上 下
349 / 350
第10章『俺の召喚獣だけレベルアップする/冴島渉たちの章』

第332話 【召喚士のダンジョン】風の塔を、攻略しよう

しおりを挟む
 ----【召喚士のダンジョン】、風の塔。
 魔王アレイスターの四天王の1人、女騎士ブリトマートは挑戦者を待ち望んでいた。というよりも、そうなるように設定プログラミングされていた。

 エドマンド・スペンサーの叙事詩『妖精の女王』に登場する、ブリトマート。
 かの純潔の女騎士は、作者であるスペンサーによって、とあるモノ・・・・・を寓意的に表した者とされている。

『----さぁ、行かん! 全ては王のため! 女王のために!』

 風の塔の最奥、その場にてボスとして設置された女騎士ブリトマートは、ガチャンっと、両腕に合体化されていた戦車の砲身をこちらに向けていた。

『さぁ、全てを蹂躙せよ! 全ては王のため! 女王のために!』



 ===== ===== =====
 【女騎士ブリトマート・オブ・ザ・クラウン】 レベル;Ⅴ 《召喚士のダンジョン 風の塔》ボス魔物
 【召喚士のダンジョン】内での、風の塔を管轄するボス魔物にして、四天王。エドマンド・スペンサーの叙事詩『妖精の女王』に登場する女騎士ブリトマートをモデルに作られた、風属性のボス
 両腕には戦車の主砲、両脚は魚雷搭載型の潜水艦、背中には空母のプロペラが設置されており、女騎士というよりも人型の軍事兵器のような面持ちになっている
 頭には王冠を被り、その脳内は常にイングランドの陛下、そして女王陛下への敬意に満ち溢れている
 ===== ===== =====



 その女騎士は、ガシッと、戦車の主砲をこちらに向けていた。

『さぁ、我に陛下への、女王陛下への愛を示す機会を!』
「《ぴぴっ----!!》」

 そうやって戦車の主砲を今にも発射される中、高らかな鳴き声と共に剣を突きつけるのは、雪ん子ちゃん。
 ----そう、新生した・・・・雪ん子ちゃんの姿であった。


 ===== ===== =====
 【雪ん子《オーラ体》】 レベル;Ⅰ+01
 個体レベル;01
 種族名;雪ん子(←雪の女神ポリアフ←雪ん子)/(マスタードラゴン)
 攻撃力;G+1
 属性攻撃力;F+2
 防御力;G+1
 素早さ;G+2
 賢さ;D+6

 固有スキル;【氷結の申し子】;全ての攻撃に対し、氷属性を付与する
      ;【悪の申し子】;全ての攻撃に対し、悪属性を付与する

 後天スキル;【剣技】;剣などの武器を持つ時、強力な技を発動する
      ;【オーラ体】(NEW!!);四大力の1つ、《オーラ》の力を用いて作られた新たな身体。全身が四大力の《オーラ》で構成されており、肉体を使った武技に対して効果を発揮する
 ===== ===== =====



 四大力の1つ、【オーラ】を身に纏った雪ん子は、剣を強く握りしめていた。

 これが新たな雪ん子の姿、その名も【オーラ体】である。
 普通は魔力を用いて身体を作り上げて召喚しているのだが、この【召喚士のダンジョン】という強制的にレベルⅠへと戻されるダンジョンではそのままでは勝てないと判断。
 そこで、レベルⅠの時は、雪ん子ちゃんやファイントを召喚した際には知らなかった概念は何かないかと考えて、1つ思いついたのだ。

 ----そう、四大力。

 【オーラ】、【マナ》、【スピリット】、【プラーナ】、そして【オーバーロード】。
 それぞれに特化した力を発揮するこれを使って召喚すれば、良いんじゃないかと思い、今回は剣技に長けた雪ん子ちゃんを、四大力【オーラ】を基にして召喚したのである。

 結果が、この【オーラ体】というスキルを得た雪ん子ちゃん。
 いま彼女の身体は、その全身が肉体を使った武技に秀でた【オーラ】によって構成されている。この彼女は最初に召喚した時の、いやレベルⅡ時代の雪ん子ちゃんよりも、遥かに強い。

