俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

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第8章『【街】/武装姫ヘミングウェイの章』

第293話 女神ヨーコと『想定していない異常事態』

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 ~~前回までの あらすじ!!!~~
 レムリア大陸へ向かうため、ダンジョン【アバトゥワの塔】を攻略した冴島渉一行。
 しかし、ダンジョンから出る際、雪ん子とファイントと、【街】の策略により、意図的に分かれてしまう。

 レムリア大陸へとなんとかやって来た、冴島渉、そしてココアとマルガリータ。
 そんな彼女達の前に、【街】所属にして、ココアへの復讐に燃える災害ブイオー、そして闇落ちされたヘミングウェイが現れる。

 ヘミングウェイは一瞬にして冴島渉とマルガリータを連れ去り、ココアはたった1人で、災害ブイオーと戦う羽目に。

 様々な攻撃をする中、災害ブイオーは回復魔法以外の攻撃は全て、災害ブイオーを強くすると判明する。
 四大力【マナ】と回復魔法との相性は悪いため、ココアは災害ブイオーを倒すため、新たな存在になると決意を固めるのであった----。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



 人間は、"試験"を行う。

 それは今まで教えておいた事、覚えて欲しい事などが、どれだけ自身の知識として身についているかを確認するためである。
 あくまでもしている事は【知識に関しての確認】であるため、応用などは特に求められていない。
 出題者が望む解答を答える事こそが、人間における試験の意味である。


 一方で、神々が行うのは、"試練"である。
 試練で神々が見たいのは、意外性----言い換えれば、試練を与えた神々が想定していない事態である。

 元々、全知全能という、あらゆる事象を予知できてしまう神々。
 そんなあらゆる事が『想定内』なために退屈な日々を過ごしている神々にとっては、逆に『想定外』な、自分達の予想できない事態の方を望んでいるのだ。

 神々にとっては『想定していた100点の解答』よりも、『想定してなかった120点の答え』の方が、よっぽど嬉しいのである。


 ----故に、だからこそ。


「驚きでありんすなぁ。まさか、たかが一召喚獣の情念が、わっちの住む領域----神が住まう神域にまで届こうとは」

 吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世に【妖狐】という職業ジョブを授けている、神。
 女神ヨーコは実に嬉しそうに、この『想定していない異常事態』を見守っていた。



 ココアは、女神ヨーコに、それどころか、この空間に干渉していた。
 自らの新たな力にすべく、神そのものに影響を与えているのである。

 そんな事は女神ヨーコは完全に想定しておらず、他の神々からもこのような事態を聞いたことはなかった。

 たかが人間、それどころか召喚獣が、この神々が暮らす神域に干渉してくるだなんて。



「これは、実に面白い事態でありんす。聞いたことがない事態でありんすなぁ。
 まぁ、元々、わっちは他の神と違い、たった一人にしかわっちの職業ジョブを与えておりません変わり者でありんすしのう。それなら、他の職業ジョブを与えられた者よりも、神との距離が近いと言えまんすし」


 本来、職業ジョブを与える神は、複数人、少なく見積もっても何万人単位で自らが司る職業ジョブを授ける。
 何万人単位で与えるのは、それだけ新たな可能性が芽生える事への『期待きぼう』と、それくらい大勢の者に分け与えなければ良い人物と巡り合えないだろうと言う『諦観あきらめ』だ。
 多くの者達へ施しを与えるもそれが返ってくることはほとんど期待せず、気長に、自分を楽しませてくれる者との出会いを待ち望んでいる。

 一方で、女神ヨーコは、そんな神々とは全くの逆を進んでいた。

 女神ヨーコはたった1人、しかも召喚獣に対して自らの職業ジョブを授けた。

 ココアに授けられるリソースはたった1人にしか分け与えていないため、その分大きい。
 たった1人しか与えていないから、ココアの今置かれている状況が事細かに伝わって来る。
 
 ココア達が翻弄する様、頑張る様子。

 それがヨーコには非常に面白く、娯楽として堪能していたのだ。

 ----でもまさか、娯楽として堪能していた出演者キャストの方から、神域ここにまで連絡が来るだなんて。

「本当に職業かごを与えて、正解でありんすなぁ。まさか、このような『想定していない異常事態』が、とても面白い事態が起きるとはのう」

 と、女神ヨーコは神域を見渡す。



 神域はただ大きく広がる真っ白な空間であり、はっきり言って何もない。

 なにせ女神ヨーコが望めばそれだけで生まれ、女神ヨーコが望めばそれだけで片付けられる。
 必要な時に必要な物だけを出せば良いので、本当に物がない最小限主義ミニマリズムのような空間につい、なってしまうのである。

 しかし、そんな神域が"変化"していく。

 空間全体が大きく歪み、真っ白だった空間がドロドロとした色に染まりあげられていく。
 変化は神域だけではなく、女神ヨーコ自体も存在そのものが、ぼんやりと薄れていき、女神じぶんそのものが変わって行くのを感じる。

「----あぁ、ココアよ。わっちそのものを・・・・・・・・変えて・・・利用するつもり・・・・・・・でありんすか」

 女神である自分という存在が薄れ、ぼやけ、消えようとしている。

 そんな『想定していない異常事態』が----


あぁっ・・・! 実に・・実に・・楽しみで・・・・・ありんすよ・・・・・!」


 女神ヨーコは、笑っていた・・・・・

 面白い光景が見えると、実に愉快そうに楽しんでいた。

「この先になにが待ってるのか、わっちに見せてくれでありんすよ! ココア・ガールハント・ヒアリング3世!
 わっちはそれを、特等席で見させてもらうでありんす!」

 高笑いをあげ、女神ヨーコは消えて行ったのであった----。


 ----ココアのにとって、新たな力になるために。
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