子爆弾『ファットマン』が投下された。
※その犠牲者は7万人にのぼるという。
※平和の祈りを捧げましょう……。
ジュエル「本当に何をやっていますの、お二人とも。ぎっくり腰の時は安静にして患部を冷やすのが常識でございましょう?」
ヒビキ「ごめんなさい」
バルス「ゆるしてください」
クロード「助かりました、ジュエル殿」
ジュエル「患部の冷却はおまかせくださいませ。氷魔法『氷河期の封殺水――」
クロード「やっぱり殺されるうううううううううう!」
※大気に『グキリ』という音が響き渡った。
クロード「おぉっ!? ……お、おおお……おおおおおっ!」
ヒビキ「変な声出してどうしたの、クロード? 微妙に中腰だし」
クロード「おお……おおお……」
ヒビキ「うちの菜園の真ん中に奇声を発する獣人が出没する件っと」
クロード「ヒビキ様……そ、そんなアホみたいなつぶやきを投稿していないで、た、助けてください……おおお……」
ヒビキ「助ける? ……あ、もしかしてクロード……」
クロード「おおおお……」
※脂汗を垂れ流しながらプルプルと震えるクロードの図。
ヒビキ「26歳でぎっくり腰とか、ちょっと問題じゃない?」
クロード「うう、ちょっと家庭菜園に没頭しすぎてしまったようで……」
バルス「んで、こいつを運ぶために俺が呼ばれたわけか。ようやく本文に登場した理由がクロードの介護っていうのも馬鹿らしいというか何というか……」
クロード「くっ、反論できない。面目ありません」
ヒビキ「バルス兄貴、クロードを運んでくれてありがとう。俺じゃ無理だったよ」
バルス「気にすんな、ヒビキ。まあ、でも、お前は気にしろよ、クロード。ヒビキに面倒かけやがって」
クロード「これまた反論できない。申し訳ございません、ヒビキ様。ついでに運んでくれてありがとうございます、バルス殿」
バルス「俺の方がついでとはいい度胸してやがるな、お前」
ヒビキ「では、ヒビキ様よりあなたの方が優先されるべき存在だとでも?」
バルス「……ちっ、まったく反論できねぇな。お前の判断は正しいよ」
ヒビキ「いや、お礼の優先順位はどう考えてもバルス兄貴だよね? 二人とも間違ってることにちゃんと気づいてね」
バルス「しっかし、こんな状態でどうすんだ? 回復魔法も効かないしなぁ」
ヒビキ「回復魔法で治らないの?」
バルス「それが不思議なことに治らないんだよなぁ。本編ではどうか知らんが」
クロード「この作品の独自設定で治らないとか理不尽すぎます……」
ヒビキ「しょうがない。なら、これで治すしかないね!」
バルス「ヒビキ、何だそれ?」
クロード「……ヒビキ様、なぜ、針など持ち出したのでしょうか? ……不安まっしぐらなのですが……」
ヒビキ「これは東洋の伝統的治療法『鍼』です! なんたって今日8月9日は『はり・きゅう・マッサージの日』だからね♪」
バルス「めっちゃ生き生きした表情だな、ヒビキ……使う気満々ってわけだ」
クロード「……これのためだけに生まれたのでしょうね、独自設定……」
ヒビキ「全日本鍼灸マッサージ師会が2003年に制定した記念日だよ。『8』は『はり』、『9』が『きゅう』の語呂合わせだよ」
バルス「マッサージはともかく、はりとかきゅうとか何なんだ?」
ヒビキ「東洋医学の代表的治療法の一種だね。『経穴』と呼ばれるツボを刺激して『気』の巡りを改善させることで、体調を整えることができるらしいよ?」
バルス「ふーん?」
ヒビキ「まったく理解できませんって顔に太字で書いてあるね。とにかく、鍼灸は腰痛には結構効果があったりするから、試してみようよ」
クロード「ちなみにヒビキ様、施術の経験は……」
ヒビキ「あるわけないよ? 鍼灸の施術には免許が必要だもの」
クロード「む、無免許反対! 私で実践しようとしないでください!」
ヒビキ「大丈夫! 免許制なのはあくまで日本の法律の話さ。ここは異世界だから気にする必要なんてこれっぽっちもないよ」
クロード「私の安全を気にしてください! バルス殿、ヒビキ様を止めて下さい!」
バルス「ヒビキ、反対の手に持ってるその土の塊みたいなのは何なんだ?」
クロード「バルス殿おおおおおお!」
ヒビキ「これは鍼灸の『灸』だよ。ヨモギの葉から生成したもので、これを皮膚上で燃焼させることで気の流れが改善し、体調を整えることができるんだ」
バルス「へぇ、面白そうだな」
クロード「面白くないですよ! よく考えてください。毛むくじゃらな私の体にそんなの乗せたら体毛に火が移ってしまうではありませんか!」
バルス「まぁ、まぁ。どうせ燃え立って元々黒い毛なんだから分かんねえって」
クロード「私が気にしているところはそこではありませんよ!?」
ヒビキ「わくわく。クロード、何事も挑戦だよ。頑張って!」
クロード「わくわくって言いましたよね!? 今、わくわくって言いましたよね!」
バルス「まあ、あれだ……観念しろ」
クロード「病人に言うセリフじゃない! だ、誰か助けてくださいいいいい!」
ヒビキ「よーし、それじゃあ始め……そういえば、ツボってどこだっけ?」
クロード「殺されるうううううううううう!」
★★★★★
その他の記念日『長崎原爆忌』『長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典』
※1945年8月9日午前11時2分。
※アメリカ軍により長崎市にプルトニウム原子爆弾『ファットマン』が投下された。
※その犠牲者は7万人にのぼるという。
※平和の祈りを捧げましょう……。
ジュエル「本当に何をやっていますの、お二人とも。ぎっくり腰の時は安静にして患部を冷やすのが常識でございましょう?」
ヒビキ「ごめんなさい」
バルス「ゆるしてください」
クロード「助かりました、ジュエル殿」
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