俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

文字の大きさ
上 下
243 / 354
第6章『ファイントは常に地獄に居る/覚醒ファイントの章』

第231話(番外編) 真相と、覚醒と、《探偵》覚醒幽鬼(2)

しおりを挟む
 全ての職業には、ダンジョンで戦うための能力が備わっている。
 それは勿論、マナ系統職業の1つ、【探偵】もまたそうである。

 元に戻す光と、光属性の魔法攻撃。
 その他、ありとあらゆるトラップを解除できるだけのスキルと知恵。

 勿論、【探偵】の職業の力が、それだけで終わる訳もなく。

 【探偵】には、とっておきのスキルがある。
 そのスキルこそ、【探偵】の固有スキルである、強力な洗脳攻撃。

【自らが犯した罪を見て、後悔するが良い!!
 ----【探偵】スキル、【崖上の犯人】!】

 そして、《探偵》覚醒幽鬼の全身が光り輝くと共に、空海大地と天地海里を包み込む。


 ===== ===== =====
 【探偵】スキル 【崖上の犯人】が 発動しました
 対象者として 【空海大地】と 【天地海里】に 作用されます
 対象者として 【ダブルエム】に 作用されます

 まず、2人に共通する 大罪が 映像として 再現されます

 映像を 再現します
 ===== ===== =====


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 2人の目の前に映し出されたのは、1人の少女の姿である。

 片眼鏡モノクルとシルクハット、それに黒いトレンチコート。
 まるで19世紀のロンドンに出てきそうな、探偵の恰好をした少女の姿であり、2人は一切面識がない少女であった。

『被害者である彼女の名前は、花弁千夜葉。皆からは『ベンチャーちゃん』と呼ばれる可憐な少女である』

「なんだ、これ? ナレーション?」
「私達の罪を、大罪を披露すると言っていたが、これはいったい……」

 2人が困惑する中、映像は再生されて、花弁千夜葉はテーブル上に物を置いて、なにかの研究を始めるようであった。
 フラスコに入った液体を、2人は見覚えがあった。

「「ルトナウムっ?!」」

『花弁千夜葉。彼女は高い技術力を保有しており、その技術力の高さ故に政府から1つの依頼を受けていました。その依頼こそ、冒険者である佐鳥愛理から持ち込まれた、ルトナウムの性能分析と、軍事転用。
 ルトナウムの分析をする事によって、場合によっては戦車や戦闘機などに活用できないかと言う事。つまりは、冒険者の力を得た兵器の開発が、彼女に科せられた任務でした』

 花弁千夜葉は、様々な装置を使って、ルトナウムの研究をしていた。
 直接手に触れるとマズいということで、手袋を二重にし、さらには防護マスクなどもして、徹底された衛生管理の下で、彼女は研究をしている映像が流れる。

 そして、映像が変わると、今度はルトナウムを手にしたまま、ぷるぷる震えている彼女の映像が映し出される。

『「まさか、そんな馬鹿なことが……しかし、だとしたら色々な事に説明がつく。この液体で冒険者のレベルを操作できること、そして直接触れてはいけない理由も……!!」
 花弁千夜葉の類稀なる才能は、ルトナウムの正体を見抜いておりました。見抜いたからこそ、恐怖を覚えていたのでした』

「なんだ、彼女はいったい何を見抜いたって言うんだ?」
「しかし、私達2人の大罪と、彼女になんの関係があるんでしょう?」

 2人が映像に見入っていたその時です。
 花弁千夜葉の映像が消え、映し出されたのは2人の闘う姿----そう、初対面の時にぶつかり合う2人の姿でした。

『「【スピリット変換・雷神】っ!」
「【勇者天術・震】! 地面よ、震えよ!」

 大地は自らを《スピリット》の力で雷へと変え、雷の超高速で海里に迫る。
 一方、海里は《スピリット》の力で地面に振動の属性を与えて、うねうねとさせながら攻撃と回避を同時に行う』


 そして、『ちょうどその頃----』という文字が流れ、再び、花弁千夜葉の映像に切り替わります。
 彼女はルトナウムが入った瓶をテーブルの上に置いて、政府に自分が得た情報を手紙で書こうとしているようでした。

『2人の元勇者が戦っていたその頃、花弁千夜葉は情報を手紙に書き写していました。
 そして、罪は犯された』

 どっかああああんっ!!

