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第7章『たまにはゆっくり、旅館でいい気分♪/吸血女帝ココアの章』

第274.5話 絶望の誕生(+8章予告)

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 勇者である空海大地が、元居た地球へと戻ってきたその日。

 世界に、見えない亀裂が走る。

 それは物理的ではない、存在を揺るがす亀裂。
 亀裂は世界のあちこちに入り、そこにあったモノを例外なく、粉々にして、塵へと変える。

 赤坂帆波もまた、塵へと変えられた、哀れなモノ達の1人である。
 彼女はその存在自体を、亀裂によって粉々へと変えられて、ルトナウムとなった。

 ルトナウムとなった赤坂帆波は、徐々に壊れていく。

 肉体も、魂も、全てが1つという一緒くたにされて、何も感じる事がなく、ただ存在するだけの液体とされている。
 正直、赤坂帆波であるという自覚があるだけ、同じようにルトナウムへと変えられた被害者達と比べて、マシと言えるくらい。

 そして、赤坂帆波は徐々に壊れて行った。

 何故、自分がこんな目に合わなければならない。
 理不尽で、不条理で、非合理だ。



 いつしか彼女は、人の不幸を、絶望を望むようになった。

 自分は不幸な目にあった、不幸な人間である。
 しかし自分よりももっと不幸な人間が居れば、自分は不幸ではなく、幸福な人間であると言えるのではないか?
 それなら、世界中全ての人を絶望の底へ叩きつければ、自分は世界で一番幸せな人間と言えるのではないか?

 ねじ曲がった、歪んだ倫理である。
 しかし、それこそが、ルトナウムとなった赤坂帆波の願望となり。

「さぁ、絶望に沈める時間です」

 ----絶望スカレットはそのようにして生まれたのであった。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


【第8章 予告】
 ※この予告はあくまでもプロット段階でありまして、ご意見要望、あと作者の気分次第で変わる可能性があります。むしろ変わって欲しい!!


 ----伝説の大陸レムリア。

 そこは、かつてレムリアの民が暮らした平和の街。
 しかし今は、絶望スカレットが率いる【街】の本部である。

 武装姫ヘミングウェイを暗黒面ダークサイドへと堕とされ、奪われた冴島渉一行。
 絶望スカレットの正体を知り、彼女を救うために高度する【三大堕落】の面々。

 そんな2つの集団に、【街】の面々が立ち塞がる。

 【開発】ベンチャーちゃん、【災害】ブイオー、【回帰】ダブルエム、そして【絶望】スカレット。

 果たして、冴島渉と【三大堕落】、それぞれに目的を果たせるのか?

 次回----第8章。
 『【街】』、または『武装姫ヘミングウェイの章』。


「さぁ、絶望に沈める時間です」
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