ヒビキとクロードの365日

あてきち

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6月

6月16日『父の日』

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 ヒビキ「うーん。どうしよう……」

クロード「ヒビキ様、何やら色々広げてどうされたのですか? ネクタイに靴下、ハンカチと……見たことのない服もありますが」

 ヒビキ「それは『甚平』だよ。今日6月16日は『父の日』なんだけど、父さんに贈るプレゼントがまだ決まらなくて。甚平は奇をてらってみたんだけど、果たして喜んでもらえるかどうか……」

クロード「5月に『母の日』がありましたが、6月は『父の日』があるのですね」

 ヒビキ「アメリカの女性、ソノラ・スマート・ドッドさんて人が、男手1つで自分を育ててくれた父親を讃えたことが始まりなんだって。『父の日』にソノラさんが父親の墓前に白いバラを供えたことから、バラを贈る風習があるらしいよ」

クロード「どことなく『母の日』と似ています」

 ヒビキ「『母の日』が初めて祝われたのは1908年。そして『父の日』が初めて祝われたのが1910年。『父の日』は『母の日』に次ぐ形で生まれた記念日なんだ。ソノラさん自身が『母の日のように父に感謝する日を』と牧師協会に嘆願したことが記念日制定の始まりらしいからね。俗な言い方をすると『ブームに乗っかった』んだよ」

クロード「さすがにそれは言い過ぎかと。とはいえ、似ているところがあるのはある意味当然ということですか。しかし、それならばプレゼントに悩む必要はないのでは? 『母の日』にカーネーションを贈るように『父の日』にはバラを贈ればよいのではないですか?」

 ヒビキ「それでも別に問題はないんだろうけど……正直なところ、男がバラを贈られて嬉しいと思うかって話でね」

クロード「……まあ、気持ちは嬉しいですが、バラそのものに興味はないですね」

 ヒビキ「だから、普段から使ってもらえそうな物をプレゼントしようと思うんだけど、なかなか決まらなくて困ってるんだ。どれもこれも一度は贈っているからどうしても二番煎じ感が拭えなくて、決めきれないんだよね」

クロード「あえて毎年同じ物でもいいと思いますよ? 普段から使ってもらえているのならある程度傷んでいるでしょうし、毎年新しい物に交換するようなプレゼントでも喜ばれるのではないですか?」

 ヒビキ「……そういう考え方もあるか。確かに、ネクタイとかは傷んだら人前ではもう使えないもんね。新しいのを用意するのもそれはそれでいいかもしれない」

クロード「何より大切なのは感謝の心です。きっと父君も喜んでくれますよ……父親のいたことがない私が言っても説得力はないかもしれませんが」

 ヒビキ「そんなことない。アドバイスありがとう、クロード。お礼にこれあげる」

クロード「ありがとうございます。ですがヒト種サイズの『甚平』は着れませんね」




その他の記念日『和菓子の日』
※1979年。全国和菓子協会が制定。
※848年。疫病退散祈念のため元号を『嘉祥』に改元(6月16日)。
※16の数字にちなんだ菓子・餅が神前に供えられた。


 ヒビキ「和菓子といえばやっぱり生菓子だよね。饅頭も練り切りも大好き♪」
クロード「干菓子もいけますよ? この落雁というのは口の中でホロリと溶けて、緑茶とよく合います。父の日には和菓子を贈ってもよかったのでは?」
 ヒビキ「俺も食べたいからダメ」
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