ヒビキとクロードの365日

あてきち

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5月

5月23日『キスの日』

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クロード「さてさて、今日の記念日は何ですか、ヒビキ様?」

 ヒビキ「クロード、随分余裕そうだね」

クロード「『ヒビキとクロードの365日』も始まって既に50回を越えましたからね。さすがの私も慣れてきましたよ。それで、今日の記念日は何でしょう?」

 ヒビキ「今日は『キスの日』だよ」

クロード「…………え?」

 ヒビキ「今日は『キスの日』だよ」

クロード「……きす? ………………ああ、魚の」

 ヒビキ「マウストゥーマウスの」

クロード「……きす……き……きす……き、す……ききききき、きすっ!?」

 ヒビキ「クロード、顔真っ赤だよ。26歳にもなってさすがに純情すぎない?」

クロード「で、ですが……ききき、きすって」

 ヒビキ「1946年の今日。佐々木康監督の映画『はたちの青春』の中で、日本で初めてキスシーンが登場したことから、本日5月23日は『キスの日』になったんだよ」

クロード「そ、そうですか。では別段き……キス、を推奨する日ではないのですね」

 ヒビキ「違うよ。現代の映画ならキスシーンくらい珍しくもないけど、当時は初めてのキスシーンだったから、かなり話題になったのかもしれないね」

クロード「まあ、記念日になるくらいですからね」

 ヒビキ「どんな映画かは古すぎてよく知らないから情報はネットが頼りかな」

クロード「では早速、ぱそこんでぴぽぱぽ……は、破廉恥な!」

 ヒビキ「えっと、何々? ……この映画はキスシーンが何回かあって、昼間の外なんて場面もあるのか。1946年といえば昭和21年。1945年が終戦の年だから、当時の感覚でいえばかなり先進的な演出だったのかもしれないね」

クロード「ひ、人目がないとはいえ、そ、外でキスなどと……は、破廉恥です!」

 ヒビキ「クロードの純情って、ここだけの設定なのかな? 本編でもこれだと結構扱いに困りそうだけど……まあ、それは本編で考えよう。この映画のキスシーンは、当時戦後の日本を管理していたGHQの指示だったって話があるのか」

クロード「GHQ『連合国軍最高司令官総司令部』ですか。そのような機関がなぜ映画にキスシーンを追加しろなどと指示を出す必要があるのでしょう」

 ヒビキ「多分、映画を通して西欧文化を少しずつ浸透させて、日本人の意識改革とかを狙っていたんじゃないかな。そういえば、こっちの世界のキスはどうなの?」

クロード「き、きききき、きききききききききすなどっ! ど、どどどどど」

 ヒビキ「あー、うん。何となく分かったからもういいよ」

※異世界の貞操観念は現代日本よりお堅いですが、クロードは少々過剰反応です。



★★★★★
その他の記念日『恋文の日/ラブレターの日』
※松竹が制定。『こいぶみ(こい5ぶみ23)』より。
※浅田次郎原作映画『ラブ・レター』公開初日より。

クロード「今日はもう破廉恥です!」
 ヒビキ「ラブレターくらいで。今日のクロードは本当に純情過ぎる」
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