ヒビキとクロードの365日

あてきち

文字の大きさ
上 下
136 / 388
7月

7月24日『セルフメディケーションの日』

しおりを挟む
クロード「はぁ、ヒビキ様、腹が減りました。チンカンチンカン」

 ヒビキ「今作ってるから少し待って。って、箸で食器を叩くなんて行儀が悪いよ、クロード」

クロード「そうなのですか? ヒビキ様の世界ではこうするのが空腹時のマナーだとぱそこんで見たと思うのですが……」

 ヒビキ「それは『叩き箸』といって、箸食文化におけるマナー違反『嫌い箸』の一種だよ。一体何のサイトを見たのさ――て、痛っ! ……あぁ、指切っちゃった」

クロード「ヒ、ヒビキ様、大丈夫ですか!? あわわわわわわわっ! こんなに血が流れて!? い、医者を呼ばなくては!」

 ヒビキ「大袈裟だな。回復魔法があるから大丈夫だよ」

クロード「し、しかし……」

 ヒビキ「訓練中にあれだけ俺に回復魔法を使わせといて今さら何を慌ててるのか。第一、今日7月24日は『セルフメディケーションの日』だよ? 軽い怪我くらい自分で治療できるようにならないとね。回復魔法『ヒール』」

クロード「せるふめでぃ、けーしょん……?」

 ヒビキ「医者に頼らず自分で傷病や症候を判断し、医薬製品を使用することを『セルフメディケーション』というんだ。自分自身で健康を管理する『セルフケア』の一種だね。日本OTC医薬品協会が制定した記念日だよ」

クロード「素人が病気を自己判断などして大丈夫なのですか?」

 ヒビキ「もちろん重篤な症状まで自分で処置する必要はないよ。あくまで症状が軽いうちの対応さ。自分自身で医薬品を使用してセルフケアを行うことで、過剰な医療機関への受診を減らそうという取り組みなんだ」

クロード「しかし、医者に診てもらった方が安心な気もしますけど……」

 ヒビキ「クロードみたいな意識の人が多いこともあって、日本の保険医療費は政府予算にかなりの負担になっているんだ。少子高齢化が進んで高齢者の受診機会もどんどん増えていく一方だし、医者不足も深刻だ。日本の医者一人あたりの患者数は世界的に見てもかなり多いそうだよ」

クロード「うーむ、何でも医者に頼ればいいというわけではないのですね」

 ヒビキ「安易な受診は政府の予算や医者へ過剰な負担を強いることになり、本当に医療を必要としている人に医者のマンパワーや医療資源を回せない原因になりかねない。社会全体のためにも『セルフメディケーション』は必要なんだ。それに、自分で自分の健康を管理することは病気の予防にも繋がる。大事なことだよ」

クロード「さしずめヒビキ様の『ヒール』が市販薬の代わりといったところですね」

 ヒビキ「正直その辺の医者より余程効果のある治療だけどねぇ」



★★★★★
その他の記念日『河童忌』
※小説家・芥川龍之介の命日。
※代表作『河童』から『河童忌』と呼ばれている。

クロード「私は代表作といえば『羅生門』や『蜘蛛の糸』かと思っておりました」
 ヒビキ「なんでクロードが芥川龍之介のこと知ってるの?」
クロード「ねっとさーふぃんをしていたら出てきましたよ?」
 ヒビキ「どうしよう。異世界人のクロードは読んでるのに俺、読んだことないや」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

処理中です...