『2人の攻撃の余波は、花弁千夜葉の家まで届いておりました。
 大地が放った雷は、ルトナウムの入った瓶にヒビを与えました。そして、海里が放った振動は、彼女の家に揺れをもたらして-----ルトナウムは宙に放り出され、空で瓶が割れました。
 "ちょうど、彼女の真上で"』

「「まさかっ……!?」」


 2人の予感は、すぐさま映像に映し出されました。
 ルトナウムを直に浴びた花弁千夜葉は苦しみ、悶え、そして-----

『「冒険シタイ……』
 こうして、花弁千夜葉という女は、幽鬼となったのでした』


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


『続いて、ダブルエムの大罪。それは彼女が落とした【世界球体】の1つ、タロット22枚のうちの----』

 映像はそこで、途切れました。
 何故なら、覚醒幽鬼の胸に、ダブルエムのナイフが突き刺さっていたからである。

【たっ、探偵がこんな形で殺されるだなんて……だが、忘れるべからず! そこに居る彼女の力を使えば----】
「すぐ、#死ね」

 そのまま首を掻っ切ったダブルエムの攻撃で、覚醒幽鬼は今度こそ沈黙しました。


 ===== ===== =====
 《探偵》覚醒幽鬼を 倒しました
 【世界球体=探偵世界=】が "消滅します"
 確定ドロップとして 全員に 【今話題の推理小説】が ドロップします

 【探偵世界】の 消滅により 消滅させた者に 呪いを付与します

 ダブルエムに 【神殺しの呪い】を 付与します
 既に 【神殺しの呪怨】が あることを 確認
 強制的に 合成します

 ………
 ……
 …

 成功しました
 ===== ===== =====


「【テセウスの船】、応用編」

 そして、呪いを受けたダブルエムは、そのまま呪いを身体の髪へと移動させる。
 彼女の髪は、まるで呪いを受けた事を象徴するかのように、髪はうねうねとなっていき、蛇のようになっていた。

「あー、#髪に呪い #蛇髪 って訳ですか」

 呪いを受け、さらに身体を負荷をかけたダブルエムは、うなだれる元勇者の2人に声をかける。


「あなた達は『知らなかった』。ただ、それだけを言い訳にする気ですか?
 あなた達の身勝手な行動により、1人の少女がルトナウムを被り、幽鬼となった。それが事実であり、あなた達の罪と言う奴です。

 私は自らの罪と向き合います。例え、呪いによってあと幾何いくばくの命と知りつつも、向き合います。それが人間と言う物です。
 人間を越えた力を持ち、勇者なる人外の存在となったあなた方には、その覚悟がないんですか?」


 「ほら、立って。そのまま帰れ」と、2人に告げる。
 ある意味、彼女なりの応援エールが込められた言葉に、2人の元勇者はうるうると涙を流して----


「「おっ、お母さんっ!!」」
「……え? 誰が? #カオス ですね?」



(※)【崖上の犯人】
 【探偵】のスキルの中でも、超強力な洗脳攻撃を放つスキル。洗脳と呼ぶよりかは、対象者の罪を映像として再現して、人々にショックを与えるスキル
 対象者の大罪がなんなのかはスキルが判断するため、どれくらいの罪なのかは使用した本人にも分からない

(※)しりとり
 《探偵》覚醒幽鬼の基となった、茅ケ崎廻ちがさきまわるの未練。『る』攻めされて、悩んでいたことが彼女の未練である
 ちなみに、今まで登場した世界幽鬼・覚醒幽鬼もまた、しりとりになっている

・《ワラルー》世界幽鬼 村林継雄むらばやしつぐお
・《左手》世界幽鬼 尾上おのうえののか
・《鳩時計》世界幽鬼 花弁千夜葉かべんちやは
・《日曜日》世界幽鬼 羽生嘉人はにゅうよしと
・《チーズフォンデュ》世界幽鬼/《チーズフォンデュ》覚醒幽鬼 戸張与一とばりよいち
・《探偵》覚醒幽鬼 茅ヶ崎廻ちがさきまわる
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売です!】 早ければ、電子書籍版は2/18から販売開始、紙書籍は2/19に店頭に並ぶことと思います。 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

処理中です...