 なにせ、全身を構成している力からして違うからね。
 以前は四大力をただ使うだけだったのが、全身そのものが四大力なのだから。

「《ぴぴっ!!》」
『確かに強そうではある! しかし、我らが陛下、そして女王陛下のためにも、このブリドマート! 全身全霊を尽くす所存!』

 かくして、新しい身体となった雪ん子ちゃん。そしてブリドマートの戦いが始まる。

 レベルⅠと、レベルⅤの戦い。さらに、相手はボス魔物というだけあって、強化されている。
 どう考えても、雪ん子ちゃんが勝利する確率は低いと思うのが、当然の意見だろう。

 ----しかし、私は雪ん子ちゃんの勝利を確信している。

 これは、ただ盲目的に、味方である雪ん子ちゃんの勝利を信じているという訳ではない。
 雪ん子ちゃんが勝利するという、確かな確信が私にはあった。

「(だって、雪ん子ちゃん----未だにレベルⅠ・・・・なんだもの)」

 この風の塔を攻略するに当たり、私達は10階分、2時間近くに渡る大冒険を行ってきた。
 この風の塔にいる魔物は、全員がこのブリドマートと同じレベルⅤの魔物達----私達は、そんなレベルⅤの魔物達を、数百体、いや数千体クラスで倒して来た。

 しかし、レベルⅠ・・・・

 未だに、雪ん子ちゃんはレベルが上がっていない。つまり、雪ん子ちゃんにとって、こいつらの戦いは、さして経験値になっていないという事なのだ。

「主砲も潰してるし、足代わりの潜水艦も半壊させているし……雪ん子ちゃんが負ける要素なさそうだな」

 こちらとしては、まだ四大力【マナ】を用いて、ファイントを召喚するという手も残っている。
 ----まぁ、こういう手段で行けば何とかいけそうだと思いつつ、戦いを見守ることにしたのであった。



(※)【オーラ体】
 四大力【オーラ】を用いて、召喚獣の身体を形作った際に得られるスキル。全身が【オーラ】で出来ているので、普通の魔力を使って作られた召喚獣よりも遥かに強い状態で召喚される
 欠点としては、他の四大力を使えない事、そして他の四大力に分類されている力は若干ながら弱めになる傾向になる。今回は【オーラ体】であるため、【マナ】を代表にする魔法、【スピリット】を代表にする武器の付与術などは弱くなる傾向にある
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

死んでないのに異世界に転生させられた

三日月コウヤ
ファンタジー
今村大河(いまむらたいが)は中学3年生になった日に神から丁寧な説明とチート能力を貰う…事はなく勝手な神の個人的な事情に巻き込まれて異世界へと行く羽目になった。しかし転生されて早々に死にかけて、与えられたスキルによっても苦労させられるのであった。 なんでも出来るスキル(確定で出来るとは言ってない) *冒険者になるまでと本格的に冒険者活動を始めるまで、メインヒロインの登場などが結構後の方になります。それら含めて全体的にストーリーの進行速度がかなり遅いですがご了承ください。 *カクヨム、アルファポリスでも投降しております

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月
ファンタジー
お気に入り登録をよろしくお願いします! 感想待ってます! まずは一読だけでも!! ───────  なんてことない普通の中学校に通っていた、普通のモブAオレこと、澄川蓮。……のだが……。    しかし、そんなオレの平凡もここまで。  ある日の授業中、神を名乗る存在に異世界転生させられてしまった。しかも、クラスメート全員(先生はいない)。受験勉強が水の泡だ。  そして、そこで手にしたのは、水晶魔法。そして、『不可知の書』という、便利なメモ帳も手に入れた。  使えるものは全て使う。  こうして、澄川蓮こと、ライン・ルルクスは強くなっていった。  そして、ラインは戦闘を楽しみだしてしまった。  そしていつの日か、彼は……。  カクヨムにも連載中  小説家になろうにも連載中

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

処理中です...