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第7章『たまにはゆっくり、旅館でいい気分♪/吸血女帝ココアの章』

第268話 女帝の戦い

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 ~~前回までの あらすじ!!!~~
 【街】所属の【絶望】担当であるスカレットと、赤坂帆波の2人が対決している中。

 吸血女帝ココア・ガールハント・ヒアリングと、災害ブイオーは戦い合っていた。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「----やっつけろ、我ら自身よ」

 ブイオーは、【悲嘆の刃】にて自分に変化させていた人造兵器ボウケンシャ達5人を、ココアへと向かわせる。

「「「「「さぁ、勝負を開始しましょう!」」」」」

 5人のブイオーは、それぞれ武器を構えて、大きな鳥の翼で飛翔して、ココアに向かって来る。
 得物として、それぞれ雷で作り出した武器を手にしていた。

 雷の剣、雷のナックル、雷の杖、雷の槍、雷の弓。
 5人のブイオーは一直線に、ココアへと向かって来る。

「吸血鬼の王としての力、試して見せるのじゃ!」

 ココアの頭の、クリスタルの王冠が光り輝くと共に、ココア自身の身体に赤い線が浮かび上がる。
 全身に浮かび上がった赤い線はまるで刺青のように広がっており、彼女の両手が黒く染まっていく。

「「「「【雷光ライトニング】!」」」」」

 5人のブイオーは雷の武具を手にして、自らを雷に変えて光速で、ココアに向かっていく。
 そして、ブイオー達の攻撃は、ココアの身体にぶつけられる。

 剣で、斬りかかり。
 ナックルで、殴り掛かり。
 杖は、魔法を放ち。
 槍と弓矢数発は、相手めがけて投げられた。

 しかし、5人の攻撃は全て、ココアには傷1つ付ける事は出来なかった。

 剣はぶつかった衝撃で、砕け落ち。
 ナックルはぶつかる寸前に、腕ごと斬り落とされ。
 杖から出た魔法は、そのまま放った杖に何倍にもして返されて爆発。
 放たれた槍はぶつかった槍先から、粉々に分解され。
 弓から放たれた弓矢は、全てココアが掴み取っていた。

「----【鮮血の斧】!」

 弓矢を手放したココアは、黒く染まった両手を斧の形態へと変化させる。
 そして、その斧となった腕を、一振り。

「【悲嘆の刃】、解除!」

 攻撃が当たる瞬間、ブイオーは【悲嘆の刃】を解除する。
 解除され、人造兵器ボウケンシャへと戻った5人は、そのまま斧の斬撃に巻き込まれて、消滅する。

「ハハッ! 凄まじい力! それでこそ、復讐する甲斐がある!
 ----行けっ、雪ん子!」

 ブイオーは、雪ん子をココアへと向かわせる。
 【悲嘆の刃】で敵となっている雪ん子は、以前よりも状態が悪化しているらしく、両腕が雷で作られた腕となっており、瞳もボタンとなってしまっていた。
 そして、ココアは剣を血が出るほどに強く握りしめ、ココアの方をジッと睨みつけている。

「《ピピッ! ココア、殺してやるぞ、ココア!》」
「雪ん子! 妾が今、助けてやるのじゃ! 【鮮血の杖】!」

 斧から元の手へと戻したココアは、進化した際に手に入れたあの杖を掴む。
 そしてその杖を持ったまま、ココアへと走って向かっていく。

「ハハッ! 仲間を殺すのか、吸血鬼よ! 家族、家族と口酸っぱく言いながら、結局は敵となったら殺すのか! とんだ仲間精神だな、吸血鬼ココアよ!」

 ブイオーの煽りに耳を貸さず、そのままココアと雪ん子は互いの武器をぶつけ合う。
 雪ん子の剣はココアの右肩をザックリと斬りつけ、そしてココアの杖は雪ん子の顔の前に突き出され、ピカーンっ、と光り輝く。

 すると、雪ん子の身体からボタン瞳も、雷となった腕も、出てきたサンダーバードを思わせる翼も消え、元の雪ん子の姿となって、そのまま倒れる。
 すぴーっ、と気持ちの良さそうな夢見心地のようである。

「----っ?! ココア、貴様、今何をした?! 私の【悲嘆の刃】の線が、雪ん子といきなり繋がらなくなるだなんて!」

 ブイオーはそう言って、大きな翼で羽ばたいて近付こうとして、"翼が動かない事に気付いた"。

「----?! 翼が、翼が動かない?!」
「その【悲嘆の刃】は、全員をお前に出来るが、代わりにダメージを全部引き受けるんじゃろ?」

 【鮮血の杖】をしまったココアは、倒れた雪ん子の姿勢を直す。
 夢見心地の彼女を起こさないように、優しく横にして眠らせる。

「妾は今、ココアとお主の縁を"眠らせた"。その眠りの力をダメージとして引き受けた結果、お主の翼が眠っただけじゃ」

 そう言って、雪ん子を横にしたココアは、ブイオーに近付いていく。
 その手には、先程の【鮮血の杖】が握られていた。

「----【鮮血の杖】」

 ココアが杖の名を呼ぶと、【鮮血の杖】が回転する。
 その回転によって生まれた渦は、ブイオーの身体を覆っていく。

 ----ガクッ!

「なっ----?!」

 ブイオーは、そのままその場に倒れる。
 膝から下、肘から上----つまりは脚と腕が、動かなくなったからだ。
 動かそうと、脳から意思を伝えようとしても、ブイオーの四肢は頑固に、動かない。

 それどころか、全ての力の源たる魔力そのものも、動かない。
 戦うことも、動くことも、今のブイオーには出来なかった。

 彼女に出来たのは、ココアがスキル【鮮血武装】によって、自分の血から生み出した武器で、自分の命を奪うのを待つだけ。


 今のココアは、吸血鬼の王。
 そして王の戦いとは、普通の一般兵士のように走り回ったりする戦いである。

 王の戦いとは、全てを奪って動けなくなった相手に、止めを刺すような戦い。

 ----またの名を、斬首刑。

「さぁ、もう一度、死ぬ時間じゃ」

 そして、ココアはブイオーの首を"斬り落とした"のであった。



(※)【鮮血の杖】
 吸血女帝ココア・ガールハント・ヒアリングが持つ、固有スキルの1つ。勾玉が先端に取り付けられた杖であり、彼女しか使えない専用の杖
 吸血鬼の王の証であり、これを持つ者は吸血鬼の王としての力、夜を統べる力を使うことが出来る
 夜の力は、あらゆるモノを眠りにつかせる、最強の睡眠能力。対象の部位のみを眠らせて動かなくさせたり、スキルを使うための魔力を取り込む器官を眠らせてスキルを使えなくさせたりできる
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