ヒビキとクロードの365日

あてきち

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6月

6月25日『住宅デー』

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 ヒビキ「スペインはバルセロナにある世界遺産『カサ・ミラ』にやってきました!」

クロード「……何と形容すればよいのか。もの凄くぐにゃぐにゃした建物です」

 ヒビキ「『カサ・ミラ』はその輪郭に直線が一切ないことが特徴だからね。まるで岩山を削り取った洞窟群のような不思議な造形がこの建物の魅力のひとつなんだ」

クロード「確かに、なんとも非日常的な光景です。道沿いに観光客が並んでいるのも頷けるというものです」

 ヒビキ「俺としては目の前の狼獣人が無視されていることに物申したいけど」

※『カサ・ミラ』を見るのに一生懸命で誰もクロードに気づいていない設定です♪

クロード「ところでこれは何の建物なのですか?」

 ヒビキ「建築家アントニ・ガウディが設計した邸宅だよ」

クロード「この建物が誰かの住居だったのですか? ……家というより芸術作品の一種と言った方がしっくりくるこの建物に? ……失礼ながら、私は遠慮したいです」

 ヒビキ「元々は実業家ペレ・ミラ氏と妻ルゼー・ゼギモンさんの邸宅として建てられたんだけど、当時はかなり不評だったそうだよ。バルセロナの市民達は醜悪な建物として『石切場(ラ・ペドレラ)』というニックネームまでつけていたらしいし」

クロード「石切場とは言い得て妙ですね。それが今は世界遺産とは……」

 ヒビキ「現在『カサ・ミラ』の内部はガウディ建築に関する博物館になってるらしいよ。まあ、人も住んでるけど」

クロード「世界遺産なのに人が住んでいるのですか?」

 ヒビキ「ミラ家の人達の居住区以外は賃貸物件だったらしくて、今もそれが続いているみたい。新たな入居者は募集していないそうだけど、びっくりだよね」

クロード「観光客が押し寄せる世界遺産に住み続けるとはなかなか剛毅なことです」

 ヒビキ「確か家賃は約15万円だったかな。世界遺産の家賃と考えればかなりお安いと思うよ。何せ1部屋300平方メートル(江戸間で約194畳)もあるんだから」

クロード「激安物件過ぎませんか?」

 ヒビキ「建設当時はデザインが不評だったこともあって入居者が見つからなかったんだ。だから『3世代に渡って値上げなし』なんて契約条件をつけてようやく借り手がついたらしいよ。建てられたのは1910年のことだから……」

クロード「契約は今も続いているのですね……ところでヒビキ様、疑問なのですが」

 ヒビキ「何?」

クロード「今の今までずっとこの建物の話をしていますが、今日は何の記念日でこのような話になったのでしょう? まだ説明がないような……」

 ヒビキ「忘れてた! 今日6月25日は『住宅デー』だよ! 日本の労働組合のひとつ『全国建設労働組合総連合』が1978年に制定したんだ」

クロード「そうなのですか。……えっと、『カサ・ミラ』と何の関係が?」

 ヒビキ「今日はガウディさんの誕生日だからだって」

クロード「……なぜ自国の建築家の誕生日から選ばないのでしょうか……?」

 ヒビキ「日本の労働組合主催の記念日なのにねぇ。フシギダネー?」



★★★★★
その他の記念日『サザンの日』
※1978年6月25日。
※サザンオールスターズが『勝手にシンドバッド』でメジャーデビュー。

クロード「今日は『カサ・ミラ』ばかりで記念日そのものの説明がなかったです」
 ヒビキ「建築系の職人さん達の仕事や技能を理解してもらう日です。以上」
クロード「とても簡潔で分かりやすい説明です」
 ヒビキ「……俺、頑張ったんだからね」
クロード「ええ、ヒビキ様、よく本文の話を膨らませてくださいました」
 ヒビキ「とはいえ『住宅デー』で検索検索♪だよ!」
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