ヒビキとクロードの365日

あてきち

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5月

5月24日『伊達巻の日』

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 ヒビキ「クロード。朝ごはんができたよー」

クロード「ありがとうございます、ヒビキ様。いただきます」

 ヒビキ「はい、召し上がれ」

クロード「今日は和食なのですね。ふむ。味噌汁が美味い。鮭の塩加減もいい具合です。他のおかずは……おや、これは何ですか? 卵焼き……とは少し違うような」

 ヒビキ「ああ、それは伊達巻だよ。今日5月24日は『伊達巻の日』だからね」

クロード「伊達巻? だし巻きたまごの親戚ですか? あれは美味しかった」

 ヒビキ「卵料理の一種だから親戚といえば親戚かな。長崎ではカステラ蒲鉾とも呼ばれていて、おかずというよりお菓子っぽい雰囲気があるね」

クロード「もぐもぐ。卵焼きとは違った味わいですが、柔和な甘みが美味しいです」

 ヒビキ「日本の正月のお節料理に欠かせない品のひとつだね。白身魚やエビのすり身に溶き卵と出汁を加えて焼き上げるんだ。それを熱い巻き簾で巻いて形を整えると、今見たいにロールケーキっぽい形に仕上がるんだよ」

クロード「もぐもぐ。しかしこれは、やめられないとまらないという奴ですね。一切れ食べるとまた一切れ食べたくなります。欠かせないというのもよく分かります。ところで伊達巻とはどういう意味なのでしょうか? 『伊達』とは辞書によると『あかぬけて洗練されている』とか『外見を飾る事』という意味ですから『見栄えのよいたまご巻き』ということでしょうか?」

 ヒビキ「あながち間違ってないよ。ただ、伊達巻の名前の由来としては戦国武将『伊達政宗』の好物だったことから伊達巻と呼ばれるようになったって説が有名かな。もうひとつは今クロードが言った通り、普通の卵焼きより味も見栄えも豪華なことから、洒落て凝っている装いを意味する『伊達もの』が転じて伊達巻となった説。あと、女性用の和服に、腰に巻き付ける伊達締め・伊達巻ってものがあるんだけど、これに似ていたことからこう呼ぶようになったなんて説もあるね」

クロード「どれがというより、どれもこれも含めてその名になった感じがしますね」

 ヒビキ「この日が『伊達巻の日』となった理由としては、例の伊達政宗の忌日にちんなんだものらしい。彼は旧暦5月24日に亡くなったそうだよ。ちなみに、記念日を制定したのは厚焼き卵などの寿司具を製造している、大阪府吹田市にある株式会社せんにち。伊達巻を日本の食文化として広く後世に伝えていくのが目的らしい」

クロード「お節料理の欠かせない一品なのですから、既に十分広く伝わっていると思うのですが、これ以上何をどう広めるのでしょうか?」

 ヒビキ「国内は十分広まってるから、次は世界なのかもよ?」

クロード「この味なら外国でも受け入れられると思いますが、広まったのですか?」

 ヒビキ「伊達巻ブームなんて言葉は聞いたことないけどねー」




★★★★★
その他の記念日『ゴルフ場記念日」
※1903年。日本初のゴルフ場『神戸ゴルフ倶楽部』オープンにちなんで。

クロード「確かスイングの掛け声はチャー・シュー・メンでしたか」
 ヒビキ「それ、平成生まれの人には分かるのかな?」
クロード「あした天気になるといいですね」
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