俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

文字の大きさ
上 下
244 / 354
第6章『ファイントは常に地獄に居る/覚醒ファイントの章』

第232話 世界を地獄にするくらいなら、鳩時計にしよう

しおりを挟む
「……冒険シタイ」

 ダンジョン内に現れた、居るはずのない人物----花弁千夜葉こと、『ベンチャーちゃん』。
 彼女は何らかの方法にて、死なないという運命を課せられたはずの幽鬼カルタフィルスを倒して、そのような言葉を言い始めたのである。

「冒険シタイ! 冒険シタイ! メチャクチャ冒険シタイ! トビッキリノ冒険シタイ! ドコマデモ冒険シタイ! 冒険シタイ! 冒険シタイ! 驚クホド冒険シタイ! 色々ナ冒険シタイ! ヤッパリ冒険シタイ!」

 その言葉に、俺は聞き覚えがあった。
 あまりの一瞬の出番ではあったが、それでも俺には聞き覚えのある言葉だった。

 確か、あれは----

「《鳩時計》世界幽鬼というヤツだったような?」

 そして、『ベンチャーちゃん』の顔は、時計盤のような顔へと変わり。
 手に現れた2本の長針を、彼女は背中に翼のように付ける。

 最後に、彼女の手は、真っ黒に染まっていた。


 ===== ===== =====
 《鳩時計》世界幽鬼が 覚醒しました
 これにより 《鳩時計》覚醒幽鬼へと 変化しました
 生前時の職業 【鍛冶職人】の力を 会得しました
 特殊スキル【分解再構築オーバーホール】を 獲得しました


 【《鳩時計》覚醒幽鬼】 レベル;Ⅳ+?
 全ての世界に快適な鳩の鳴き声と共に時刻を告げる世界が閉じ込められていた【世界球体=鳩時計世界=】の力で歪み、そののちに未練を捨てて覚醒した、花弁千夜葉かべんちやはという名の覚醒幽鬼。倒すと、プラーナ系統職業の1つ、【鳩時計】が解放されず、呪いが与えられる
 手にした時計の長針を模した武器を相手に刺す事によって、生命の流れを操作して、行動を遅くしたり早くしたりすることが出来る。また、頭の上にある鳩が鳴くことで、周囲の生物の体内時計に干渉して、相手の時間を止める事が出来る
 超冒険シターイ! ヤッパリ冒険シターイ! 果テマデ冒険シターイ!
 ===== ===== =====


【遂に! 遂にこの身体を手に入れたでクルック~!
 これで今から、世界中を鳩時計で支配してやるでクルック~!】

 なんか物騒な、そうでないような夢を語る覚醒幽鬼は、そのまま手をダンジョンの地面に付ける。
 そして、覚醒幽鬼の身体を中心として、大量の岩が隆起する。

「何をする気だ、こいつ?!」

 俺が戸惑っていると、覚醒幽鬼は行動に移す。
 隆起させた大量の岩が、1つの形に再構築されていって----そして、鳩時計の形となった。

「岩が、鳩時計に?」
【世界は、何者かの手によって地獄化されてるという話を聞いているでクルック~! 地獄化なんて許せないで、クルック~!
 それならば、地獄化をしている相手を、私が倒すことで、代わりに世界を鳩時計にして見せましょうクルック~!】

 ……意味が分からん。
 どうしたら、世界を鳩時計にするなんて言う、狂った考え方になるのかはさっぱり分からなかった。

 だがしかし、分かっているのは、1つ。

 このままだと、この覚醒幽鬼の力によって、世界はとんでもないことになるって事は確かだ。

【まず手始めに、あんたを、鳩時計にしてやるでクルック~よ!】

 覚醒幽鬼はそう言って、こちらに向かって来る。

「だがしかし、幽鬼カルタフィルスが消えた今、俺には召喚獣が出せる!」

 俺がさっきまで召喚できなかったのは、幽鬼カルタフィルスの力----もとい、【大根】の【御残不認可おのこしはゆるしませんで】なるスキルのせいだ。
 その幽鬼カルタフィルスが居なくなった今ならば、召喚獣達を召喚できる。

