ヒビキとクロードの365日

あてきち

文字の大きさ
上 下
91 / 388
6月

6月9日『我が家のカギを見直すロックの日』

しおりを挟む
 ヒビキ「いやー。いっぱい買っちゃったね」

クロード「卵の特売セールとはいえさすがに買いすぎではないですか? というか、近所にスーパーがあるとか、本当に私達はどこでこんな話をしているのでしょうね」

 ヒビキ「そういうのは気にしたら負けだよ、クロード。――あれ?」

クロード「どうされたのですか、ヒビキ様?」

 ヒビキ「家の鍵が、開いてる。出かける前に確かに鍵を掛けたはずなのに……」

クロード「ここ、私達が住んでいる設定の家だったんですね。この物語が始まって以来、初めて知りました。それはともかく、確かに、屋内に人の気配がします」

 ヒビキ「ど、どうしよう……」

クロード「ご安心ください、ヒビキ様。不審者程度、私があっさり始末して――」

 タイキ「始末とかあっさり言わないでくれる!?」

 ヒビキ「タイキ! 俺達の家で何してるの!?」

コウイチ「響生! 俺達のとはどういう意味だ! 内容次第では許さないぞ!」

クロード「うげっ。コウイチ殿まで……私とヒビキ様の愛の巣に何の用ですか」

コウイチ「……殺す」

クロード「やれるものならお好きにどうぞ」

※スッと目を細め、互いににらみ合う賢者と勇者。
※そして、死闘が始まった。

 ヒビキ「もう。勝手に俺達の家に入るのはさすがにマナー違反だよ、タイキ」

コウイチ「我が敵を焼き払え。『ファイヤボール』!」

 タイキ「わりぃ、わりぃ。でもヒビキ。この家、鍵掛かってなかったぞ」

 ヒビキ「えっ、本当? 掛けたと思ってた」

クロード「我が槍に貫けれて逝け。『八点突き』!」

 タイキ「今日6月9日は『我が家のカギを見直すロックの日』だってのに、物騒だなぁ。戸締りはしっかり確認しておけよ」

 ヒビキ「確か『日本ロックセキュリティ協同組合』が制定した記念日だね」

コウイチ「はあああああああああああああ!」

クロード「だあああああああああああああ!」

 タイキ「2001年から毎年6月9日に全国で防犯活動が行われているそうだぞ。ネットで調べれば自分の住んでる都道府県のイベントをチェックできるらしい」

 ヒビキ「たった数分、家を空けている間に空き巣に入られたなんてニュースも時々聞くもんね。これを機に、家の防犯体制を見直すこともいいかもしれないね。とは言ってもね、やっぱり、俺んちに勝手に入るのはダメだからね!」

 タイキ「悪かったって。今度から気を付けるよ」

 ヒビキ「ま、分かってくれればいいんだけど。そうだ、今スーパーで新発売のお菓子を買ってきたところなんだ。よかったら一緒にどう?」

コウイチ「ああ、もちろんいただこう」

 タイキ「うわっ!? 先生、突然現れるなよ」

クロード「ひびき様。お手伝いいたします」

 ヒビキ「ありがとう。んじゃ、俺はお茶を淹れるからクロードは買い物の荷物を片付けてくれる?」

 タイキ「ヒビキ、もうちょっとこの二人の変わり身の早さにツッコミをだな……」

 ヒビキ「どうかした、タイキ?」

 タイキ「いや、もういいよ。おじゃましまーす」

コウイチ「邪魔をする……いや、俺が響生の家に入るのが邪魔なはずはないな。どちらかというと邪魔なのは……」

クロード「ほぅ? そういうつもりなら今度こそ叩き潰して差し上げますよ?」

 ヒビキ「はいはい、ケンカしない」

コウイチ「響生がそう言うならやめておこう」

クロード「ヒビキ様のお言葉に従います」

 タイキ「……最初から響生が止めてれば済んだ話だったのになぁ」

 ヒビキ「みんな入ったね。それじゃあ、防犯のために、家の中に人がいても内鍵を掛けるようにしようかな――カチャリ――みんなー、リビングで待ってて―」



★★★★★
その他の記念日『ロックの日』『ロックウールの日』
※『ロック』=『ロ6ック9』の語呂合わせ

 タイキ「こう言っちゃなんだけど……安直すぎじゃね?」
 ヒビキ「分かりやすくていいじゃない」
クロード「私の心もヒビキ様にロックされております」
コウイチ「俺の心は響生をロックオンしているぞ」
 ヒビキ「??? そう?」
 タイキ「この二人、うぜぇ……」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...