ヒビキとクロードの365日

あてきち

文字の大きさ
上 下
103 / 388
6月

6月21日『二十四節気その6 第十【夏至】』

しおりを挟む
 ヒビキ「クロード、早く早く!」

クロード「少々お待ちください。えーと、水筒と弁当に、ポケットティッシュとハンカチは持ったな。折り畳み傘と雨具も問題ないしもしもに備えた狼煙と煙幕に……」

 ヒビキ「想定が物騒だな!? そんなのいいから早く出かけようよー!」

クロード「こんな朝早くから急に登山をしようだなんて、どうされたのですか?」

 ヒビキ「だって今日6月21日は北半球で最も昼の時間が長い日、第二十四節気の『夏至』なんだよ。つまり今日は1年で最も長く遊べる日! ゆっくりなんてしていられないよ。というわけで、早く出掛けよう!」

クロード「……ヒビキ様、大変申し上げにくいのですが……」

 ヒビキ「何?」

クロード「ここはヒビキ様の世界ではないので、昼間の長さはいつも通りです」

 ヒビキ「!? ………………はぁ」

クロード「ヒビキ様!? きゅ、急にへたり込んで、そこまで落ち込まなくても……」

 ヒビキ「なぜ気付かなかったんだ、俺。大体この異世界って天動説を地で行く世界だから公転も自転もないじゃん。夏至とか冬至とか、全然関係なかった……」

クロード「ところでその『夏至』とはどのようなものなのですか?」

 ヒビキ「あー、うん。さっきも言った通り『夏至』は『北半球で、1年のうちで最も昼(日の出から日没まで)の時間が長い日のことだよ。南半球では逆に、夏至の日に最も昼の時間が短くなるけど」

クロード「そもそも、なぜ昼の時間が変化するのでしょう?」

 ヒビキ「天動説世界出身のクロードには分からないかもしれないね。地球は自転をしながら太陽の周りを1年かけて公転しているのは知ってる?」

クロード「はい。一応ぱそこんで見たことはありますが……」

 ヒビキ「これで地球の地軸が公転面に対して垂直だったら、地球に注がれる太陽光の角度は常に一定しているから昼間の時間が変化するなんてことは起こらない。でも地球の地軸は公転面に対して約23.43度傾いているから、公転しているうちに太陽光の入社角度が変動して、特定地点に太陽光が降り注ぐ時間も常に変化する。それが四季を生み出し、昼間の時間を変動させる『春分』『夏至』『秋分』『夏至』を形作っていくってわけ……だけど、理解できた?」

クロード「???」

 ヒビキ「そんな純粋そうな瞳でキョトンと首を傾げるほど分からなかったか……」

クロード「地動説世界に生きる作者もよく分かっていないのに私に理解できるはずもないというかなんというか……」

 ヒビキ「それを言っちゃあオシマイだよ」




★★★★★
その他の記念日『冷蔵庫の日』『スナックの日』
『冷蔵庫の日』
※暑い夏が来る前に『夏至』の日を機に冷蔵庫の点検をという趣旨の記念日。

『スナックの日』
※『夏至』の日に餅を固くして食べる『歯固』という風習にちなんで。
※スナック菓子メーカーが夏至を記念して提唱したことが始まりとかなんとか。


クロード「『夏至』が大活躍ですね」
 ヒビキ「やっぱり便利だ二十四節気」

        
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

処理中です...