ヒビキとクロードの365日

あてきち

文字の大きさ
上 下
59 / 388
5月

5月8日『世界赤十字デー』

しおりを挟む
クロード「ヒビキ様。どこかに絆創膏はありませんか? 夜食の準備中にうっかり指を切ってしまいまして……て、何をしているのですか?」

 ヒビキ「あ、クロード。見ての通りだよ?」

クロード「いえ、見ても全く分かりません」

※ヒビキの前でミイラばりに包帯ぐるぐる巻きにされた『何か』がうーうー唸る。
※『何か』は池から放り出された鯉のようにビチンビチン跳ね回っていた。

クロード「どこから拾ってきたのですか。すぐに捨ててきてください」

 ヒビキ「酷いよ、クロード! 今日5月8日は『世界赤十字デー』! 人道的救援の気持ちを忘れちゃダメなんだよ!」

クロード「いえ、そういう問題ではなく……」

 ヒビキ「『世界赤十字デー』は赤十字社の創設者『アンリ・デュナン』さんの誕生日にちなんで作られた記念日だよ。1859年のイタリア統一戦争で生まれた大量の負傷者を救護しながら彼は思ったんだ。『傷ついた兵士は、もはや兵士ではない、人間である。人間同士としてその尊い命は救わなければならない』と。だから俺も、たとえ敵だろうと今日ばかりはそんなこと忘れて真摯に救護をしてあげようと思ったんだ」

クロード「……つまり、今目の前にいるそのミイラは『敵』なんですね?」

※クロードはすっと目を細めた。その視線にほんの少し殺気の炎が灯り始める。

 ヒビキ「うん。ガーベル」

クロード「捨ててきなさい!」

ガーベル「ふぐうううう! ふぐうううう!?」※びくんびくん!

【忘れた人のための解説】
ガーベル:テラダイナス第五聖殿騎士隊隊長。テラダイナスにてヒビキ達を拘束し、クロードに拷問を仕掛けた。後にクロードにぼっこぼこにされ、逮捕された。
※その後出番はないが、おそらく今も療養中のはずである。

 ヒビキ「安心して、ガーベル。確かに本編では敵対した俺だけど、今日に限っては赤十字の精神をもって人道的支援を行うから……医療技術はないけど」

ガーベル「ぐぶうううううう! ぐぼおおおおおお!?」

クロード「ボソリ(ヒビキ様……『医学書』があるはずでは?)」

 ヒビキ「(ニッコリ)」

クロード「(……どの辺が赤十字精神なのでしょうか)」

※クロードはガーベルへ同情の視線を向けた。

 ヒビキ「任せてガーベル! 俺不器用だし縫合は初めてだけど、頑張るから!」

ガーベル「ふぐぼごおおおおおおおおおおお!?」

クロード「今日だけは私も赤十字精神をもってお前に祈ろう……健闘を祈る」



★★★★★
その他の記念日『声の日』
 ヒビキ「ということで、いい声で鳴け」
ガーベル「ふごおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
クロード「そういう記念日ではありません」

※2011年。声総研が制定。
※渋い声代表、江守徹・中尾彬のモテ声対決によって制定された記念日。

クロード「これは……記念日、なのか?」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

処理中です...