ヒビキとクロードの365日

あてきち

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6月

6月30日『アインシュタイン記念日』

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 ヒビキ「さてさて今日は、理の神『理神』を宿す身としては欠かせないお勉強の時間です! なんたって本日6月30日は『アインシュタイン記念日』だからね!」

クロード「ヒビキ様、家の中に黒板など持ち込まれては困ります。ましてカーペットの上になど。チョークの粉が落ちたら掃除が大変ではないですか」

 ヒビキ「家事全般を俺に任せっきりのクロードがそれを言うかな!? 『バブルウォッシュ』で一発洗浄だから問題ないよ。というわけで今日はこれを学びます!」

クロード「『E=mc2』? ……何ですか、それは?」

 ヒビキ「エネルギー(E)=質量(m)×光速度(C)の2乗。これは『質量とエネルギーの等価性』とその定量的関係を表す物理学的関係式さ」

クロード「???」

 ヒビキ「この関係式はアインシュタインによる公式の中で最も有名なものだね。詳しく説明するとまず、特殊相対性理論とは――」

クロード「……ヒビキ様。そもそもアインシュタインとは何者ですか?」

 ヒビキ「『物理法則は、すべての慣性系で同一である』という特殊相……アインシュタインが誰かって? 彼はドイツ出身の理論物理学者だよ。舌を出しておどけた表情の写真でも有名な人だね。それで続きだけど、特殊相対性原理と『真空中の光の速度は、全て慣性系で等しい』という光速度一定の原理を満たすことを出発点と――」

クロード「ヒビキ様、アインシュタインなる人物について一応分かりましたが、なぜ今日が『アインシュタイン記念日』なのですか? 今日は彼の誕生日なのですか?」

 ヒビキ「――して構築され、結果として空間三次元と時間一次元を……1905年の今日、アインシュタインは相対性理論に関する最初の論文『運動物体の電気力学について』をドイツの物理雑誌『アナーレン・デア・フィジーク』に提出したんだ。それを記念日して制定されたのが『アインシュタイン記念日』だよ」

クロード「その論文を出したことはそんなに重要なことだったのですか?」

 ヒビキ「物理史的には最後の大物といわれるほどだからね。量子力学と並んで、現代物理の基本的な理論になっているのが『相対性理論』だよ。記念日を制定する由来となった1905年は『奇跡の年』とも呼ばれていて、これから数年にわたって彼は『光量子仮説』『ブラウン運動の理論』『特殊相対性理論』に関する五つの重要な論文を立て続けに発表していくんだ。俺が今説明しようとしている『E=mc2』は発表されたのは1907年だね。同年には『箱の中の観測者は、自らにかかる力が慣性力なのか重力なのか区別がつかない』という、のちの一般相対性論の基礎となる等価原理を考案している。彼はこれを『生涯最良の名案』と言っていたらしいよ」

クロード「大変優秀な方だったのですね」

 ヒビキ「うん。だから今から彼の天才性の一片の紹介を――」

クロード「おや、もうこんな文字数になりましたか。そろそろ締めの時間ですね」

 ヒビキ「……え? あ!? クロード! まさか、さっきから俺の説明を中断させていたのは文字数を稼いで説明をさせないために!」

クロード「そんなまさか。聞いたところで理解できない講義を受けたくないなど、これっぽっちも思っておりませんとも(ニヤニヤ)」













※作者に説明できるとでも思ってんのかコラアアアアアアア!!!




★★★★★
その他の記念日『大祓おおはらえ
※日本の神道儀式の『祓』のひとつ。
※祓は浄化の儀式。特に天下万民の罪穢を祓うという意味で大祓という。
※毎年6月と12月の晦日に行われるのが恒例。

 ヒビキ「日本も異世界も多神教だけど、こっちに『祓』はあるのかな?」
 主神様「宗教上の儀式としてはあるけど、特に意味はないかな?」
クロード「主神様……それ、絶対に誰にも言っちゃダメだからね」
 ヒビキ「身も蓋もなさ過ぎですね」
 主神様「それはそうと、早くお兄さんも本文に出してくれないかなぁ」
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