「いけっ、戦天女ワルキューレ達!」

 俺が召喚したのは、3体の戦天女。

 剣を持った、攻撃重視の戦天女シルト。
 弓を持った、遠距離攻撃の戦天女ボーゲン。
 格闘術を用いる、近距離担当の戦天女ムスターマン。

 全員、レベルⅤの戦天女達である。
 ついでに言えば、俺の新たな仲間、武装姫ヘミングウェイを構成する戦天女達である。

「全員、あの鳩時計を倒せ」
「「「仰せのままに」」」

 そうして、3体の戦天女達は、《鳩時計》覚醒幽鬼へと向かっていく。

【全員まとめて、丸っと鳩時計にしてやるでクルック~!】

 そうして、覚醒幽鬼は黒い手と共に、こちらに襲い掛かってくるのであった。



(※)戦天女シルト・戦天女ボーゲン・戦天女ムスターマン
 レベルⅤの召喚獣で、ワルキューレ系統の3人。武装姫ヘミングウェイを構成する【ワルキューレ】系統もこの3人である
 ワルキューレはそれぞれに、自らに一番合う武器と言う物が存在し、その武器で戦う天使である。シルトは『鋼』を操り、手にする剣を状況によって自由自在に変えて戦う戦天女。一方、ボーゲンは『弓』を巧みに操り、相手がどこに隠れようとも攻撃出来る、遠距離の名手の戦天女。そしてムスターマンは、ワルキューレにも関わらず、武器を持った方が弱い変わり者であるが、接近戦において最強の力を発揮する
 なお、3人とも、ワルキューレに相応しい慎み深い性格であり、変態ではない。もう一度言おう、変態ではない
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異端の紅赤マギ

みどりのたぬき
ファンタジー
【なろう83000PV超え】 --------------------------------------------- その日、瀧田暖はいつもの様にコンビニへ夕食の調達に出掛けた。 いつもの街並みは、何故か真上から視線を感じて見上げた天上で暖を見る巨大な『眼』と視線を交わした瞬間激変した。 それまで見ていたいた街並みは巨大な『眼』を見た瞬間、全くの別物へと変貌を遂げていた。 「ここは異世界だ!!」 退屈な日常から解き放たれ、悠々自適の冒険者生活を期待した暖に襲いかかる絶望。 「冒険者なんて職業は存在しない!?」 「俺には魔力が無い!?」 これは自身の『能力』を使えばイージーモードなのに何故か超絶ヘルモードへと突き進む一人の人ならざる者の物語・・・ --------------------------------------------------------------------------- 「初投稿作品」で色々と至らない点、文章も稚拙だったりするかもしれませんが、一生懸命書いていきます。 また、時間があれば表現等見直しを行っていきたいと思っています。※特に1章辺りは大幅に表現等変更予定です、時間があれば・・・ ★次章執筆大幅に遅れています。 ★なんやかんやありまして...

俺のスキルが無だった件

しょうわな人
ファンタジー
 会社から帰宅中に若者に親父狩りされていた俺、神城闘史(かみしろとうじ)。  攻撃してきたのを捌いて、逃れようとしていた時に眩しい光に包まれた。  気がつけば、見知らぬ部屋にいた俺と俺を狩ろうとしていた若者五人。  偉そうな爺さんにステータスオープンと言えと言われて素直に従った。  若者五人はどうやら爺さんを満足させたらしい。が、俺のステータスは爺さんからすればゴミカスと同じだったようだ。  いきなり金貨二枚を持たされて放り出された俺。しかし、スキルの真価を知り人助け(何でも屋)をしながら異世界で生活する事になった。 【お知らせ】 カクヨムで掲載、完結済の当作品を、微修正してこちらで再掲載させて貰います。よろしくお願いします。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

異世界を服従して征く俺の物語!!

ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。 高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。 様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。 なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

処理中です...