ヒビキとクロードの365日

あてきち

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6月

6月1日『写真の日』

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 ヒビキ「クロード、絶対に動いちゃダメだからね」

クロード「で、ですが、これを20分はさすがに……」

 ヒビキ「絶対に動かないでね!」

クロード「しょ、承知しました……ぉぉ」※ヨガ『サソリのポーズ』のクロード。

 ヒビキ「はい、終わり! ありがとう、もういいよ」

クロード「……じ、じぬぅ」※でもヒビキの命令には本能的に逆らえないクロード。

※ヨガのポーズは大体1回あたり10~30秒くらいが目安だそうです。
※20分とか普通に危険なのでよい子も悪い子も絶対に真似しないでください。

クロード「はぁ……ところで、私はなぜあんなポーズをしていたのですか? 目の前に置かれていたその木箱と何か関係が?」

 ヒビキ「『ジルー・ダゲレオタイプカメラ』だよ。1839年に発表された、世界初の実用的写真撮影法『ダゲレオタイプ』が採用された、世界最初の写真用カメラさ」

クロード「写真というと、ぱそこんに表示されたりする絵のことですよね。つまり、今日はそのあたりに関係する記念日なのですか?」

 ヒビキ「今日6月1日は『写真の日』だよ……おお、イイ感じに現像できてる」

クロード「ほぉ? 先程の私の雄姿がしっかり映っています……が、ぱそこんの絵の方が鮮明で色彩も豊かです。これは少々ぼやけていますし、白黒ですね」

 ヒビキ「最新の写真技術と比べられても困るよ。この『ジルー・ダゲレオタイプカメラ』は発売初期のもので、露光時間は10~20分。鏡のように磨き上げられた銀板に直接像を焼き付ける技法で、ネガがないから複製は不可能。現代からすれば不便に感じるかもしれないけど、当時は『記憶をもった鏡』と称賛されていたらしい」

クロード「確かに、ぱそこんを知る前であれば、私も大層驚いたでしょうね。それはそうと、今日が『写真の日』となった由来は何なのですか?」

 ヒビキ「1841年の今日、長崎の写真家、上野俊之丞が薩摩藩主島津斉彬を撮影したという情報をもとに、日本写真協会が1951年に制定したんだ」

クロード「つまり、その日が初めて日本にカメラが齎された日というわけですね」

 ヒビキ「まあ、その後の調査で間違いだったことが確認されているんだけど」

クロード「え? 違うのですか?」

 ヒビキ「写真が渡来したのは嘉永年間(1848~55)で、撮影が成功したのは1857年9月17日。薩摩藩士の市来四郎、宇宿彦右衛門が藩主島津斉彬を撮影したもので、写真は鹿児島県の尚古集成館に、重要文化財として保管されているよ」

クロード「では、なぜいまだに今日が『写真の日』なのでしょうか?」

 ヒビキ「……惰性?」

クロード「……建前上の理由はあるのでしょうが、本質っぽくて言い返せません」




★★★★★
その他の記念日『チーズの日』

クロード「チーズは好きですよ。ピザの上でとろけているのが美味しすぎます」
 ヒビキ「あ、そっちじゃないから」
クロード「?」
 ヒビキ「『写真の日』にちなんだ『はいチーズ』の方ね」
クロード「……」
 ヒビキ「日本ではカメラマンが『はいチーズ』って言うだけのことが多いけど、元々は『Say,Cheese!』ってカメラマンが言ったら、写される人が直後に指示通りに『チーズ!』って叫ぶものらしい。『チー』で口角が上がって笑顔になるから、その瞬間を撮影するんだって」
クロード「……チー」
 ヒビキ「……歯茎と牙がむき出しのワンコって、ちょっと怖いね」
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